増築したよ。
三日目のラブワールドは、特に変わったことはなかった。
あ、あった。
昨日、お注射レベルが上がったので、早速レベル2のお仕事に挑戦した。
2本だった注射が、5本に増えただけで、難易度はさほど上がらず、私は67人に注射できた。
でも、1人単価は倍だった。
つまり1人に注射するたびに、私は20円を稼ぐのだ。
ゴーダ君が褒めてくれたのもあって、嬉しかった。
四日目のラブワールドは、家の改築をした。
なんでも、最初は1万円で改築できるらしい。
「どうする? 横に広げる? それとも二階建てにする?」
ゴーダ君は私の意見を尊重してくれるらしく、聞いてくる。
しかし、私には分からない。
「どうして、二階建てにするのと、土地を買って増築するのが、同じ値段なの? 納得できないわ」
「だから、それは、ゲームだから」
「そうだけれど……」
確かに増える居住スペースはどちらも2倍だけれど、同じ値段なのはおかしいと思う。
私はお得な方を選んだ。
「土地も家も手に入れるわよ!」
「りょーかい」
ちなみに、家賃は6000円になるらしい。
2人で割って3000円。
「お金に余裕があるのも夫婦の特権だよね」
リアルじゃそうはいかないだろうけれど、簡単に共稼ぎ主婦ができるこのゲームでは、その通りだった。
しかも、毎月、課金するごとに、ゲーム内でも5000円振り込まれる。
最初からある場所を、キッチンとリビング専用空間にした。
増えた場所は半分にしきりをして、2部屋作った。
1つは寝室。1つは書斎。
こうして、私たちは2つの部屋を手に入れた。
ちなみに、建築業者はいなかった。
ゴーダ君がスマートフォンで手続きを済ませ、一度ログインログアウトを、つまりは再入場をすれば、もう家は増築されていた。
お金にはまだ余裕がある。
私たちは、家具も買うことにした。
と言っても、ベッドとキッチンテーブル椅子セットを買ったぐらいだ。
どちらも1000円で、中々に高価だった。
「いや、リアルで1000円で買えるベッドなんてないからね」
とゴーダ君は言っていたが、その通りだと思った。
このゲームは、私の金銭感覚を狂わす、恐ろしいゲームだ。
そして、5日目はなかった。
私が夜勤だったからだ。
6日目。
明休、定休、定休の三連休の初日。
私は、初めての1人きりのラブワールドを体験する。




