表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
44/64

二人の結末1

 ログインすると、マイホームが俺の視界にはいるはずなのに、そこには懐かしい光景が広がっていた。

 スーナと暮らしていた家だ。

 そっか。別居が終わったんだ。

 表札にはスーナとゴーダの家とあった。

 俺のマイホームでもあるんだよな。

 どうしよう。

 まだ答えは決まっていなかった。

 漠然とダラダラと今まで通りの生活を続けたいと思うのだけど、それで良いのかと不安にもなる。

 今日は仕事をする気にもならなかった。

 玄関開けて直ぐのソファーに座り、考えた。

 俺は一体どうするべきなのだろうか?

 どうするのがスーナのためになるだろうか?

 


 

 今日で別居が終わる。

 2日酔いにも負けず、私は仕事を頑張り、手早く帰り支度を済ませ、帰宅後も手早く夕食も済ませ、ラブワールドに直ぐにログインした。

 ログインすると、表札が変わっていた。いや、戻っていた。

 スーナとゴーダの家に戻っていた。

 私は深呼吸。気持ちを落ち着かせ、ドアを開けた。

 すると、玄関直ぐのソファーにゴーダ君はいた。


「ゴーダ君……。久しぶりだね」


「あ、うん。久しぶり」


「元気してた?」


「元気だった。スーナは?」


「元気じゃなかったかも。色々悩んじゃった」


「なら、俺も。悩んだよ」


「そう。うれしいな。ちゃんと考えてくれたんだ。本当はね、私イベントに夢中になったりもしたの」


「それなら、俺もだよ」


 会話は途切れた。

 雑音は何もなかった。

 鳥の声も、人の声も、車の音も、工事の音も、何もなかった。

 ゴーダ君の息遣いすら聞こえてしまいそうなぐらい、無音だった。

 ゲームの世界ならではだった。

 

「なんか、食べようか?」


 私は本題に移れなかった。

 この一ヶ月でレベル4になった料理の腕前を披露することになった。


「うん。そうしよう」

 

 ゴーダ君は困ったような顔をしながら、同意した。

 



「ポルシチ? 凄いじゃん」


「リアルでも得意なのよ」


 スーナは料理レベル4になったのよと得意げに語りながら、料理を持ってきてくれた。


「うまっ! 久しぶりだからかな。スッゲー旨いよ」


 俺はついいつものノリで褒めてしまう。

 対面した今ですら、まだ答えを決められていないのに、自然とお礼代わりに旨いと言ってしまう。

 

「本当? 良かった」

 

 スーナの笑顔が、胸に突き刺さる。

 そのまま俺たちは世間話をしながら、例えば二人ともミーナさんとお菓子を交換していたことに驚いたり、イベントはやってみると意外と楽しかったと同調したりしながら、ポルシチを食べた。

 味がしないのが本当に悔やまれるぐらい美味しそうだった。


「あ~、旨かった」


「美味しかったね……。味しないけど」


「だね。でも、絶対旨かったはずだよ」


「試してみる?」


「ん?」


「私の、本当の手料理、食べてみる」


 スーナの顔は真っ赤だった。

 目線はこっちを見ようとしない。斜め右下あたりで泳がせていた。

 多分、俺の顔も赤くなってきている。

 ついに、きた。

 スーナは踏み込んできた。

 俺はどう答えれば良い?

 

「ゴメン。分からないんだ」


「え?」


 スーナの瞳が俺を捉えた。目が合った。

 心臓が騒がしくなってくる。

 息苦しい。

 俺は正直に今の気持ちを伝える事にした。

 

「色々考えたんだけど、良く分からないんだ。スーナは好きだよ。でも、それは愛とかじゃなくて、そもそも愛って何なのか良く分からなくて……」





 ゴーダ君はそのまま何も言えないみたいだった。

 言葉を捜しているみたいで、顔を上下左右に動かしながら、必死に「えっとその」と口ごもるだけで、次の言葉はみつからないみたいだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ