表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
8/64

旦那様は教えてくれなかったよ。でも上手に出来ました~!

注射室には私一人で入室した。


「今、俺たちパーティ組んでるから、見学は出来るんだけど、中には入れないんだ」


 とゴーダ君は言っていた。


 でも、注射室は三面を白い壁に囲まれ、一面はカーテンで仕切れらた部屋で、どうやって見学できるのか見当もつかなかった。


 他には、注射用テーブルがある。

 それしかない。


 全くどうして良いのか分からない。


 そう思っていた時、どこからともなく女性の声でアナウンスが聞こえてきた。

 恐らく、先程の受付のお姉さんの声だ。


「テーブル前の椅子にお座り下さい」


 私は指示された通りに、座る。


 テーブルには、赤色の液体が入った注射とと黒色の液体が入った注射が一本ずつあった。

 なんでよりによって赤と黒?

 おっかないお薬もあったもんだ。

 しかし、これはゲームだ。深く考えちゃいけない。


 他に、紙の束があった。

 注射は一本ずつだったのに、紙は100や200はありそうだ。


 一番上の紙にはこう書いてある。


 患者名―相沢 明広。

 指示注射―黒


 段々、何をするべきか分かってきた。

 と同時に、アナウンスで私の予想が正解だと教えてくれた。


「それでは、ゲームを開始します。指示書通りに注射してください」


 数秒後、カーテンの奥から、実写のお兄さんが入ってくる。


「チース。相沢明広です。黒の注射お願いします」


 そう言って、テーブルを挟んで私の対面に座る。

 右手を捲くり、テーブルに置く。


 私は黒色の注射を取る。

 すると、いつ補充したのか分からないぐらいすばやく、テーブルに二本目の黒の注射がほじゅうされていた。


 が、そんなことはどうでも良いのだ。


 私は困ってしまった。


 私は気がついた。


 このゲーム。触覚がないのだ。 


 血管を捜すのが難しい。


 と言うか無理だ。


 相沢さんが、目で見て分かるぐらい血管の浮き出る人だと良かったのだけど、全然見えない。


 赤い直系1cmの出来物しか見えない。


 そうして私が困っていると、またアナウンスが流れた。


「指示された色の注射を、患者様の腕にある赤い点に注射してください」


 なるほど。

 あれは、出来物ではなく、目印だったらしい。

 今度こそ、やり方が分かった私は、次々と注射していく。

 何人に注射したか分からないが、手際は良かったと思う。




 20分後、つまりゲーム内の1時間後、アナウンスが流れた。


「お時間です」


 そして、なにやらジャージャン! と効果音。

 多分、良い雰囲気の効果音。

 

 効果音の後に、アナウンスは続く。


「あなたは、74人に注射しました。ミスは0です」


 そして、また明るい雰囲気の効果音。


「Sランクです。おめでとうございます!!」


 となにやら褒められた。

 無我夢中だったけれでど、結構凄かったみたいだ。


 私は得意気な顔と気分で、部屋を出た。


 ゴーダ君は部屋の外にいた。

 やっぱり、どうやって見学していたのか見当もつかなかったが、


「おめでとう! 凄いじゃん!」


 と褒めてくれた。


 人に褒められるのは良い。


 そして、褒めてくれると、現金な女だな、ちょっとゴーダ君の評価を上げてしまう。


 その後、ゴーダ君に案内され、受けつけのお姉さんに報酬を貰う。


 報酬はカードだった。


 もう、ゲームに慣れて来た私は、ゴーダ君に説明されるまでもなく、スマホのカードリーダーに、もらったカードを食べさせる。


『あなたの所持金は5740円です』 


 と表示された。

 

 なるほど。 

 私の時給(リアルでは20分だけど)は、740円らしい。

 

 少し、ガッカリした。

 

 私はそのことについて、ゴーダ君に愚痴ろうか悩んでいた。 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ