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『隆弘?』


『あ?』


『お腹空いた!えへへっ☆』


『そだな!何か食いに行こっか!』




二人は少しの間、夢の様な時を過ごし、寒さと空腹には勝てず渋々茂みの世界へと足を運んだ。


ゆっくりと暗闇を潜り抜け徐々に出口へと…



ん?



隆弘はすぐに足を止めた。出口付近に近づくにつれ、なんだか騒がしい。そして、隆弘のバイクの周りに群がる人影と三台のバイク…




………ボボボ


……ブォン



『シー、ここで待ってて!』


『えぇ?嫌だよぉ!』



『大丈夫だよ!ちょっと様子見てくるだけだから!』


『……うん…早くね!』



茂みの中で小声で話す二人は怪しかった……



そんな事を思いながら静を残し外に出る隆弘。静も心配だけど……バイクも……




優先順位を間違えている……隆弘。とその時だった!



『あ!やっぱり隆弘じゃん!』



と言って一人の女性が隆弘に近付いて来る…



『あじゃねえだろ!人のバイク囲んで何してんだよ!』



隆弘は血相を変えて怒鳴りつけた。



え…知り合い?



静は暗闇の恐怖と闘いながら隆弘の事を見守っていた。


見知らぬ金髪の女性が二人。そして、三人の男がバイクを囲んでる。そんな光景を相手に見つからない様に覗き見していた…



『それに何なんだよコイツらは!おい、触んなって言ってんだろ!』


『な、何怒ってるの?相変わらずだねぇ隆弘は。』



見知らぬ男達に自分のバイクを触られているのに機嫌が良い訳がない!隆弘は苛立ちを面にだして男達に近付いていった。



『おい!触んなよ!』



一人の男の腕を掴み、睨みつけた。今にも喧嘩になりそうな雰囲気。正に険悪なムードだった!



『あ?何コイツ!沙耶サヤやっちゃっていいん?』



余裕な表情を浮かべ顔を近づける男。そんな二人の間に割って入ったのは沙耶だった。



『ちょ、ちょっと喧嘩しないでよ!それに、マサ君じゃ勝てないよ?隆弘強いから。』



沙耶って誰?何で隆弘の事……知ってるの?



徐々に知り合いだと分かってきた静。手に汗握る思いだった…



『沙耶テメーふざけてんじゃねえぞ!』


『まぁまぁ、相変わらず短気だねぇ。ホント昔と変わらないね。』



頭にきている隆弘を目の前にしても笑みを浮かべる沙耶。そんな二人を静はジッと見つめていた。



『沙耶、ちょっと下がっとけよ!』



他の二人も割って入ってきて三対一…



『マジ止めた方がいいと思うよぉ?ちょっと前まで八方美人の頭だったんだから。』


『え!』



男達の驚きの声は凄く綺麗にハモった。そして、さっきとは別人の様に小さくなってしまった。



『何なんだコイツ等!俺のバイクに傷でも付いてたらマジ成仏だぞ!』


『す…すんません』




茂みに隠れている静……心境はさらに複雑に…




暴走族?静の知らない隆弘、まただ……また……発見……しちゃった……




『早く帰れ!子供は寝る時間だ!』



隆弘は虫を払うかの様に手を振り、沙耶達を煙たがった。



『子供って一つしか変わらないじゃぁん!ホント成長ないねぇ!』



隆弘のそんな仕草に少しムカついたのか間髪入れずに突っ込みを入れる沙耶はなれたもんだった。



『うるせーな!帰れよ!』


『やだぁ!せっかく会えたのに……』


『はいはい!』




中学の時、強い奴らを集め出来たやんちゃグループ八方美人!最近と言っても高校入ってすぐに二代目に継がせ隆弘は引退していた。現役の時は色んな伝説を残し、名前を出せば大抵の悪は身を引いた。そんなちょっとした時代もあったんだ。その時、隆弘に憧れて入った奴らは数知れず。その中の一人が沙耶だった…。そして、今も昔もワガママっぷりは変わらなかった…。そして、そんな二人の繋がりをまざまざと見せつけられた静………またしても不安の種が……




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