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Blade:2

そういえば今日はブラック2の発売日ですね。

私、みっちゃんはamazonで予約したのでそのうち家に届くはずです。


ああ、早く来ないかな……。

さらにハイオークの戦闘から五年。

中身も見た目もより男らしくなった俺は十匹ほどのダークウルフの群れに対峙していた。


「グルルルルルル」


「おうおう、そう吠えるなよ。俺だって早く家に帰りたいんだ。さっさと始めようぜ?」


ギルドの依頼内容である最近町周辺に住み着いたダークウルフ十匹の討伐を遂行すべく、武器を構える。

今回使うのは〈魔術式銃剣(リボルバー・ブレード)〉という銃剣。

今、ギルドの傭兵や王国の騎士たちの間で話題になっている〈機巧式魔術武装(アーティファクト)〉の一つだ。


機巧式魔術武装(アーティファクト)

その名の通り剣や銃といった武器に魔術術式を埋め込み、従来の武器の破壊力を数倍にまで跳ね上げることに成功した素性も何もが謎の鍛治師カインが製作する武器、それが〈機巧式魔術武装(アーティファクト)〉と呼ばれている新世代武装だ。


何故〈黒焔の裁剣(インフェルノ・ベイン)〉を使わないでそんな武器を使っているのかというと、確かに〈黒焔の裁剣(インフェルノ・ベイン)〉は俺が知っている中で最強の剣なのだがあれはあまりにも強過ぎる。

下手に使えば街一つくらいなら簡単に吹っ飛ぶとか強いにもほどがある。

よくハイオークの時にうまく制御が出来たな俺。一歩間違えたら今ごろ街は無かっただろう。そのことを考えると恐ろしくて震えが止まらない。


そのため現在は〈黒焔の裁剣(インフェルノ・ベイン)〉は最後の奥の手として出来るだけ使用しないようにしている。シェオルは不満気だったがこればかりは我慢してもらうしかない。

それにずっと〈黒焔の裁剣(インフェルノ・ベイン)〉を使い続けていても俺自身の成長には繋がらない。

そこで今俺が戦闘で使っているのが〈機巧式魔術武装(アーティファクト)〉というわけなのだ。


その製作方法は公表されておらずその希少価値の高さから幻の武器とも云われ、それを求めるものたちの間で高額の値段で取引されている。


そんな機巧式魔術武装(アーティファクト)を何故俺が持っているのかというとその答えは簡単で、鍛治師カインというのがこの俺、カイル=アルヴァルトと同一人物だからだ。



まず、この世界に於いて魔術、魔法を扱うためには術式というものが必要不可欠である。

術式と難しく言ってはいるが、要はその魔術を成功させるためのイメージなのだ。

術者のイメージの強固さによって魔術の精錬度が決まるこの世界で、常日頃から存在しない脳内彼女を前世そして現在とトータル二十年弱もの間妄想してきた俺にとって魔術のイメージなんてものは朝飯前だった。術式構築の精密さに関していえば他の追随を許さないほどに俺は特化していたのだ。


そんな妄想……いや、術式の組み立てが得意な俺は、ある日にシェオルから聞いた剣に魔力を流し込み斬撃を強化する方法を応用して試しに安物の剣に簡単な術式を組んでみたところ、ただのロングソードが岩の塊をやすやすと両断してしまったのだ。


それ以来、鍛錬を続けながらも独学で術式の構築を練っていたところ武器の切れ味を良くするだけではなく、その剣に属性の付与や剣を振った時の斬撃を飛ばすといった複雑な術式を組むことに成功したのだった。

前世ではバカ同然だった俺がこっちの世界ではあちらの世界でいうノーベル賞受賞レベルのものを作っているのだ。その事実に当の本人である俺が一番驚いている。

因みに、その構築した術式を組み込む武器の製作は信頼出来る知り合いの鍛治師に任せている。


そんな希少性の高さで知られている機巧式魔術武装(アーティファクト)シリーズの三番目に製作したこの〈魔術式銃剣(リボルバー・ブレード)〉はその強力な破壊力と戦闘での使いやすさから俺のお気に入りの一つでもある。


そしてその強力な破壊力を実現したのが『トリガーを引くことであらかじめ装填していた魔力を凝縮した弾丸が炸裂して、小規模な魔力爆発を起こす』という仕組みである。

小規模なものといえどその破壊力は凄まじく、下級ゴーレムぐらいのモンスターなら一撃で粉砕できるぐらいに強力だ。そんなバカ火力武器なので腕に伝わる反動はとんでもないことになるのだが、それは慣れるしかない。


「ギャオオオウ!!」


ずっと剣を構えたまま何もしない俺に痺れを切らした一匹が牙を剥いて襲いかかってきた。

そのダークウルフを魔術式銃剣(リボルバー・ブレード)で両断する。

頭から股にかけて一直線に切られたダークウルフはドス黒い血を流しながら地に落ちた。いきなり飛び掛ってきてびっくりした。


仲間がやられたことで次々とダークウルフたちが爪を掻き立てて俺に目掛けて飛びかかってくる。

その中の一匹に剣を突き立てて柄の部分のトリガーを引く。



炸裂(バースト)!」



ドガンッ!!


凝縮された魔力が破裂して剣の先端で爆発が起きる。

剣で突き立てた一匹と爆発に巻き込まれた三匹がその体を爆散させながら派手に吹き飛ぶ。その様子はかなりグロテスクで子供にはとても見せることは出来ない。


しかし、これで十匹の内の半分は倒した。残る五匹を早く仕留めなくては。


そこで今度は俺から仕掛ける。

爆発の煙で視界が悪い今がチャンスだ。一瞬で仕留める。

足の強化の術式を発動して前方への加速を続けながらすれ違いざまに三匹を切り殺し、そして四匹目も切り裂く。



残るは一匹。



この群れの中でのリーダー格が最後に残った。


「グルガアアアア!!」


仲間が殺されていく姿を見てダークウルフが怒りの咆哮をあげる。

だが俺はその横を通り越して剣を仕舞いポツリ呟く。



「―――お前はすでに死んでいる」



ドサッ。

某世紀末覇者のようなセリフと同時にダークウルフは大量の血液を吐きだしてその場に崩れ落ちた。

その死体には十字の深い切り傷がついており、そこには若干の焼けたような跡がついていた。


「我流『瞬劫』」


神速の剣技『瞬劫』。

この五年間でシェオルから教わった剣技を元に自分が一番やり易いように試行錯誤した結果、今のような状態になった。速過ぎる速度ゆえに切り込んだものに摩擦熱で焼け跡がついてしまうのだ。

改めてこの体のスペックの高さに驚く。これもイケメンパワーなのか?そうなのか?


まあ、無事に依頼完了したわけだしさっさと帰るかね。

ダークウルフの亡骸から依頼達成の証拠となりそうなものを適当に拾い集め、俺はその場を去った。

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