初友達
私がリアルスコアを告白すると、待っているのは大笑いだと、経験上予測したのだけれど、2人は平然としていた。
「だいじょーぶだよ! ゲームとリアルじゃ勝手が違うしね」
「こういうのは、楽しんだもの勝ちですじゃ」
と微妙に気を使わせて入るけれど、すんなり受け入れてくれていた。
さて、いよいよゲームスタートだ。
最初はミーナさん。
彼女はピンを7本と2本で9点稼いだ。
次は私の番だ。
右側に投げ、スピンをかけ、ストライクを狙う。
なんて高度なことはできない。
ただただ、真ん中真直ぐを狙うのだ。
事件はこの時起きた。
胸の前に構え、真ん中真ん中と心の中で唱えながら、私は玉を投げた。
玉はぶれる事無く真直ぐピンに向かい、見事9本倒した。
左端のピンが残った。
2投目。
私は左端のピンを狙って、左端に球を投げた。球種はもちろんストレート。
私は、念願の、リアルじゃ滅多に取れない、取った記憶が殆どない、スペアを記録した。
「やったー! やりましたよ!」
私は思わず叫んでしまった。
笑顔で迎えてくれるミーナさんに、ハイタッチ。
「やるじゃん!」
と褒めてくれた。
以降、私は次々スペアとストライクを記録していく。
結果、184点だった。
ミーナさん119、イチローさん139のなか、私は184点だった。
2人とも何度も褒めてくれていた。
まるで、リアルの私の下手さを知っているかのように、大げさに褒めてくれた。
ゴーダ君が言うように、私はラブワールドの才能があるのかもしれない。
その後も、1ゲーム100円のボーリングを何度も遊んだ。
スコアは少しずつ伸び、最後には200点オーバーを記録した。
私は確かな手応えと、かなりの充実感を胸に、スマートフォンでステータスを確認してみる。
少し、リアルに戻るのが嫌だったが、そろそろ倒れる時間だったので、ログアウトする事にした。
「そうじゃ。メール交換しましょうですじゃ」
とイチローさんの提案で、私たちはゲーム内のメーアドレスを交換した。
何でも、フレンド登録よりは緩い繋がりなのらしいけれど、イチローさんとミーナさんの説明はよく分からなかった。
私は友達と仕事関係の人しか、メール交換しない主義だ。
そして、もう、2人を友達と認識している。
私はメールアドレス交換を快く了解した。
私の予想は当たっていた。
2人は悪い人じゃなさそうだ。
こうして、ラブワールド初、私はゴーダ君以外の友達ができた。




