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店を出ると日も沈み始め、暗くなるにつれイルミネ-ションが一際輝く。
俺を盾にし直接風を浴びない様にするコマキ。
時に走って逃げたり、止まってみたり。
何をするんでも笑ってふざけて…
ちょっとした幸せな一時…
途中、自販機でコ-ンス-プを買うコマキ。
『蒼太は何飲む?』
『ん?しるこ!』
『え?』
『……何だよ!』
コマキは驚いた表情をし、少し戸惑いながらもボタンを押した。
『はい!』
『ありがと!あちっ!』
コマキはしるこを飲む俺を見ながらコ-ンス-プを飲む。少し嫌そうな顔をしながら……
『蒼太……んまい?』
『コマキ!お前飲んだ事ないの?』
昔から甘党な俺。特に和菓子の小豆系は無類に大好物。そんな俺に『うまい?』なんて言葉こそありえない話だ!
『飲んでみるか?』
『……うん』
俺は飲みかけのしるこを差し出した。
コマキもコ-ンス-プを渡してきた。
『おしるこだよ?めちゃ甘くない?』
『当たり前だろ?甘くないしるこなんかねえ!』
どこぞの漫才師のマネをしコマキを笑かそうと……無視…
……気を取り直しコマキからもらったコ-ンス-プを飲んだ。
『あ、蒼太関節キスしたぁ♪』
思わずこぼしそうに!
『ゲホッ!アブね、いきなり…ゴホッ!』
今時関節キスって……。でも…なんか意識したら少し照れるな…
『コマキだってしるこ飲んだら関節キスじゃんさぁ!』
『……』
コマキはそっと口をつけ、しるこを一口口に含んだ。
『なぁ?しるこうめえだろ?』
『蒼太とキスしちゃったぁ。』
口から白い息をはきながら微笑むコマキ。
この時、なんか胸がキュッと締め付けられるものを感じた。
暗くてわかりにくかったけど、頬がほんのり赤く染まっていた気もした。
関節キスと言われて照れてしまった俺。逆に関節キスと意識したまま敢えてするコマキ。
冬の寒さでさえ心地良く感じさせてしまう一時…
二人暖まりながら…少し照れながら街を後にした。