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ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
14/64

私は叫ぶ女なのかしら。いいえ、違いますよ。

 最初はレシピ屋さんだ。

 正確にはスキル屋さんなのだそうだ。

 とても小さな建物だった。

 四角い建物で、エレベーター4つ分ぐらいの、小さな建物だった。

 入り口を開けると、見えてくるのも2つのエレベーター。

 エレベーターに乗り込んでみると、ボタンは二つしかなかった。

 1FとB1F。


「この先は個別エリアなんだ」


 とゴーダ君はB1つまりは地下1階のボタンを押しながら、言っていてけれど、意味は分からない。


「だから、インスタントダンジョンみたいな?」


 とエレベーターの移動中ゴーダ君は言うのだけれど、やっぱり私には意味が分からない。


「パーティごとの個室なの」


 ゴーダ君がそう言った後に、エレベーターのドアが開き、やっと私にも意味が分かった。


 最初の入り口は小さかったのに、エレベーターを降りたら縦も横も4倍ぐらいの大きな部屋だった。

 パソコンディスクと椅子が二セットあった。

 人は誰もいない。

 ゴーダ君の説明を加味すると、おそらくこの部屋は私たち専用なのだろう。


「やっと分かったわ」


「そう。良かった」


 ゴーダ君は微笑み、手を差し出し、『椅子へどうぞ』か『お先にどうぞ』のジャスチャー。


 私が座ると、パソコンには黒色のデスクトップだけが表示されていた。

 つまりは、スイッチが入ってないのだ。

 

 はてさて、これはどうすれば宜しいか? 

 

 私が困っていると、ゴーダ君も隣の椅子に座り、私のパソコンに近づいてくる。


「まずはディスプレイの横に、いかにもスマホを置くための装置があるでしょ?」


 確かにあった。

 スマートフォンの充電器みたいのがあった。

 

 私は置いてみる。

 パソコンは立ち上がり、青色のデスクトップが表示された。

 でもアイコンが多すぎて、どれを選べば良いのやら分からない。


「コマンド、コマンド、コマンド、料理レシピ」


 と突然ゴーダ君が言った。


「音声認識なんだ」


 後出しで説明してくれた。


「今のが?」


「そう。会話と勘違いしないように、『コマンド』を3回言うのがルールなの」


 するとデスクトップに、インターネットブラウザみたいなものが表示される。

 4つのリンクが表示されていた。


 レベルで探す。

 具材で探す。

 満腹度順で探す。

 特殊効果で探す。


「レベルで探す、ね」


 ゴーダ君の誘導通りに、リンクをクリックする。

 すると私の料理レベルで、つまりレベル1で作れるものが表示された。

 意外と多い。

 初心者野菜炒めに、初心者スクランブルエッグに、初心者シチューに、初心者とんかつに、えっと、などなどエトセトラ、結構多い。

 全てに『初心者』がつくけれど、一般家庭料理は網羅してそうな勢いだった。


「コマンド、コマンド、コマンド、カレーを検索」


 ゴーダ君が呪文を唱えると、3つに絞られた。


 鶏肉カレー、豚肉カレー、ひき肉カレー(初心者省略)


 私は聞いてみる。


「違いは肉の種類だけ?」


「そうみたいだね」


 なんか頼りない返答。

 理由は直ぐに分かった。

 きっと、ゴーダ君はカレーを作れないのだ。


 私は鶏肉カレーを選ぶと、『購入しますか? 代金は2000円です』のメッセージ。


「たか~い~!!」


 私の2日分の給料よりも高いじゃないの!! 


「もう。いきなり叫ばないの。

 スキルレシピは高いんだ。

 製作者側は個性にしたいだろうね。

 安いのもあるけど。

 塩おにぎりとか」


「買うわよ。女に二言はあるけど、今回は買っちゃうわよ!」


 私は投げやりに言った。『はい』をクリックした。


「ゴメンね。おごってあげられないんだ。自分のスキルレシピは自分でしか買えない」


「良いよ。やっぱり、私もカレー好きだし」


 手痛い出費ではあるけれど、早く家に帰りたい気持ち、ウキウキ気分で、スキル屋さんを出た。




 今度はスーパーだ。

 スーパーは、普通のスーパーだった。

 青果コーナーから始まり人参ジャガイモ玉ねぎを、お肉地帯で鳥モモ肉を、あとはカレールーをカゴに入れ、レジに向かえば、今度はゴーダ君がおごってくれた。

 でも、これだけ買って50円だった。


「物価が滅茶苦茶だ~!!」


 と叫びたい気分だったけれど、周りには沢山のアバターがいるので出来なかった。

 私は時と場所を選べる、賢い女だった。


 たわいもない話をしながら、主に今日の芸能人カップル結婚のニュースの話をしながら、私たちはスーパーを出て、家に帰った。 

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