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辺境伯家と寝室模様

さて、語ろうか。あれは市場を歩いていたときの事。

市場に薄汚い餓鬼がうろついているのを見た。


全裸賢者なるものが自分の持つ全てを投げ打って乞食街娼孤児奴隷を救いにかかってから見たこともない・・・・・・・・・・

かの御仁は全てを投げ打ったために裸一貫しか残らなかったらしい・・・・・

それでも、養い子たちが養うために王国に身売りしたとか・・・・・・・・・


話を戻そうか・・・・・・・・

市場で全裸賢者は茶を喫して弟子と語らっている。

其処に薄汚い餓鬼が近寄ってくる。

全裸賢者の名を持って自身の身の安全を求めているのだろう、その餓鬼は全裸賢者が服を着ていることに疑問の叫びを上げ倒れてしまう。


全裸賢者の弟子であろう黒髪の少年は薄汚い餓鬼の汚れがつくのを厭わずに抱きかかえ手当てをする。体を温め、薬湯を含ませ・・・・・・・・・・・さらには霊薬を口移しで与える。


わたしだったら遠慮するね。いくら可愛い女の子とはいえ薄汚れたゴミに近づくなんて・・・・・・・・・

黒髪の少年は戻って来い、ここで死ぬなんて結末は許さない!と叫びながら魂を呼び戻そうとする。


その願いが通じたのか薄汚い餓鬼は目を覚ます・・・・・・・・・・・

そして大きな麺麭を貪り食いながら泣いている。

それほど飢えていたのか・・・・・・・・・・・・

飢えるというのは辛いよなぁ・・・・ 見捨てられるというのは悲しいよなぁ・・・・

それを認めてくれる者がいたとき薄汚い餓鬼は信仰にも似た思いで彼等に服従するのだろう・・・・・・・・・・・・


と、思いきや「助けて!」と同郷の友や兄弟達への助力を願い出る。

厚かましい事だ・・・・・・無力であるという事がそれほどえらい事なのか?


それでも黒髪の少年は優しく問いかけ助けると約束する!


黒髪の少年は馬鹿だった・・・・・・・・・・・・

幼子をかきだくと自らの庇護下におくと神々と世界に対して宣誓したのだ!


あの時の叫びは忘れられない・・・・・・・・・・・


王でも神でも世界でもこの餓鬼を故無くして害する者すべてを殴ると言い切ったのだから!


傍らにいる全裸賢者は銀扇を手に名乗りを満足げにうなずく。

あたかも其処にいるであろう神が反対の声を上げたのならば即座に討ち果たすかのように・・・・・・・・・・


黒髪の少年の周りには光が降り注いでいる・・・・・・・・・・


まるで神話の一説のようだった。

誰かのために救いの手を払いのけ、世界の反逆する馬鹿がいるなんて・・・・・・・・・・

建国王の伝説みたいではないか。


私はその光景に魅入られて、筆を取りたいと思った・・・・・・・・


黒髪の少年と抱きかかえられる幼女。賢者は銀扇を手に世界ににらみを聞かして、衛士達は鑓を掲げている。幼女の話を聞いた賢者付の女性たちは涙を流し続け野次馬たちは手に手に得物を持って立ち上がろうとしている。


愚かしくも美しい光景。

私は筆を取ってその一瞬を留めようとする。




とある画家の日記より



ところで、私の寝室が物置に化していたのは納得するとはいえ孤児姉と同室で眠れというのは作為を感じるのだが・・・・・・


「別に気にする事でもないでしょう。今までだって共に寝ていた事なんて何度もあるのですし。」


まぁ、そうなんだけどね。孤児姉の風評とか色々守りたいものがあるでしょう・・・・・・・

「それでしたらとっくに御主人様のお手つきという認識になっておりますが。」

「悪い事したな・・・・・・・嫁入り前の娘にそんな噂を立てさせるなんて・・・・・・・・・・」

「いえ、御主人様相手という噂ならばうれしゅう御座います。」

「母上もそんな噂に踊らされる者ではないと思ったが、悲しいよ・・・・・・・・・・・」


寝るかね・・・・・・・・・ 噂に踊らされるのは馬鹿らしい。


「一つだけ宜しいですか?」

「なんだね?」

「私を抱いてくださらないのですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・後々のことは判らないけど今は抱かないよ。可愛い孤児姉よ。」


そして私は眠りにつく・・・・・・・・・・・孤児姉は私のことを抱き枕か何かと勘違いしている節があるが、まだ子供たしかたあるまい・・・・・・・・・・甘ったれであるということは言うまでもないが。


「御主人様、私は何時までもお待ちしております・・・・・・・・・・・」


寝言で嬉しいことを言ってくれる。頭から背中を撫でてあげると私に全てを委ね切った安らかな顔をしている。

この娘は今までどれだけ自分を律しきった生き方をしてきたのだろう、せめてこの娘をゆだねるにふさわしい男が現れるまで守ってやるとしようか。

本当に孤児姉といい、孤児娘達といい・・・・・・・こんな良い子が親がいないというだけで苦労するなんてままならないものだな・・・・・・・・


腕の痺れを感じながら私もまた眠りにつく・・・・・・・・・・・・




短いようで長い夜が明ける。私は孤児姉よりも先に目が覚めたのだが孤児姉は私から離れようともしない。

離れたら二度と捕まえられないものと勘違いしているのだろうか?

寝起きの顔を見られたとなれば恥ずかしいだろうから寝たふりをして起きるのを待つ。

孤児姉の寝顔くらい可愛いものだから気にすることはないのに・・・・・・・・・・・・

年頃の娘は気にするものだろうから見なかったことにするくらい大したことではない。


暫したつと孤児姉が起きて身支度を整える。

そしていつもの格好で私を起こしにかかる・・・・・・・・・・


これは彼女とあってから変わらぬやり取り・・・・・・・・・・

主従という名の家族ごっこ。



「おはよう、孤児姉・・・・・・・・・」

「おはよう御座います御主人様。」



朝食の席にていつもと変わらぬ我等主従を見て母上は脈がないのかとがっかりしているようだが、

「奥方様。旦那とねーちゃんは雑魚寝も結構こなしているし気にするのはとっくに過ぎているんじゃないのかな?」

「ある意味、末息子(ばか)は女の子への気遣いが出来ていないみたいなのね・・・・・・・・・・」

「押し倒していたらいたでぶん殴るのに・・・・・・・・・・勝手だよな。母上は・・・・・・・・・」

「当たり前でしょう。こんな可愛い子に無体するなんて許しちゃいけないことでしょう。」

「・・・・・・・・・・・・・理不尽だ。」



孤児娘達は健啖振りを示しているのだが、食が進まない様子なのが補佐見習だ。

見当はついているが・・・・・・・・傷跡娘に迫られて我慢して悶々としているといったところだろう・・・・・・・・


傷跡娘は満足げである。

あれ?普通ならば手を出されなかったと不満気なのに・・・・・・・・・


「傷跡娘ちゃん、ご機嫌だけど如何したの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・秘密。」

「そんなこといわずに教えてよ。」

「けちっ!」

「こらこら、そんなこときくもんじゃないよ。大方寝言で補佐見習が傷跡娘の名前を連呼したとか、抱きつきながら夢精した程度だろう・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・この腐れ賢者。」


「末息子、それは朝から生生過ぎるわ。」

「生々しい結果求めている母上には言われたくない!」


「似た者親子・・・・・・・・・・」


「「ぐはっ!!」」


特に意味はなく朝は過ぎていく・・・・・・・

話が進みませんが酒が切れてしまったのでこれまで。

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