やっぱりラブなのよ。
イベント2日目からは、私とイチローさんとスーナさんは毎晩会うことになった。
どうやら、日付をまたぎさえすれば、同じ人とお菓子と名刺の交換しても良かったからだ。
お注射ゲームメインにすることにした私は、毎日お菓子を5つゲットし、つまりは、毎日5人と交換しなければいけないのだけど、毎日だと相手を探すのは大変なのだ。
3人の交換会が始まって、3日目にはポイントの交換方法を教えてももらった。
「んっとね、公式ホームページに書いてあるよ。
イベント最後の週に、交換専用のNPCが中央公園の噴水前に現れるって」
「あ、なるほど。だから、お菓子の交換会も噴水前なんですね」
「そうかもねっ! 主催者の真意はわからないけどね。
それより、ちゃんと公式ホームページを見る習慣つけないと駄目だよ!
色々、損するよ」
「大丈夫じゃよ。ちゃんと見るようになったはずですじゃ。ねぇ、スーナ殿」
「はぁ。見てるつもりなんですけどね。見落としちゃのうかな」
私はサラリと嘘をつき、後頭部をポリポリとかく。
とまぁ、つまりはそのうち噴水広場に交換コンピューターキャラが現れるらしい。
4日目には、私はあることに気が付いた。
「あら、イチローさんって31歳なんですね。思っていたよりはお年です」
「なっ……。あ! しまったですじゃ。ミスりましたですじゃ。
設定を直すの忘れてたですじゃ」
「あはは! 今日、最初に交換した人が、名刺に年齢提示が必須条件だったんだよね。
あの人は、真面目に恋人探してるんだね~」
「忘れて下さいですじゃ」
「無理ですよ。もう、見ちゃったし。ちょっと覚えやすい年齢ですし」
「へぇ~。なんでなの?」
「元彼と同じ歳なんです」
「それは……、運命を感じますな」
「いいえ。それは感じませんよ。だって、31歳のプレイヤーなんて、沢山いますよ」
イチローさんは何故か落ち込んでいた。
とことん、負けず嫌いな人だった。
そのイチローさんはお菓子を交換が終わると、いつも直ぐにログアウトしてしまうのだけれど、7日目にはログアウトしなかった。
その日は時間があったらしく、今度こそ3人でダーツをすることになった。
ダーツは得意だった。
それはゲーム内の話なのだけど、一人ダントツで高得点だった。
これは、そろそろ自信持って良いかもしれない。
自分自身にラブワールドの才能がある。
そうして、3週間。
私はイベントを楽しんだ。
そろそろ別居生活が終わる。
ゴーダ君のいない1ヶ月が終わる。
出会って1週間で1ヶ月も離れる事になったけれど……。
私のゴーダ君への想いは変わっていなかった。




