Blade:4
テスト期間ですが今日も元気に週一更新ッ!!
そういや今日は七夕ですね。
特に書く事もないので、叶うかどうか知りませんがここに願い事を書こうと思います。
えーと、そうだな、
『今年こそ滅茶苦茶可愛い女の子(弱ツンデレの金髪巨乳)が空から降ってきてキャハハウフフの素敵なリア充ライフが送れますように』
…。
……。
………むなしい(泣)。
自宅までボロ雑巾のように引きずられた俺は反論の余地も無いままシェオルによって詰問……というよりは拷問を受けてアインとの一連を洗いざらい吐いたあと、さらに追い打ちのように糾弾……というよりは私刑を受けた。
「ぐ、あぁ…。も、もう勘弁してくださ…い、シェオル様……」
散々ボコられゴミのように床に転がる俺。なんとも哀れだ。
「本当にあなたはどれだけ女の子にちょっかいかければ気が済むのかしら?いい加減学習したらどうなの?」
シェオルの蔑みを含んだ瞳が俺を捉える。
何を言う!美しい女性がいたら声をかけるのがマナーだろ!制裁を恐れてナンパが出来るか!!
「す…みません、反省…してま…す」
ごめん、無理だわ。
ここでそんなことを言ったら今度は八つ裂きにされる!
言いたいことを堂々と言えない自分の弱さが恨めしい。
シェオルは俺の言葉に満足したのか俺に顔を近づけてその艶かしい唇で言葉を紡いだ。
「そう。反省しているならこれから女の子にちょっかいかけないって約束出来るわね?」
ニコリとシェオルが柔らかく微笑む。
まるで絵画のような美し過ぎるその笑みに俺は身の危険を感じた。
「………」
否定も肯定もせずに顔を逸らす。
今の俺に真っ向から否定する勇気は無かった。
「………」
シェオルの笑顔が固まり、額に青筋が浮かぶ。やべえ、なにかくるぞ!
げしっ!
「ぐぇっ!」
わき腹にトゥーキックが炸裂する。爪先蹴りとか容赦ねえ……。
腹の痛みにのたうち回る。
もうこれはDVなんてチャチなモンじゃない。誰か、誰か助けてくださーい!!
「グオォォォォ……」
めっちゃ痛え。俺、いい歳して泣きそうだよ。
「フンッ!……ホントにバカ」
こうして夜は更けていった。
ああ?そのあと俺はどうしたかって?シェオルの命令により床で寝ました。痛かったです。
俺、一応シェオルの主なんだけどな……。扱いの酷さに全俺が涙した。
*
「うげー、背中痛てえ」
翌日、俺はまた金を稼ぐべくギルドまで足を運んでいた。
昨日、床で寝たから体中が痛い。
くそ、シェオルのやついつもに増して機嫌悪かったな。なんであんなに怒っていたんだ?わけわからん。
つーか、本人のいないところでしか愚痴をいえないとは本当に俺って立場弱いな。ガクッ。
………ん?なんかいつもに増して街が騒がしいな。
なにかあったのだろうか?
気になり近くの果物屋のおばちゃんに尋ねる。
おばちゃんは俺がガキだったころからの知り合いなので俺のことをよく知っている。
早くに両親を亡くした俺をなにかと心配してくれた人で、最後にはうちで引き取ってあげるとまで言われたがその申しでは丁重にお断りした。
見た目は子供でも中身は前世を含めて二十ちょいだった俺はおばちゃんに迷惑をかけたくなかったので一人で生きていくことにした。その際に色々とあったが最終的には俺が一人暮らしすることにも納得してくれたのだ。
「あら?カイルじゃないか!久しぶりだね、いつぶりだい?」
「どうもっす、おばさま」
「あはは、あんたが気を使うのは似合わないね。おばちゃんでいいよ」
まあ、今ので分かるとおり豪快な人だ。でもその気持ちの良い性格ゆえかなにかとこの果物店は繁盛しているようだ。
なんか天空の城に出てきた女頭領さんを思い出した。
「んじゃ、改めて……。おばちゃん、この街の騒ぎはなんだ?」
「ん?ああ、あれかい。なんでも王国から姫様がおいでになられてるらしいよ。そのおかげこっちも客が多いから感謝感謝だよ」
「姫様って、ソフィア姫か!」
ソフィア=セウスバルト姫。
この国、セウスバルト王国の第一皇女それが彼女だ。
まさにお姫様のイメージを具現化したようなお方で、優しく誰に対しても丁寧な方なので国民からの人気は高い。
そんな姫様がこの街に来ているらしい。これは俺もひと目……いやひとナンパしなくては!!
「ちょっとあんた、姫様にちょっかいかけようなんて考えてないだろうね?」
ギクッ!なぜばれたし!?
「あんたのことは子供の頃から知っているからね。なに考えているかなんてお見通しだよ」
くっ、さすがおばちゃん。無駄に歳をとってはいないということか。
「声に出てるよ。誰が無駄に歳をとってないだって?」
ボカンッ!
「ぐふぇ!?」
拳骨をくらう。それは俺の脳天を正確に撃ち抜いた。
「ホントにあんたはバカだね~。シェオルが言ってた通りだわ」
ぐうう、シェオルめ。なにをおばちゃんに話したんだ。
だが俺はこんなことで諦めない。必ずや姫様とお近づきになってみせる!
「まあ捕まらないように程々にしときなさいよ」
「りょーかい、りょーかい。わーてるよ」
俺はおばちゃんに別れを告げて、痛む脳天を抑えながら姫様がいるであろう人ごみの中目掛けて突っ込んでいった。
「おりゃああああ!紳士カイルのお通りだ!みんな退けえええ!!」
人ごみを掻き分けてズンズンと突き進む。今この俺を止められるものはいない!!
「うわっ、カイルだぞ!」
「なにぃ!?あの変態のカイルか!」
「あっ、カイルだわ。おーい!」
「カイル!てめー、この前のつけ払え!」
「変態だー!変態だー!」
「カイルくーん、今度お店にも遊びに来てよ。サービスするから♩」
「あれー?シェオルちゃんは一緒じゃないの?」
「変態で鬼畜だー!」
「いいからシェオルちゃんに会わせろー!」
「今日はギルドに行かないの?」
「カイルくーん!」
すれ違う人から次々と声をかけられる。
てか人のことを変態扱いしているやつは誰だ!俺はこんなにも紳士なのに。
適当に挨拶を返しながら奥へ奥へと進む。ところで『奥へ』って響き、なんかエロいよね。
「邪魔だカス共おおおおお!さっさと帰って寝ろボケェ!」
無理やり野次馬を掻い潜って最前列まで躍り出た。
どれどれ、噂の姫様は……と。
護衛の騎士たちに阻まれてチラッとだけしか見えなかったけど居た!
おおう、確かにあれはテラ可愛い。
なるほど、人気が高いわけだ。ありゃ。
もっと近くで見たいので体を乗り出す。
一人の護衛が俺に気付いてよって来たがそんなのかんけーねえ!
「だっしゃらああああ!!」
その護衛を吹き飛ばしてさらに前へ進む。
先ほども言ったが、今の俺を止められるものはいない。それが例え国家権力でもだ!!
姫様目掛けて突き進む。途中妨害してきた兵士は片っ端からぶん殴って気絶させた。安心しろ、命までは取らん。
「ソフィア様!」
「あら、あなたは?」
姫様に声をかけその場に跪く。うっひょー、綺麗な足だぜ!!
「私の名はカイル=アルヴァルト。この街のしがない傭兵です。この度はこの街に姫様が来られると聞き、挨拶に参りました」
紳士モードを全開にする。
ナンパは第一印象が決め手になる場合が多い。ここで誠実さをアピールしとけばあとあと楽だからな。
「カイル様ですか。ご丁寧にどうもありがとうございます」
「いえいえ、私めには勿体無いお言葉です」
スッと姫様の手をとり、そこに唇を落とす。
「ふぇっ!?」
先ほどまで優雅に振舞っていた姫様が顔を真っ赤にして動揺する。
あれ?もしかして初めてだったのか?
てっきり社交辞令で何度もされているのかと思ったけど、そんなこともなかったらしい。ニヤニヤ。
「あ、あの。これはいったい?」
「貴女に対する私なりの親愛のかたちです。……嫌でしたか?」
「そ、そんなことはないです。でも初めてで驚いたというか、その……」
うっわあああ超ウブだよ、このお姫様!
今ならいける。そう思い手を伸ばしたところ後ろから首元に剣が突きつけられた。
ちょっぴりチクリとしたよ!
「これ以上姫様に触れるな、この外道が!」
「うん?」
凛と透き通った声が響く。
振り返ると危ないのでうまく目を動かして後ろを見る。
そこにはこれまた別嬪な女騎士さんが立っていた。おお、ホントにこの世界には美人が多いな!
いやー、ホント、ありがとうございます!
「貴様!姫様に対するこの無礼、許すことはできない!」
「ちょっとイリーナ!?やり過ぎです!」
ソフィア姫が慌てて静止を呼びかけるもイリーナと呼ばれた女騎士さんは俺の首から剣を離す様子はない。やれやれ、困ったぜい。
「姫様は甘いのです。このような輩は野放しにしておくと付け上がります!早急に始末しておくに限ります!!」
おいおい、始末だなんて物騒だな。
ちょっと姫様に触れただけじゃねーか。
騎士っていう奴らはこんなにも頭が堅いのか。嫌になっちゃうね、もう。
「あーあ、こんな些細なことでブチ切れるなんて騎士ってやつも大したことないな」
「なに?貴様、この私をバカにしてるのか!」
首元の剣が薄皮一枚を切る。そこから血が溢れ出し服に滲む。だがそれでも俺は怯むことなく口を動かす。
「騎士はプライドばっか高くていけねえや。綺麗ごとばっかで醜いものから目を背ける。こんな奴らに王国なんて守れるのかね?」
「貴様ぁ!!私だけではなく、仲間まで愚弄したな!!」
イリーナが激昂する。ホントに扱いやすい奴だな。
ちょっと挑発しただけでこれだ。セウスバルトの未来が心配だな。
「ほら、手元がお留守だぞお嬢さん?」
バッと振り返り、突きつけられている剣の柄を足で蹴り飛ばす。
怒りで我を忘れていたイリーナから剣はすっぽりと抜けて、空中で円を描きながら地面に突き刺さった。
「なにぃ!?」
ククク、面食らってる面食らってる。
俺に隙を見せたのがお前の敗因だ。喰らいな、俺の必殺奥義!!
「パイタッチ!!」
「えっ?」
ふにゅん。
イリーナのたわわに実った二つの果実を鷲掴みにする。服越しでも伝わる弾力からその大きさを割り出す。
「ふむふむ、83のDか」
なかなかのもんだな。着痩せするタイプなのか?もみもみ。
「き……」
「ん?」
「きゃああああああ!!」
いきなり胸を揉まれ脳がショートしていたイリーナはふと我に返り、凛とした彼女からは想像出来ないような可愛らしい悲鳴がこの街全体に木霊した。