表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/59



はぁ〜



コマキの喜んだ顔、可愛かったな…



湯気がたちこめる中、思いっきり足を延ばし温泉を満喫していた。


最初は温泉には入るつもりはなかった。澄んだ空気と大自然。そして、綺麗な部屋で見る夜景が俺のプレゼントだった……はずなのに…


露天風呂に入ったら、周り一面雪景色。俺達が旅館に入った後降り始めたらしい。かなりの勢いで積もり始めていた。



本当にお泊まり?



そんな事を思いながら湯船に浸かり、冬の匂いを感じながら時を過ごした。







俺は早々と上がり、叔父のいるロビーのカウンターへと足を運んだ。


叔父さん…いるかな…




カウンターに行くと叔父さんが立っていた。それも、俺の事を見つめて…



『叔父さん、今日はもう帰れないかな?』


『ん〜。タクシーもあるし…叔父さんが駅まで送ろうか?』


『……。』



俺のワガママで人に迷惑をかける事はしたくなかった。かといってタクシーに乗るお金も……。でも、いきなり泊まりって言うのも普通じゃ考えられなかった。こんな時、隆弘だったら…



大丈夫だよ!雰囲気でどうとでもなるって…



とか言うんだろうな…



『蒼太、男だろ?時には強引なくらいがいいんだぞ?』


『……。』



まぁ…なるようにしかならないか…







そろそろ出る頃だろうと、お風呂出入り口付近にある待合い場所に向かった。



『蒼太、遅いよぉ。』



椅子に座って待っていたコマキ。濡れた髪をアップにし、色白の頬がほんのり赤く染まり色っぽく見せた。



『……ごめん』



濡れ髪の浴衣って…

俺は思わず生唾を飲んだ。



『そだそだ!めちゃ雪降ってたねぇ!綺麗だったなぁ。』



殆ど雪が降らない地で育ったコマキには、白一色という景色が新鮮だった。それだけに感動も倍増した。



『よかったな……あ!』



俺は凄い発見をした。何で今まで気付かなかったのか…



『え!?なに?』



いきなり大声を出す蒼太に驚くコマキ。



『コマキ、バカだなぁ。何で気付かないかなぁ。』



俺はニヤつきながら呟く。そして…



『今日、ホワイトクリスマスじゃんか!』


『あ!ホントだぁ!』



目をまん丸に見開き、俺の事を見つめるコマキ。そして、優しくニコッと微笑んだ。



『蒼太?』


『ん?』


『旅行ってこんな感じが旅行って言うのかなぁ。』



口を尖らせながら話し始めたコマキ。旅行未経験のコマキには全てが初めてだった。子供の様に周りを見回し、子供の様に喜ぶコマキに、いつしか護ってあげたい人へと変わっていた。



そんな時…



『あ!』



驚いた声を出すコマキ。ヒョコヒョコと一人歩いていってしまった。



『どうした?』



見ていたのは旅館のお土産屋。俺も急いで後をついて行った。



『蒼太!マジナイグッズ!わぁ、いっぱいあるねぇ。』


『げっ!』


『げってなに?げって!』


『…い、いや』



思わず声に出てしまった。このパターンは…。でも、マジナイグッズが全国展開してるなんて…。コマキが楽しそうに見てる時って、決まって……



『蒼太、これ可愛いね。』



ほら来た…



こんな所で買わなくたって…。思っていても財布は徐々に軽くなり、レシートが増える一方……




あぁ…もう帰りたい。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ