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ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
43/64

逃げないのよ

 明日で、別居期間が終わる。

 今日は、そんなドキドキの休日を過ごしていた。

 正直、答えを聞くのが怖くて逃げ出してしまいたかった。

 すると、突然電話が来た。

 アキコからだった。


「いよいよ明日だね。久しぶりに若旦那に会えるんでしょ?」


「若旦那って、多分、意味違ってくるよね」


「今、大事じゃないでしょ! 脱線しないのっ!」


「うん。そうだね。ちょっと、分からない。なんかドキドキして落ち着かなくて不安で、つまり気持ちはぐちゃぐちゃしてて、なんだか良く分からないの」


「そっか~。まぁ、大丈夫でしょ」


「そうなの?」


「さぁ~?」


「そっか……」


「まぁ、分からないけど、大丈夫だよ!」


「そうなの?」


「さぁ~?」


 優しいのか優しくないのか、アキコは慰めながらはぐらかしていた。

 私は今日一日暇なのだし、ふと思いつき、ゲーム内で会えないか提案しようとした。


「そういえば、アキコもラブワールドやってるんだよね。もう、終わっちゃうけど、今イベント中でしょ? お菓子とか余らしてない?」


「え? あ、えっと、うんっと、大丈夫! 固定で交換するメンバーいるから」


「そうなんだ。やっぱりゲーム内でも友達作るの上手なんだね」


「まぁね~」


「否定して欲しかったな。理由はないんだけれど。褒め言葉に肯定で返すアキコは嫌いじゃないけれど」


「じゃあ、いいじゃん!」


「そうね。そうかもしれないね」

 

 結局、ゲーム内では会えなかった。


「やっぱりそわそわしちゃうの。落ちつかないの。久しぶりに会えないかな?」


「ん。良いよ~。15時ぐらいまでなら、時間あるよ」


「ありがと。良かった」




 私たちは久しぶりに喫茶店でアキコと会うことになった。

 久しぶりに会うアキコは、依然見た通りだった。

 小顔で、ほほにもお肉が付いてない。

 飾り気のない単純ポニーテールが若々しく見える。でも、ちょっと幼くも見える。

 やっぱり幼く見えるの方がしっくりくるかな。

 身長も小さも相まって、可愛らしい。

 でも、注意してみれば、ちょっとヤバイ太ももと二の腕。タプタプ。


 私は出来心、あるいは友達心からちょっと忠告してみた。 

 ビシっと私は頭を叩かれた。


「会っていきなり失礼な奴だな」


「だって~」


「あんたは痩せすぎなのよ。逆に」


「だって~」


「だってじゃないの。私は大丈夫。脱がなきゃ分からないタイプでしょ?」


「逆脱いだら凄いんです、だね」


 私はもう一度叩かれた。

 

 と、他愛のない話。

 最近の仕事の様子(愚痴が大半)とか、患者さんと色恋沙汰はないの? という冗談にある分けないじゃんと返したり、本当に他愛の話をした。


「今日はありがとうね」


「全然! まぁ、もし駄目だったら、うちのアニキもいるよ。やっぱり、より戻したいみたいよ」


「それはないわ」


「あらら。だよね~。まぁ、本当大丈夫だと思うよ。ハニートラップにもひかからなかったし」


「え? なにそれ?」


「うふふ~ん。何でもない!」


 こうして、アキコのなんかいやらしい含み笑いを見ながら、私は喫茶店を後にした。

 ゴーダ君のことは殆ど話さなかった。

 でも、心のざわめきは少しずつ消えていった。

 訳は分からないけれど、なんとなく落ち着いてきた。

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