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ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
38/64

飲んでも飲まれるな、なのよ。

「うん。仲良さそうだったよね? おじいちゃん」


「わしには分からんのですじゃ」


「そうですか」

 

 私たちは仲が良さそうに見えなくもない関係だったのか。

 私自身はうまくいってると思っていた。 

 でも、別居してしまった。

 急ぎすぎたのかもしれないし、……ミーナさんは悪くないけれどミーナさんが明るいせいかもしれない。


 理由は良く分からないけれど、別居してまったのだ。


 チクリじゃない。

 久しぶりにズキっと胸が痛んだ。


 表情に出てしまってないかを心配しながら、私はイチローさんとお菓子を交換し、ミーナさんからは一方的にもらった。


 それから、私たちは、ダーツをすることになった。

 私は変わるのよ! 第一弾!

 ミーナさんから、明るく振舞う術を学ぼうとしたのだ。

 しかし、イチローさんは用事があるらしい。


「うぅ。今度、よろしくですじゃ」

 

 なんかうめき声を上げながら、とても悔しそうにログアウトしてしまった。

 カラオケで人と同じ曲を選び続けるイチローさんらしい、負けず嫌いな人だった。

 そんなに、ミーナさんと張り合うなんて、愛の形にも色々あるんだなぁと思った。

 



 ダーツはダーツバーでやれるらしい。

 バーがあることに私は疑問を感じた。

 気分が大事なラブワールドなのだから宜しいのだけど、ゲーム内で酔えない酒を飲む行為には、少し違和感を覚えた。


「覚えるからだめなのかな?」


 一時間ダーツもせずに、私たちは語っていた。

 気が付けば、私は酔っ払ってないのに、タメ口を使っていた。

 不思議な事に、ゲームでもお酒を飲み続けながら、愚痴り続けていると、なんだか酔っ払った時の様な気分になった。

 疑問を覚えてるくせに、すっかり雰囲気に飲まれていた。


「ん~。スーナはスーナのままで良いと思うんだけどな」 


「でも、ゴーダ君は明るい人が良いと、家を出てしまったわ」


「彼、若いんだよね。若いとそうかもね。私もそうだったよ! 若いときは刺激的な人が魅力的に見えるんだよね~」


「へ~。ミーナさんはゴーダ君を若いと言える歳なんだ」


「ん? そうだね。もう、四捨五入したら三十路だよ!」


「若く感じる喋り方だったから、驚いたわ」


「そうかな? えへへ。私、若い喋り方か~。まぁ、ゲームではキャラ作ってるんだけどねっ!」


「ロールプレイだよね。……それが、ウケたのかな~。私もやってみようかな」


「だから、スーナはスーナのままで良いの」


「そうかな~」


 そのまま、更に1時間語り続け、私はログアウトしなければいけない時間まで語ってしまった。

 

 ゴーダ君のことを全部打ち明けるなんて、自分でも思っていなかった。

 でも、アキコの他に相談できる人が出来たので、ちょっと気が楽になった。

 2人が大丈夫だと言ってくれているのだ。

 きっと、私たちは終わらない。

 そんな気がした。

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