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『蒼太?……蒼太!』
窓の外から照らされる日差し。白い布団とシ-ツが光を反射する様に輝いていた。
まるで天使が現れそうな風景を思わせる…
『蒼太?…嫌だよ!』
ずっと泣いていたコマキ。反応しない俺に抱き付き、さらに号泣した……
ぐぅ…ぐぅ……
コマキは『…あれ?』っと、俺の顔をマジマジと見た。
……寝てる?
『…寝てんの?はぁ〜?』
呆気にとられたコマキ。キョトンとしながら数秒の時がたち、寝てる俺にデコピン、そして頬をつねった。安心したのか、瞳を潤わせ呟いた…
『もう、心配させてぇ!』
怒ったフリをするコマキ。そして…そっと口にキスをした……
俺が気付いた時には下校の時間だった。目が覚めると目の前にはコマキ。後ろには隆弘と静。何かもめていた。そんな2人をヤス達が止めに入っていた。
『また喧嘩かよ!』
俺は上半身を起こしながらニコッと笑みを零し、突っ込みを入れた。
『あ!蒼太起きたぁ!』
すぐに気付いたのはコマキだった。嬉しそうに大声を出し、周りの目も気にせず抱き付いてきた。
自然に……不思議なくらい自然にコマキを抱き締める俺…。
強く…強く…
あれ?俺…喋れるし動ける…
さっきまで喧嘩していた隆弘も静も、俺達の幸せそうな光景を目の当たりにし、ただ見つめるばかり…
そして、ため息を吐き…
『いつまでやってんだ!』と、少し照れた様な表情をする隆弘。
俺は思う…
生きてて良かった…
皆がいてくれて良かった…
そう思いながら温もりを感じ続けた。
今回の件でマジナイの威力をまざまざと感じさせられた。本当に凄いんだな…。もう少し遅かったら…。ここにはいなかったのかもしれない……
俺はいない人…
残念だったな!俺はいない人じゃなくて、いなきゃいけない人になるんだ!コイツ等と、ずっと一緒に…。
色々聞きたい事は山ほどあった。でも、皆の喜ぶ顔を見たら、モヤモヤもどっかに吹っ飛んでしまった!
これからもよろしくな!
でも……
隆弘…この間の一発は忘れねえからな!
イブまで……明日!