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大人の手ーーーーー
「ッ!!」
コポッ
口を開けると自分が何かの液体の中にいるのがわかった。
気持ち悪いーーー
誰かーーーーー
ドクッ
その時だった。頭の奥で何かが、もう一つの誰かが目覚めた気がした。邪悪なモノが身体中を支配していくような感覚。目覚めた誰かの笑い声が響く。過去の記憶は無い。私は人間でないのか。
プシューー
また深い眠りにつきそうになった時、目の前のフタが二つに開いた。黄色い液体を通して男の人がこちらを見てるのがわかった。その人物と目があった瞬間、別の誰かに意識を持っていかれてしまった。
「おはよう。サイ。」
サイはゆっくりと身体を起こした。
「またお前か。」
アデルは白衣を脱ぐとサイの肩にかけた。
「ようやく、君達の出番だよ。」
「君達・・・?」
サイはアデルの奥に立つ2人の男を見た。2人共そっくりで双子のようだ。片方は金髪でもう片方は左目にモノクルをしていた。そして、彼等の手首には手錠がかけられていた。
「長い間眠っていて疲れたでしょう。そろそろ、外の世界に出てみようか。」
アデルは両腕をひろげて言った。
「了解。」