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ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
41/64

俺だけじゃないはず

 昨日は父ちゃんに覗き見され早く寝たし、今日は午後からしか講義がないから、朝からログインした。


 ログインして直ぐに気が付く。


 通知設定切らないといけない。

 そうしないと、ログインするたびにスーナにメールが届いてしまう。


 そして……。


 暇だ。

 思いのほか、スーナありきのラブワールドになっていた。

 何をして良いものか、思いつかない。

 むしろ依存していたのは俺なのかもしれない。

 ちょっと、困っていると、運営からスマートフォンにメールが届いた。


 シット!


 って毎週思ってる事を思い出した。

 そうか。今日メンテだったな。

 俺は急ぎ仕事を1回だけやって、ログアウトした。




 大学から帰ってログインすると、またもや運営からメールが届いていた。

 なんでも、ハロウィンイベントをやるのだそうだ。


 ラブグラスを外し、ホームページを見てみる。

 仕事をして、お菓子をもらって、名刺と交換って、何じゃそりゃ。

 ちっとも楽しくないじゃないか。

 ラブワールド始まって早2ヶ月。

 初の公式イベントが、名刺の交換って、そりゃないよ。

 いや、あるのか。

 出会い系ゲームだもんな。

 面白さよりも出会いでしょ、って感じなのかな。


 俺はちょっと他の人の意見も気になり、ネットサーフィン。

 なんだ。

 みんな同じような不満を覚えていたらしい。

 最新技術を駆使したネットゲームは、恋に飢えた人より、濃厚なゲーマーを呼び込んでしまったか。

 あるいは、プレイヤーの中でもネットで愚痴るタイプはゲーマーが多いのか。


 どっちでも良いや。


 とりあえず、マイノリティじゃない事に安堵感を覚えてしまう。

 悲しいけど、俺、日本人なのよね。

 さて、とりあえず、やることもないし、イベントやりますか。


 今日も安定のBランクで2500円ほどを稼ぎ、4つのお菓子をもらった。

 ケーキだった。

 アイテムの詳細データを詳しく見てみると、自分じゃ使えない属性だった。

 全く、余計な所にこだわる運営だな。

 イベント興味ない人が食費をうかすぐらい良いじゃないか。

 って、だから、運営的には出会わせたいのか。

 うん。

 多額の税金を使ってるから、それが正しいのかもしれない。

 でも、俺は不満だった。


 さてと、相互交換する相手に、6人はあてがあるんだよな。

 俺は母ちゃんとフレンド2人とお菓子を交換し、4時間経ったのでまた仕事をして、4つのお菓子をもらい、フレンド3人とお菓子を交換し、1つあまったまま、ログアウトした。

 

 


 次の日も2回仕事をして、お菓子が1つ余った。


 次の日も2回仕事をして、お菓子が1つ余った。


 そのうち誰かと交換するさと思いながら、次の日も仕事をすると、お菓子が腐っていた。


 賞味期限3日かよ。

 いや、ケーキとしては長いのか。

 でも、レベル1だと飴だろ。

 賞味期限3日の飴って、そりゃないだろ。


 いや、それはどうでも良く、イベントにけちをつけてたくせにいつしか夢中になっていた俺は、1日1つのロスも許せず、攻略サイトでみんながどうしているか調べた。

 すると、なんでも、中央公園で交換会をしているらしい。

 俺は思ったね。 

 夜に行けば、スーナと会ってしまうかもしれない。

 出来るだけ午前、無理でも夕方に行こう。


 そして……。

 夕方に行くと、以外な人物と出会った。


「ヤッホー。ゴーダ君」


「あ、どもッス」

 

 ミーナさんだった。

 

「ゴーダ君、こんな時間にログインするんだね。何してる人なの?」


「仕事ッスか? いや、あんまりリアルのこと聞かない方が良いッスよ」


「え? ネットマナーとか? でも、これ、出会い系ゲームだよ」


「あ~……。そう考えると、変じゃないかもッスね。まぁ、関係なく俺は答えられるんですけど。大学生ッスよ。一年生」


「お~。若いんだね~!」


「結構みんな驚くんですよね。スーナも最初は怒鳴ってました」


「あはは。そうだろうね。驚くよね」


「ところで、ミーナさん。やっぱりお菓子目的ですよね。ここにいる理由は」


「ま~ね~。あ、する? しちゃう? 交換?」


「是非お願いしたいです。俺、なんか毎日丁度1つ余るんですよね」


「そうなんだ。じゃあ、毎日交換しちゃう? 名刺交換するついでに、メル友になっちゃう?」


 ぐいぐい来るな。

 男に対するガードが低い人なのか。

 すでに仮想旦那がいる事実で男避け出来ると思ってる人なのか。

 あるいは、俺に好意を持ってくれているか……。

 ないな。それはない。

 今日とこの前の2回しか話してないんだ。

 危ない危ない。

 男が勘違いしやすいのは、きっと、DNA的性質だよな。

 野生動物的には、勘違いしやすい男のほうが都合が良かったんだろうな。

 そう。

 俺だけじゃないはず。


「そうしましょう! 助かりますよ」


 俺は変な事を考えていた事を悟られないように、お菓子を交換する約束を取り付けた。

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