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店の中に入ると隆弘、ヤス、有弥と他校の制服着てる五人組が睨み合っていた。
隆弘達の後ろに静、なお、沙耶……。
なおと沙耶は今にも泣きそうに…
何してんだ…
『おい!何、調子こいてんだ!』
他校の奴等が怒鳴り散らしていた!
いかにもバカっぽい奴等だな…
コマキに女達と店を出るように指示し、俺は隆弘の元へ向かった…
『隆弘、どうしたんだよ!』
『あ?こいつらマジムカつくんだよ!』
『隆弘さん!マジ殺しますかぁ?』
隆弘もヤスもやる気全開かよ…有弥は……!目つきが違うよ…
『ちょ…待てよ!お前等誰だか知んねえけど、喧嘩なんか辞めようぜ?めんどいよ!』
『お前こそ誰よ!チキンは下がれや!』
確かに…ムカつくな…。
俺は隆弘の耳元で呟く…
『隆弘…女達を先に逃がす。その後でくらわすかぁ…。』
『コイツ等余裕だべ!』
コマキに店から出るように目で合図した…
『な〜にコソコソしてんだよ!』
蹴り?振り向き様に…紙一重で!
いきなりかよ…
立て続けにもう一人が拳を振り回してくる…
寸前の所で避けた。コイツが仕掛けてきたお陰で、乱闘が始まってしまった。
隆弘は蹴りを入れてきた奴の顔面を殴り、壁に叩きつけた!
ヤバいだろ…まだ、女達はここにいるんだぜ…。
コッチは四人…か…
『コマキ!取り敢えず連れて逃げろ!』
『うん!早く!』
コマキはなおを。
静は沙耶の手を引っ張り店を出ようと…
一人の男が行く手を阻む!
『可愛いじゃん?何処行くん?』
『はぁ?かなりウザいし!』
静と沙耶は辛うじて店の外へ…
『ちょっ…マジ触んなよ!』
『は〜ぃ、残念でしたぁ!』
な!コマキ…
後から出ようとしたコマキとなお、出入り口で男に腕を捕まれていた!
『コマキ!早く逃げろ!』
『お前の相手は俺だろうが!』
集中出来ない…
顔面に二発、腹に一発…
くっ…
余所見してる場合じゃない!コマキ…早く逃げろ!
隆弘は相手を追い込み優勢に…
ヤスと有弥も四人で絡んで何とかなってるな…
俺が行ければ…
そんな時…
『離してよ!』
コマキは必死に抵抗…
バチ-ン!
頭にきたコマキ!男におもいっきりのビンタ!
『なお!先に行って!』
その隙になおを表に押し出した!
『いって〜…んだテメェ!』
『あんたがしつこいからいけないんでしょ?!』
男は逆上し、コマキを思い切り突き飛ばした!
『キャッ!』
軽いコマキは、予想以上に吹っ飛び倒れ込んだ!
『コマキ!』
コマキが吹っ飛んだ…
コイツ…殺すか…
頭の中で熱く込み上げる物を感じた…。そして、その瞬間、込み上げた何かが弾けた…
『お前…覚悟しとけや!』
今相手してる奴の胸ぐらを掴み、顔面に頭突きし、胸元に蹴りを入れた。男はバランスを崩し倒れこんだ……今だ!隙を見、走り出した。
そして、コマキを突き飛ばした奴に跳び膝蹴り!
顎にヒット!
そいつは勢いよく外まで吹っ飛んでいった!
俺は、すぐにコマキの元へ…
『コマキ、大丈夫か?』
『痛いよぉ…あ!蒼…あぶ!』
ゴキィ-ン…
な…何だ?
今までにない激痛……
何だ?頭が…痛い?…熱い?
鉄パイプを握り締めていた男…
一瞬……物音一つない空間と化した…
『イヤァァァ!蒼太…蒼太…』
コマキの叫び声に皆が反応した…。
『蒼太!』
隆弘…あれ?
今、喧嘩…勝ったんか?
あれ…体…動かねえ…
『テメェ!マジ殺す気かよ!』
『蒼太さん!ヤバいっすよ!おい!テメェ等逃げんなよ!』
ヤス…有弥…顔、モロにやられたなぁ…
『隆弘、早く何とかしてよ!止まらない!早くぅ!』
コマキ…何で泣いてんだよ…。
こんなに強く抱き締めて…胸…当たってるぞ?
意識が徐々に遠のく…
ん?コマキ…すげぇ血…俺がコイツ等…ぶっ潰してやるか…らな…守る…から…
『蒼太?蒼太?…蒼太!……』
あれ?耳が…皆の声が遠のく……。
目の前が真っ白く…