Blade:0
うおおおお!!テンション任せの見切り発車!!
ノリで書いたものなのでクオリティ低めですが、楽しんで貰えれば幸いです。
空を飛ぶ、自転車で。
大地から澄み渡ったあの青い空に目掛けておもいっきり飛び立つ。
しかし、幼い頃見た映画のワンシーンのように上昇することはなかった。
なので飛んでいるというよりも落ちているといった表現のほうが正しいかもしれない。
新学期初日の今日。
高校二年生になった俺は大事な新学期初日をフライングさながらのスタートダッシュで寝坊した。
春休みに夜更かしなどをして生活習慣が乱れまくっていたというのが大きな原因だろう。こんなことなら日頃から早く寝ていればよかった。
初日から遅刻なんて先生からの評判はだだ下がりだ。
ただでさえ成績は悪いのにこれ以上先生に悪印象を持たれるのは不味い。単位的な意味で。
我ながらよくあの壊滅的な成績で進級出来たものだ。一と二しかなかったもんな、成績表。
まあ、そんなギリギリ高校生活を送っている俺はこんなところで遅刻をするわけにはいかず、春休み中に全然乗らなかったチャリンコを引っ張り出してそれに跨った。
しかし、このまま日頃通っている道を通ったとしても学校には間に合いそうに無い。
そこで考えたのは山中自転車横断大作戦だ。
俺の家は山の頂上という高台にあり、交通に限りなく不便な場所にあり学校までは家を出てすぐの緩やかな螺旋状のカーブの道路を通らなければいけない。
だが、今日は時間がないのでその道路を走らずにそのまま一直線に山の中を突っ切ることにしたのだ。
勿論、道なんてものが無いのでリスクは高いがその時の俺は遅刻をしたくないという一心でその作戦を実行の移したのだった。
そして今に至る。
ああ、近道だからってあんな木の根が剥き出しのガタガタ道を通るんじゃなかった。
後悔するがすでに後の祭り。
ブレーキをしても車体は止まる気配もなくガードレールを突き破りそのまま大空へと飛び込んだ。
やっぱね、急がば回れってことわざは本当のことだと思うよ、昔の人は凄いね。みんなはこうならないように気をつけてね☆
「うおおおおおお!!アイ・キャン・フラアアァァァァァアアイ!!」
もうこうなったらヤケだ。
トマトみたいに潰れる前にこの状況を精一杯楽しんでやる。
ゴオオオオと風の音だけが聞こえてみるみるうちに近づいてくるアスファルト。
そこから導き出される答えは死。
「嫌ああああ、恐いいいいいい!!」
すんません。無理っす。
これめっちゃ恐いんだよ?嘘だと思うならお前も一回飛べば分かるから!
あー、クソ!こんなところで俺は死ぬのか……。
ふと今までの人生を振り返る。
結局最後まで彼女なんて出来なかった。
俺のなにがダメなんだろう?バカなのがいけないのか?そうなのか?
もし彼女が出来たら手を繋いで街を歩きたい、という俺のささやかな夢は結局夢のままに終わってしまった。
ちくしょう!こんなんじゃ死んでも死にきれねーよ。
女の子に触れることすら叶わないなんて悲しいにも程がある。
―――だから、魂を込めて青空の下で叫んだ。
「生まれ変わったらどうか俺をイケメンにしてくれー!!」
グシャッ!
弾けるような軽快な音とバカっぽい遺言を残して俺はこの世を去った。