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通行人が見てる中での隆弘の一発…
周りがざわめく中、隆弘は走り去った。俺の口からは血が滲み、手の甲で拭う…
手に付いた血を見て…
熱くなる…
さぁ…行こうか!
俺は内心かなり燃えていた…。隆弘とは反対方向へ走り出した…
向かうのは…隣街。そして、コマキに…
駅に着き、改札をくぐり抜け電車に乗り込んだ…
気持ちが先走る…
もう……迷いはない!
駅に着き、携帯の時計を見る…8:45
あれから一時間近くたってるな…
少し慌てながらも冷静に判断。メインの通りを走りながら探す…
いない……
飯でも食ってんのか?
一軒一軒くまなく探す。
マジいねえよ!
12月後半にもなるのに体中に汗をかいていた。口からは白い息…
上着を片手に持ち、ひたすら走りコマキを探した…
ハァハァ…ンハァ…
迷いながらも街中を走った…。制服を見ては声を掛け…。出来る限りの事はした。
クソッ…何処にいんだよ!何で見つかんねえ!
『何処にいんだよ!』
苛立ちと自分の無力さに腹が立ち、辺り構わず怒鳴り散らした!
そして、走り出す…
コマキ、何処行った!頼む出て来てくれ……
俺の願いも虚しくコマキを見つけ出す事は出来なかった。
終電間近の時間…
俺は渋々電車に乗り込んだ。脱力感…。体が異様な程に重い。
終電の車内は寂しい程に人気がなく…とても寒く感じた…
汗をかいたせいか体が冷えきっていた…
人気が徐々に減る。そんな中、俺は地元の駅を後にした…
ブ-ブ-…携帯のバイブ。携帯をポケットから取り出し開く…
あれ…隆弘だ!
どうしたんだ?……疲れたし、殴ったし…。今は出る気分じゃねぇ…
何か頭がボ-っとするな…
ずっと鳴りっぱなしの携帯…
バッグの奥の方にしまい、その後出ることはなかった…
家に着き、玄関を開けようとドアノブに手を添えた……
隙間に紙が挟まっていた…手紙?
何だ?
気にはなったが、後で読もう。手紙を左手に持ち扉を開いた。朦朧としながら玄関を閉め家の中に……
ドサッ…
リビングでTVを見ていた遥。玄関の方から物音がすると、気になり……
遥は俺を見て凍りついた!
『ちょ…蒼太?お母さん!』
玄関で俺は倒れていた…
あれ…動かねえ…
隆弘の電話、この手紙…。何だったんだろう……後回しにしなきゃ……良かった…
そう思いながら意識は薄れていった…
イブまで……あと3日…