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朝の出来事…
気にしない様にしていた。あまり大事にはしたくなかった…
午前の授業が終わり、俺はいつも通り屋上に向かう…
廊下を一人歩いていると、知らない男が見ていた。
俺は知らないフリをし、男の横を素通りした。
階段を上がり、屋上のフロアに座りこみ壁に寄っかかりながら外を眺めた…
ただ、話してただけ……だよな…
独り言を呟いていた…
コツ…コツ…
階段を歩く足音。
ん?誰か上がってくる…
俺は階段をボ-っと見つめ、誰が来るのか待っていた。
『お、いたいた!』
来たのは隆弘だった。
『あれ、静は?』
『知らね!』
朝の件で隆弘も喧嘩したのかな…
特に会話もなく、少し沈黙が続いた…
頭の中では沢山喋っていた……言葉にならない…
その沈黙を破ったのは隆弘だった…
『蒼太さぁ。』
隆弘の声は心なしか暗かった…
『ん?』
『二人だから…本音で話すけど。』
『……何だよ改まって。』
声に覇気が感じられない…朝の事、気にしてんのか?
『蒼太…コマキ、どう思ってんの?』
隆弘の表情は真剣だった。ふざけてる様子もなく、自分の事の様に悩んでる…
『朝の事か?』
『あぁ…』
俺の中でも三橋って奴は少し気になっていた。顔も知らない、性格もわからない…確かに不安な気持ちは募る一方…
『……好きだよ。』
隆弘は思わず『えっ!』って…。目が点になっていた。
自分でも驚いていた。好意があるという事は隆弘も知っていた。でも、自分の口から好きという言葉が出るとは思ってもみなかった。
『好きだけど…、選ぶのはやっぱりコマキなんだよな…。』
『だってよ!』
『正直…まだ告ってねえんよ…。』
隆弘は何も言わず、ただただ耳を傾けていた…
『俺達は付き合ってはいない…。誰と話そうが何をしようが俺が止める…そんな権利は……ない。ただ……』
『……ただ?』
『いや……。』
俺はクリスマスに告白しようと思っていた。特別な日、最高のプレゼントを持ってコマキに告白しようと……
隆弘にはなんか言えなかった。恥ずかしくて…
『ただ…選ぶのはコマキだから。』