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気配を感じた…
振り向くと…
誰もいない…気のせい…
涙を拭い、流れる雲を目で追った。
自由だな…
目を潤わせながら空を見つめる。
何も考えず雲を見つめる。
どの位の時間が足ったのか…
目を瞑り、風を感じる…
風の音、鳥の羽ばたき、グラウンドから聞こえる人の声…
目を瞑るだけで、目では見えない違う世界。俺にはコマキが見える…めちゃ笑顔だな…
コトッ…
コト?コトって何だ?
えぇ…何だろ…
目を徐々に開いた…
そこには想像以上にニコニコしているコマキがいた。
『わぁ!』
俺は思わず少し逃げてしまう。
そんな俺の行動を見て…
『蒼太、逃げないのぉ!』
怒るフリをするコマキ。
『今日のお弁当だよ。はぃ!』
何が起きたんだか全くわからない…
いつからいたんだ?
『あれ?いつからいたん?』
『ん?ずっといたょ?』
『え…えぇ?俺…一人で…だったよなぁ…』
『寝てたじゃん。』
寝てた?気付かぬ内に寝てしまったのか……
『もしかして…昼休み?』
『うん。』
コマキはドアの方を指差した。俺は差した方を見てビックリ!
隆弘達が飯食っていた。ヤス達と…
『蒼太、早く来いよ!食い終わっちゃうだろ?』
『蒼太さん、一緒に食べ…あぁ!隆弘さん、俺のタマゴ焼き!……なおの愛がぁ…』
隆弘は口いっぱいにヤスのタマゴ焼きを頬張りながら手招きした。
皆笑顔だ…
コマキも笑顔だ…
俺はまた視界が歪む…
『おう、今行くぜ!コマキ行くぞ!』
『うん!』
俺の考えすぎだったのか…。でも、繰り返したくはないな。
皆…一生仲良し。
そんなお願いもいいのかもな…