私たちはどうだったのかな?
私は帰宅した後少し調べてみるも、やっぱりポイントの使い方は分からないまま、今日もログインした。
とりあえず、お菓子を貰うためにお仕事をする。
ゴーダ君に依存してないと証明するのだ。第2弾!
ということで、今日は点滴に挑戦してみた。
私は受付のお姉さんに点滴に挑戦すると伝える。
すると、10人がベッドに寝ている大部屋に案内された。
ベッドには名前が記載されている。
部屋の中央には作業台があって、例の如く赤と黒のあやしい薬パックが置いてあった。
そして、その作業台には、10人分のカルテ(と言っても名前と点敵のお薬の色だけ)も置いてあった。
大体何をすれば宜しいか想像はできるのだけれど、一応、私は様子見をした。
何もしないでいると、アナウンスが流れると予想したのだ。
数分後、やっぱりアナウンスが流れた。
「赤木 隆弘さんの点滴がなくなっています。作業台でお薬の色を確認し、交換してください」
とのことだ。
なるほど。
一人あたりの単価が変わらないならば、注射の方が稼げそうだ。
何故なら、このゲームで高得点を取るためには、カルテを暗記しなくてはいけない。いちいち確認していたのでは、駄目なのだ。
更に、全員の点滴を常に把握し、次に誰の点滴がなくなるかも把握しなくては、高得点は出せそうにない。
私にあるらしいラブワールドの才能、空間把握能力だけではちょっと無理。
結果、私は35人の点滴を交換して、Bランクだった。
つまりは1ポイント、1お菓子(飴)ゲットだわ……。
私はトボトボと中央公園に向かった。
今日も中央公園は賑わっていた。
私は誰と交換しようか物色していると、突然、声をかけられた。
「あ、獲物発見~! ねね、お菓子交換しようよ!」
ナンパじゃない。
相手は女性だ。
しかも知りあいだ。
ミーナさんだった。
少し遅れて、もう1人の聞きなれた声も聞こえてきた。
「おぉ。これは奇遇ですなですじゃ」
イチローさんだった。
「どうも。ご無沙汰してます」
「ね~。おじいちゃん寂しかったよね?」
「ゴッホン。そんなことは、……あるわい」
「ゴメンなさい。あの、その……、沢山メールしてくれたのに、返信が遅れてしまって」
「かまわんのじゃ。ゲームよりリアルが大事ですじゃ」
「ねね。スーナも交換相手探してたんでしょ? 良かったら交換しようよ!」
「あ、はい。是非お願いします」
じゃなかった。
つい、うっかり、私は答えてしまった。
「ゴメンなさい。実は、私お菓子1つしか持ってないんです」
「え? 全然、良いよね?」
「そうですじゃ。お菓子を貰ってくれるだけでもポイントは頂けますじゃ」
「ってことで、おじいちゃんはお菓子いらないって」
「違う! ミーナがいらんのじゃ」
ミーナさんはニヤリと笑った。
「仕方ないな~、もう。良いよ。スーナのお菓子はおじいちゃんにあげる」
「おぉぉ。感謝ですじゃ。ありがとうですじゃ!」
イチローさんはミーナさんの好意に大変喜んでいた。
なんか、二人を見てると、まるで仲の良い友達のようで、いや、仲の良い家族みたいで、ほっこりする。
これが、本来あるべき仮想夫婦の姿だったのかな……。
私たちは、そうじゃなかったのかな……。
「私とゴーダ君って仲良かったように見えましたか?」
私は会話の流れを無視して、聞いてしまった。




