4
結局、コマキと静は俺達のいる屋上には来なかった…
俺達はチャイムと同時に階段を下り、教室へと…
途中、B組の前を横切る。少し通りずらいな…
隆弘はお構いなしに歩いていった。
そんな時…一人の男が窓からコッチを見ていた。
あれ…さっきの奴…また見てる…
180ない位の背丈の男。短髪で爽やかなタイプ。如何にもスポ-ツやってます!って顔してるよ!
まぁ、相手してもね…
隆弘も全く気にも止めない感じで前を素通り……止まった!
『お前よぉ、あんまなめんなよ?俺…敵に廻したら怖いよ?』
隆弘は前を見たままスポ-ツマンに聞こえる様に呟いた。そして教室に入っていった。
後ろから見ていた俺は、隆弘とスポ-ツマンの異様な空気をビシビシと感じる…
そして、ビビるかと思えば笑みを浮かべていた…
下校時間になり…
結局、コマキと会う事はなかった。
今日は久々に隣の街に繰り出す事にした。
何故って?正直言うと、コマキと静に逢ってしまうと気まずいから…
電車で五分。改札を抜け、フラフラと歩きながら話していた。
『なぁ、静は?』
『ん?喧嘩!いつもの事だから。』
隆弘は俺に微笑みながら話始めた…
『俺達はしょっちゅう喧嘩してるし、こんな事はマジしょっちゅうなんよ!ただ、今回は俺がやりすぎたって…。俺が謝るまで口利かないってよ!』
『はぁ…。』
『静にもコマキの事は言ってねぇ!』
『……謝らないん?』
『はぁ?男がんな簡単に頭下げて…バカだなぁ!』
『バカじゃねぇし!』
『蒼太は絶対に尻に敷かれるタイプだな!』
『うるせぇ!』
『っていうかさぁ、ここ…何処?』
『……さぁ!』
いつも通ってる街とは違い、久々に来たってのもあり少し迷子気味の俺達…
来た道を戻ってみたり、冒険してみたり………ドツボにハマったらしい…
気づくと空は真っ暗に…。歩き疲れ、俺も隆弘も足が棒に…
そんな中、同じ学校の制服を着た人を発見!
『蒼太、うちの奴等じゃん?女もいる!行こうぜ?』
『…女はいらねえけど…早く帰りてぇ…』
ショップの前で商品を見ているらしい。俺達は疲れた体に鞭を打つように歩いた。
いくら歩いてもたどり着かない…。まるで砂漠を歩いてる心境…
徐々に距離が縮んでいく……!
『何だよ、男連れかよ!それも、随分とでけぇなぁ!』
隆弘は残念そうな表情を浮かべながら歩く。
『……おい、蒼太!あれ…』
隆弘は思わず生唾を飲んだ。
俺もすぐに気付いた!その制服を着た人達は、コマキと三橋だと…
『やっぱりアイツが三橋だった!』
隆弘の歩くスピードが徐々に加速していく!今にも殴り掛かりそうな勢いだ!
逆に俺はどんどん失速していった…
『隆弘?……もういいや…』
『え?』
隆弘は驚いた表情で俺を見つめた。
所詮、噂話……
心の何処かで信じてなかったんだろう…
コマキがそんな事…
実際に自分の目で見てしまうと……諦めも付くかな……
俺はコマキを目の前にし立ち止まった。そして何も言わず引き返した。
こうしてコマキとの距離が徐々に遠ざかっていった…