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ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
30/64

パクパク。モグモグ。パクパク。

「ひゃっほーい。本日2度目のただいまだね」


 ゴーダ君は、いつかの時の用に、ドアを押さえてはくれなかった。

 我先にと家に入り、はしゃいでいる。

 そんな彼も、今の私には可愛く見える。

 私はお姉さん気分で、


「ほら、騒がないの」


 と注意をし、


「お腹減ってるでしょ? 鳴ってたもんね。直ぐ作るから待っててね」


 早速料理に取り掛かる。


「ね~。何作るの~?」


 とゴーダ君は甘えてくるので、


「内緒。この日のために頑張ったんだから、期待して良いよ」


 と私は赤面しながらなだめる。


「分かった~。待ってるね」


 とゴーダ君は素直に甘えてきた。

 なんか、気のせいじゃなければ、ナチュラル度が上がってきている。

 それは私に好意を寄せているからだろうか。

 あるいは単に慣れただけなのか……。

 

 まぁ、良いわ。

 

 私は悩みそうになった自分に言い聞かせる。

 まずは、目の前の料理に集中よ。

 もちろん、集中しようがしなかろうが、半オートなのであまり意味はないのだけれど、雰囲気って大事。

 

 最近になって思うのだけれど、ラブワールドって、大人が最新テクノロジーを駆使して行う、ママゴトなのよね。

 だから、本当、雰囲気って大事。

 

 2分後。

 私は料理に失敗した。

 さりげなく、ゴミ箱にポイする。

 現実との区別できなくなるからゲームは危険だと主張する人は昔からいるらしいけれど、私は大丈夫。

 リアルの私は、よっぽどの失敗じゃなければ食べる。

 

 さて、それはどうでも良く、2回目の挑戦で、私は見事成功した。

 実は、冷蔵庫に予備があるから、失敗を続けても良かったのだけれど、やっぱり、ここも雰囲気重視で出来たてを食べて欲しいのだ。

 それが、恋するナースの純情なのです。

 敬語を使ってまでして、私は私に言い聞かせる。

 心臓が騒ぎすぎているからだ。

 気恥ずかしさがあってのことかと、言い聞かせたのだけれど、効果はなかった。

 どうやら、ゴーダ君の反応を心配しての緊張か。


 ふ~。

 大丈夫。

 私の料理うんぬんよりも、ゴーダ君なら大丈夫。

 きっと、無邪気にはしゃいでくれるはず。


 私は、両手にお盆を持って、そっとゴーダ君に近づいた。 


「お、出来たんだ。やった~」

  

 ゴーダ君は自動アクションでジャンピング万歳をした。

 私は照れた。

 

「お、肉じゃがじゃん! やるね~」

 

 1褒めを頂いた。

 さぁ、見せてよ。

 君は何度おいしいと言ってくれるの?

 私はそう発言しようかかなり真剣に悩み、きっと私たちの関係は、出会って1週間の関係は、それほど深くない気がしたので、言わなかった。

 

「さぁ、どうぞ」


 とだけ言った。


「うん。いただきます!」


 パクパク。


「うほ。あつっ。でも、ウマイ!」

 

 モグモグ。


「いや~、味がしみこんでるよ」

 

 パクパク。


「うん。スーナの料理は世界一だね。何を作らせても、上手だね」


 とゴーダ君は私の予想通りに褒め殺してくれた。

 味のしない料理を、食べるフリしているだけなのに、やたらと褒めてくれた。

 ちょっとうそ臭くもあったけれど……。

 それでも、私は殆ど何も言えずに、ただただ顔を赤くするだけだった。


 怒ってばっかの空君とは共有できなかった、私の知らない、カップルの幸せな瞬間。

 あぁ、今、私、もっのすごく、満たされている!!

 

 でも、食事の後に事件が待っていた。

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