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ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
37/64

私たちはどうだったのかな?

 私は帰宅した後少し調べてみるも、やっぱりポイントの使い方は分からないまま、今日もログインした。

 とりあえず、お菓子を貰うためにお仕事をする。

 ゴーダ君に依存してないと証明するのだ。第2弾!

 ということで、今日は点滴に挑戦してみた。


 私は受付のお姉さんに点滴に挑戦すると伝える。

 すると、10人がベッドに寝ている大部屋に案内された。

 ベッドには名前が記載されている。

 部屋の中央には作業台があって、例の如く赤と黒のあやしい薬パックが置いてあった。

 そして、その作業台には、10人分のカルテ(と言っても名前と点敵のお薬の色だけ)も置いてあった。

 大体何をすれば宜しいか想像はできるのだけれど、一応、私は様子見をした。

 何もしないでいると、アナウンスが流れると予想したのだ。

 数分後、やっぱりアナウンスが流れた。

「赤木 隆弘さんの点滴がなくなっています。作業台でお薬の色を確認し、交換してください」

 とのことだ。

 なるほど。

 一人あたりの単価が変わらないならば、注射の方が稼げそうだ。

 何故なら、このゲームで高得点を取るためには、カルテを暗記しなくてはいけない。いちいち確認していたのでは、駄目なのだ。

 更に、全員の点滴を常に把握し、次に誰の点滴がなくなるかも把握しなくては、高得点は出せそうにない。

 私にあるらしいラブワールドの才能、空間把握能力だけではちょっと無理。

 結果、私は35人の点滴を交換して、Bランクだった。

 つまりは1ポイント、1お菓子(飴)ゲットだわ……。

 私はトボトボと中央公園に向かった。


 今日も中央公園は賑わっていた。

 私は誰と交換しようか物色していると、突然、声をかけられた。


「あ、獲物発見~! ねね、お菓子交換しようよ!」


 ナンパじゃない。

 相手は女性だ。

 しかも知りあいだ。

 ミーナさんだった。

 少し遅れて、もう1人の聞きなれた声も聞こえてきた。


「おぉ。これは奇遇ですなですじゃ」


 イチローさんだった。


「どうも。ご無沙汰してます」


「ね~。おじいちゃん寂しかったよね?」


「ゴッホン。そんなことは、……あるわい」


「ゴメンなさい。あの、その……、沢山メールしてくれたのに、返信が遅れてしまって」


「かまわんのじゃ。ゲームよりリアルが大事ですじゃ」


「ねね。スーナも交換相手探してたんでしょ? 良かったら交換しようよ!」


「あ、はい。是非お願いします」


 じゃなかった。

 つい、うっかり、私は答えてしまった。


「ゴメンなさい。実は、私お菓子1つしか持ってないんです」


「え? 全然、良いよね?」


「そうですじゃ。お菓子を貰ってくれるだけでもポイントは頂けますじゃ」


「ってことで、おじいちゃんはお菓子いらないって」


「違う! ミーナがいらんのじゃ」


 ミーナさんはニヤリと笑った。


「仕方ないな~、もう。良いよ。スーナのお菓子はおじいちゃんにあげる」


「おぉぉ。感謝ですじゃ。ありがとうですじゃ!」


 イチローさんはミーナさんの好意に大変喜んでいた。


 なんか、二人を見てると、まるで仲の良い友達のようで、いや、仲の良い家族みたいで、ほっこりする。

 これが、本来あるべき仮想夫婦の姿だったのかな……。

 私たちは、そうじゃなかったのかな……。


「私とゴーダ君って仲良かったように見えましたか?」


 私は会話の流れを無視して、聞いてしまった。

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