第7章 1 届け…
『隆弘…最悪!』
『おい!あぶっ………
高二の冬…
誰もが心踊るクリスマス。幸せな一時を過ごす二人の裏側には思いもよらぬ出来事がおきていた…
24日の朝…
隆弘はいつもの様に静とデートをしていた。
『今日はクリスマスイブだね♪』
『そうだな。』
『今日は思いっきり楽しむよぉ!』
嬉しそうにハシャぐ静。満面の笑みを浮かべ、二人腕を組みながら仲良く歩いていた。
行き先は遊園地。
前々からチケットを取ってあり準備は万全。
抜かりのないシッカリ者の静。外見は今風のギャルだが、遊んでそうで実は真面目でデリケート。
それに比べ、変な所はシッカリ!我が強く、人生を少しなめてる性格の持ち主!そして、ちょっとどこか抜けてるチャラ男の隆弘。
喧嘩が絶えない毎日…でも、すぐに仲直り。周りから見た二人は、凸凹に見えて実は羨ましがられる理想のカップルだった。
絶叫マシンに乗り、ホラー館で叫び、色々なアトラクション。一日はあっという間に過ぎていった。
日も暮れ始め…
『隆弘?』
『あ?』
『…あれあれ!』
静が指差したのは…グッズやお土産が売っているショップ。店の中には沢山の人で賑わっていた。クリスマスイブだけあって皆、幸せそうな笑顔…
『隆弘、ちょっと待ってて?』
そう言って静は一人店の中へ入っていった。
よくまぁこんな混雑した所に入っていけるよな…
そんな事を思いながら外で一人待っていた。
10分…15分…
店の中から笑顔で飛び出してきた静。
『ふぅ〜!』
一息つき、隆弘の元へと歩み寄った。両手にはお土産。
『隆弘…はぃ!』
『……へ?』
『サンタさんからのプレゼントだよ!』
白い息を吐きながらプレゼントを手渡し、優しく微笑む静。その笑顔はとても可愛く、周りのイルミネーションなんかよりも輝いていた。
『……開けても…いい?』
『え〜?ちょっと恥ずかしいけど……いいよ。』
恥ずかしそうに微笑む静。そんな静に思わず見とれる隆弘…
『…あ、ありがとな?』
急いで封を開け、箱を開いた…
『おぉ!めちゃオシャレじゃん!』
中身は、レーザー加工されたクロスのシルバーネックレス。
『隆弘、これ欲しかったでしょ?』
『すげぇ!シー、さすが俺の女だよ!ありがと!』
子供の様に喜ぶ隆弘。そんな隆弘を見ながらソッと腕を組んだ…
『隆弘?大好き…』
『…俺もだよ…。あ!シー!』
『ん?』
『これ…付けて?』
静からプレゼントされたネックレスを手渡し、少ししゃがむ隆弘。隆弘の頭の後ろに手を回し、ネックレスを付ける静…
…そのまま、静を抱き締めた。
そして、耳元で…
『すげぇ嬉しい…ありがとな…』
周りの目も気にせず抱き締めあう二人。最高のクリスマスイブでした……
…この後、二人の間にあってはならない出来事が待ち構えていた……