第五章 1 いない人
あれ…夢?
また変な人…
何でいつも俺を見てる?何か文句があるんならハッキリ言えよ!
『あなたは、いない人…』
は?
一筋の光が俺の目を照らす…
眩しい…
何なんだよ…
光を手で遮っても貫通…何だこの光!
ガバッ…
布団をめくり上げ、勢いよく起きた。
あ…眩しかったのはこれか…
寝る前にカ-テンを閉め忘れ、朝の日差しに照らされていた。
夢…だよな…
冬なのに体中、汗をかいていた。
俺は…いない人…
『蒼太?朝ご飯だよ?』
ドアの向こうから呼ぶ遥。
『あぁ!』
制服に着替え、とりあえず下に降りる事にした。
リビングに行くと、おかん、そして遥が椅子に座り朝食を食べていた。
『おはよ!』
俺は挨拶をし、遥の隣の椅子に座った。
『蒼太、昨日遅かったねぇ!コマキちゃんと?』
玉子焼きをつつきながら話掛ける遥。朝から鋭い質問をしてきた…
何か嫌な予感…
『あぁ、そうだよ!』
俺は味噌汁を啜りテレビを見ながら軽く流した。
『コマキちゃん、良い子なんだから泣かせちゃダメだよ?』
『はぃはぃ!』
俺がいつ泣かせた?話に付き合ってたら時間がいくらあっても足りない。
そんな時…
テレビ番組で特集がやっていた…
『今日の特集です!この冬人気のマジナイハ-ト、グッズを出している店舗数、急増中!』
あ〜ぁ、すげぇな…
『あ!蒼太知ってる?』
遥…いきなり大声だすなよ…
『なに?』
『これホントに叶うんだって!私の友達も叶ったって!』
『遥、行儀悪いわよ!』
口からポロポロとご飯粒をこぼす遥…。遥はかなりマジナイにハマってる…らしい。
最近、そんな話を良く耳にしていた。実際に……ヤスは叶った…のか?でも、ありえない事が現実化してるのは事実だ…
『私の願い叶ったんですよ!』
『あははっ、良かったですね。では、次の特集です……』
テレビのアナウンサ-軽くあしらわれてるし…
俺の夢から始まったんだよな…。今日の夢も…
俺はいない人…
少し不安はあった。
あんま気にしても始まらないから…とりあえず学校に向かう事にした。