初めて訪れる我が家。
多分、あれが私の家なのだろう。
そして、まだ私の旦那様はいないのだそうだ。
表札には『スーナと (空白) の家』とある。
家は、一階建ての建物。
正面から見ると幅は小さい(2mもない)けれど、奥行きがある家だ。
イメージとしては15tトラック。あるいはキャンピングカー。
ちょっと、不自然。
三角形の赤い屋根は、小さい正面から見て、辺を確認できる。
言い方を変えるならば、横から見ると三角形屋根の面を見ることができる。
おぉ。凄い。
横に回ってみて、気が付いた。
池があるみたい。
玄関を通って、家と堀の間を通って、家の裏まで回ってみると、池があった。
幅直径二m、奥行き直径1mの小さい池だけれど、池があった。
池しかない庭ではあるけれど、池付き庭なんて、初めて肉眼で見た。
いや、これはリアルでも、偽者か。
な~んだ。ガッカリしちゃった。
私はとりあえず、正面に戻り、家に入ってみる。
ドアを開けると、靴置き場があって、あとは一部屋しかない。
手前から……。
両サイドの壁に二人掛けのソファーがあって、ソファーとソファーの間にテーブルが一つ。
次に現れるのは、左手側の壁に空の本棚。
そして右手側の壁に、これはゲームなんだと思い出させる宝箱みたいな道具入れ。
最後に現れるのは、キッチン。
突き当たりにコンロがあって、左手側にシンクとキッチンテーブルがあって、右手側に冷蔵庫と食器棚がある。
冷蔵庫の中身は空だった。
シンプルな家ね。
トイレもお風呂もベッドもないわ。
私が与えられた初期マイハウスにガッカリしていた時、後ろでドアが開く音がした。
振り返ると、アニメ男がいた。
三頭身の全身はちょっと可愛い。
けれど、チャライ。
金髪ボサボサヘアー、ダボダボトレーナー、ポケット沢山ズボン。
けれど、やっぱり、顔は可愛い。
爽やかそうな健やかそうな目は顔との比率がおかしいぐらいとにかく大きくてまつげも長い。
流石アニメ、流石アバター。
爽やかそうな健やかそうなのはお口もで、嫌味なく白い歯を見せびらかせながら大口開けて笑っている。
もちろん、顔との比率はオカシイ。大きすぎる。
それでも、けれども、なんだよ。
可愛いんだよ!
周りが実写だかコンピュータグラフィックだか知らないけれど、超リアルの世界に、3D映像であたかも目の前にいるように見えるアバターキャラは、チャラ男気取っても可愛いんだよ!!
私は、しばらく、興奮して見つめてしまった。
道端で子猫を見つけた時のように、無言で見つめてしまっていた。
彼が喋りだすまで、ずっと見つめていた。