料理できるもん!
3連休2日目、私は一度ログアウトした。
が、リアルの私も暇だった。
本当ならば、ゴーダ君と一日中遊ぶつもりだったのである。
私は思う。
芽生え始め所か、ケッコー重症なじゃない? この恋の悩み。
さて、私は復習のため、目玉焼きをつくり、食べてみた。
どう考えたって、私は料理が上手なはずだ。
狙って、この丁度良い半熟具合を出せるのだ。
ゲーム内の私は、料理について過小評価されている。
その分、他の部分で大きく過大評価されているのだけれど、そこはそこ。あれはあれ。
全くのべつ問題なのである。
「おいしいもん!」
私は独り言。
そして、料理スキルについての不満に、あれ以降連絡をよこさないゴーダ君への不満も重なり、持て余す暇もあって、不貞寝。
目を覚ましたのは、夕方だった。
不満は綺麗に消え去っていた。ちょっと体も元気になった気がする。
そろそろ丁度良くゲーム内の疲労度も回復している頃だろう。
私は二回目のログインをした。
まずは、買いだめしてあった卵で料理スキルをあげた。
次に、お仕事。もちろんSランクで1400円とちょっとを稼いだ。
そして、最後に向かったのはスキル屋さんである。
肉じゃがレシピを買うためである。
「コマンド、コマンド、コマンド、料理レベル3で作れるレシピを見せて」
私はコンピューターに話しかける。
コンピューターはずらずらと、多すぎる候補を提示する。
えっと、こう言うときはっと……。
ゴーダ君との会話を思い出しながら、私はコマンドを唱えた。
「肉じゃがを見せてよ」
コンピューターは無反応。
おっと、忘れていた。コマンドと唱えなくては。
いちいち、面倒臭いな。
割と柔軟にデタラメの言葉で、コマンドを読み取ってくれるくせに、いちいち面倒臭いやつだ。
そう思いながら、言い直す。
「コマンド、コマンド、コマンド、肉じゃがを見せてよ」
コンピューターは4種類の肉じゃがを提示した。
初心者用肉じゃが、後味さっぱり肉じゃが、コクのある肉じゃが、とろ~りあんかけ肉じゃが。
ちなみに、とろ~りあんかけ肉じゃがが料理レベル3から作れるらしい。
私は迷わずこれを選んだ。
8000円だった。
家の改築が1万円の世界で、8000円だった。
なんだかんだで、結構出費をしている私は、ちょっと足りなかった。
でも、レシピは見れる。作れないだけ。
必要な材料をメモしスーパーで買い、自宅に戻った。
することもないので、ベッドに横になり、放置。
リアルの買い物に出るのだ。
今日は、肉じゃがにしよう。
とろ~りしたやつなんて、食べた事なかったな。
私はメモを参考に、リアルスーパーでも同じ材料を買ってみた。
もちろん、作り方は簡略されているので、正直当てにならない気もするが、そこは勘で作ってみよう。
買い物から帰宅すると、丁度ゲーム内の朝だった。
私は再びお仕事をして、かなり気合を入れてお仕事をして、自己レコードの90人を記録。つまりは1800円稼いだ。
これで、買える!
急ぎスキル屋さんに向かい、とろ~り肉じゃがのレシピを買った。
これまた急ぎ自宅に戻り、早速作ってみた!
色んな人に、と言っても3人だけれど、とにかくこのゲームの才能を褒めてもらえた。
だけれども、どうやら半オートの料理にはいかせないみたいだ。
私は肉じゃが作りに失敗した。
焦げ焦げとろ~り肉じゃがになってしまった。
食べてみる。
空腹度は満たされるものの、疲労度が5下がった。
食べると疲れる料理って何だよ。
ちくしょう。
私は成功するまでとろ~り肉じゃがを作った。
それは3回目だった。
良し。
成功品を冷蔵庫にしまい、今日はここまでにした。
早くゴーダ君帰ってこないかな。
楽しみだな。
そう思いながら、リアルでもとろ~り肉じゃがに挑戦した。
うん。美味しい。空君以外なら、みんな美味しいって言ってくれそう。
私は少し寂しくても、満足して、眠りに付いた。




