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いない人…
俺は消えるって事なのか?
結局、何もわからず朝を迎えた。
携帯を見ると無数の履歴とメール…
学校で話せばいいか…
微熱はあるが、俺には時間がない!早く会わないと…
『おはよ!』
『あぁ!蒼太!大丈夫なん?』
急いで駆け寄り、心配そうに俺を見つめてきたのは綾だった。
『あぁ…まだちょっと熱あるけど…』
綾はすぐに俺の額に手の平を当てた…
冷たくて気持ちいい…
……昨日来たの、綾か?
ふと昨日の事を思い出した。目がぼやけてて分からなかった相手…。感覚的に今と良く似た感じがしていた…
『ちょっ、微熱じゃないし!蒼太、帰った方がいい!』
『……大丈夫だよ!』
『大丈夫じゃないよぉ…』
『大丈夫だから。それより昨日、俺ん家来た?』
『え?行ってないよ?え!誰かい…』
綾じゃない…かぁ…
綾の頭をポンと叩き、自分の席に着いた。俺の事を心配してくれるのは凄く嬉しい。でも、俺には時間がないんだ…。ごめんな…
席に着くと同時に隆弘が前の椅子に座り…
『よぅ、大丈夫かよ!』
『おぅ!悪かったな…電話出れなくて。』
『いいよそれは。後で話あるんだけど…マジ大丈夫か?顔色悪いぞ?』
そんなに悪いんかなぁ…。俺自身麻痺してるのか?でも、そんな事言ってられないんだ…
こんな時って、時間が凄い長く感じるんだよな…
どうにか午前の授業を終わらせ、いつもの屋上に行こうと廊下を歩いていた。
ダルい…
『椎名!』
ん、誰だ?後ろを振り向こうとした……その時!
意識が遠のく…。足がもつれ、そのまま倒れ込んでしまった!
俺の後に付いてきた隆弘…。
『蒼太!どうした?三橋、てめえ何したんだよ!』
『……なんも…』
あれ?隆弘…。意識はあるんだけど……。体が言うこときかない…
『蒼太!…蒼太!』
隆弘は俺を抱きかかえながら何度も叫ぶ様に呼んだ。その声に気付いたのか、すぐに飛び出してきたのが静。
『どう…え!隆弘?蒼太どうしたの?』
動揺を隠せない静。手を口にあてたまま動く事が出来なかった。
『隆弘……』
『何だよ!』
『誰か…マジナイ…で、俺を…填めようと……してる…』
『マジかよ!』
『その紙……を…』
手が震え、呂律が廻らなく…
『蒼太、え?』
後ろにいたのはコマキ。驚きのあまり言葉を無くす…
コマキはすぐに俺の横に座り、俺の事を見つめていた。そして、ソッと額に手をあてる…
『下がってないじゃん!何してんの!』
いきなり真面目な顔をし、怒り出すコマキ。
あぁ…やっぱりコマキ、来てくれたんだね…
『おい、んな事より保健室…連れてくぞ!』
周りに野次馬が集まる中、俺は隆弘に担がれ、保健室へ運ばれた。
保健室のベッドに寝かされ、逃げ出さない様にとコマキを側に。そして、何も言わず隆弘は急いで保健室から出て行った。
俺の横にはコマキ。久々に見るコマキは新鮮な感じがした。
『蒼太?何で無理したの?』
二人になって気が緩んだのか目に涙を溜めながら話し始めるコマキ…
『そっか…喋れないかぁ……蒼太?昨日……』
……昨日?
『私、ずっと寂しかったんだよ?蒼太に逢いたくて逢いたくて、毎日泣いた。……でもね?』
我慢していた涙が溢れ出す……。何があったんだよ…。そんなに苦しかったなら、俺に話してくれれば…
『ごめん…。』
涙を拭い、再び話し始めた…
『隆弘から蒼太の家聞いて行ったの。そうしたら遥さんいて。帰ったら電話貰える様伝えて下さいって…。蒼太、TELしてもメ-ルしても返ってこないから……グスッ…嫌われちゃったかなって…』
俯き、でも頑張って話そうとするコマキ。俺はまた泣かせてしまったんだな…
『…でもね?…グスッ…でも、蒼太…私の事探してくれてたって聞いて……蒼太、早く…元気になってよぉ!』
ハンカチじゃ追い付かない位の涙を零すコマキ。今まで俺は何をしてきたんだ…
『ごめんな……』
『え?……蒼太!』
本当に小さな声しか出せなかった。でも、コマキの心には届いた様だ…
そして、コマキはバッグのポケットから何かを取り出し、俺に見せてきた。
コマキが徐に出した物は、グシャグシャに丸められた水色の紙だった。
『……これ、蒼太が病んだ原因かも…』
コマキは丸まった紙を少しづつ広げ、俺に見せた…
まさしくマジナイハ-トだった。そして、センタ-に書かれた願いは…
椎名蒼太がいなくなればいい!
正直……震えがきた…
『コマキ…それ…破って……くれ…』
『うん!』
コマキは今までの鬱憤を晴らすかの様に破り捨てた。
『蒼太?これで元気にな……蒼太?』
俺の意識は…
このまま俺……死んじゃうんかなぁ…