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ラブワールド  作者: ササデササ
年下の旦那様
12/64

探りを入れる女。その名はアキコ。

「ねね、どうだったの?」


 私の帰宅直後を狙い撃ちするように掛かってきた電話。

 相手はアキコ。高校時代からの友人で、私の初彼氏の妹。


「なんか、不親切なゲームだったよ。

 良く分からないまま、仮想の夫が出来ちった」


「へ~」


「驚けよ。

 まぁ、いいや。

 今から驚かせてやる。

 相手は18歳だぞ!」


「マジで!!」


 友子は私の狙いどおりに驚いてくれた。

 別に驚かせたからって何があるわけでもないのだけれど、基本人を驚かす行為は楽しいものなのだ。


「で、で? どんな人なの?」


「ゲームはね。アバターなの。アバター分かる?」


「分かるよ。あんたよりずっとゲームについて詳しいわよ。兄持ち舐めるなよ」


「そう。だから、見た目はわかんない」


「きっとダメね。じゃないと、私が悔しいわ」


「別に、私はこだわらないから良いけど。でもね、性格もね、変かも」


「それは大丈夫よ。あんたも変だもん」


「それ言うの、天然言うの、友達だけだからね」


「だから、その程度の変人なのよ。親しくなったら感じる違和感。あら、この人変だわ」


「もう、反論する気にもならないけれど、私は信じない」


「あんたの話はどうでも良いよ。それで、どんな奴なのさ」


「だから、変人。失礼な人で、いきなり天然だのヒステリックだの言われたわ」


「当たってるじゃん」


「当たってないけど。まぁ、でもちゃんとなだめてくれて、褒めてくれるの」


「へ~。うちのアニキとは喧嘩ばっかだったのにね」


そら君はね。怒りっぽかったよね」


「あんたが天然だかららしいよ」


「また、話ずれた。

 それでね、私は離婚しないでしばらく仮想夫婦続けようと思ってるの」


「ずれてないよ。話戻そうよ。

 アニキより戻したいって言ってたよ。 

 ラブワールド反対、言ってたよ」


「いやよ。無理よ」


「だよね~。

 私はどっちでも良いような、

 流石にアニキの年齢的にヤバイ気もする様な、

 微妙な問題だから、

 えっと、う~んと、

 やっぱりどうでも良いや」


「うん」


「ちなみに、あんたのゲームの名前はなんて言うの?」


「スーナ」


「ナースだから、スーナでしょ。手抜き女」


「仕方ないじゃん。私、ゲーム良く分からないし」


「ゲームだけじゃない!!」


「とにかく、もう良いでしょ? 切るよ?

 旦那様がね、お昼ぐらいからずっとログインしてるの。

 正直、早く会いたいんだ」


「はいはい。ケッコ~はまってるのね。初日から」


「そんなんじゃないよ。

 あんたに言われて無理やり空君と初デートした時みたいな心境」


「じゃあ、発展するかもじゃん」


「かもね~。じゃあ、切るからね」


「うん。あなたは昔からそう。友より恋人を取る女だったわ」


「失礼な。切るからね」


「はいはい。自分から切れない女のために、切りますよ」


「うん。じゃあね」


「バイバイ」


 私は受話器を置き、早速ラブグラスを装着するのだった。

 楽しみな自分には、正直、自分でも驚いている。

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