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12月後半なのに、ヤケに暖かく感じた。
天候に恵まれたお陰で日差しが気持ち良く、俺達を包み込んでくれていた。
日頃の行い……かな?
周りを見渡せば木や畑。紅葉も終え、枯れ葉は風に流され飛んで行く……。少し切ないな……
ガサガサ…ガサガサ…
コマキは枯れ葉の乾いた音を聞きながら楽しそうに歩いていた…
『なんか、こういうのいいね!』
いきなり立ち止まり、山を見つめるコマキ。
『……そうだね。』
周りに便利なお店や自販機。少し歩けば何でも揃う。そんな環境で育ったコマキは、この大自然の開放感を目で、耳で、鼻で感じていた。
『私、旅行とか行った事……ないんだぁ…』
『え!…そうなん?』
初耳だった。親は共働きってのは知ってたけど…
『蒼太?』
『ん?』
『私、泊まってもいいかなぁ。』
『あぁ、良いよ…………えぇ?良かねえだろ!』
いきなりの爆弾発言!清々しい顔しやがって……可愛いじゃねえか…
『なんか……帰りたくなくなっちゃった…』
畑で働くお婆ちゃんを見ながら、少し寂しそうに呟くコマキ…
そんな寂しげな顔をするコマキに、俺は何も言ってあげれなかった。
『なぁ〜んてね!』
ニコニコと微笑むコマキ…。顔では笑ってても、心に嘘は付けないもんだよ…
……コマキ
『無理すんな!俺の前では素直になれよ…な?』
『じゃ、今日ぐらい……一緒にいてよ!』
……え!
ふざけた様子もなく、ジッと俺を見つめていた…
え?
これはどういう事だ?
コマキは何を求めてる?
俺は、見つめられたまま動く事が出来なかった…
『あははっ!蒼太、すぅぐマジになるんだもん!可愛い。』
笑いながら俺の頬を突っつき…
『んじゃ行こ?』
笑いながら明るく振る舞い歩き始めた…
何故かな…
コマキの背中が泣いている様に見えるのは……
今はソッとしておこう…
あれ?
さっきまで晴れていた空…遠くの空に怪しい雲影が迫っていた…
何もなきゃいいんだけど…