田舎貴族と酒場の官僚
あらすじ 王妃に無体されそうになった事務官長を保護した。でも仕事してしまうのは習性なのか・・・・・・・・ 働いたら負けなのに・・・・・・
酒精の香り漂う酒場にて日頃の疲れを癒さんとする民草共、其処に混じるは我々主従。
床に染みこんだしみにも酒と言う歴史が滲んでいて歩くたびにぎしぎし言っている。
さて、呑め呑め食え食え!!
王妃から孤児達や事務官長を助け出したぞ!!
わははははっ!! かんぱーい!
何か出来上がっている・・・・・・・・
我等主従と事務官長は城下の酒場にいるのだが、どうして官僚共がいるのだろうか?
「そりゃ勿論、酒盛りの匂いを感じたからだよ!!」
「どこの獣だ!!」
「はははっ!酒精神の加護厚い我輩にかかれば君達の行く店くらいすぐにわかるものだ!!」
どーもー 私にも一杯頂戴!(by酒精神)
「どぞどぞ神様、さささぐいっと!何時見ても見事な呑みっぷりですねぇ・・・・・」
いやぁ、酒は命の水だから(by酒精神)
「まだまだいけるでしょう。今夜は皆と一緒に飲みましょうぞ!!」
「えっと、街道管理官。何故神様がいるのですか?」
「この御方とは出張先の酒場であって酌み交わしあったら意気投合してしまってねぇ・・・・・・以来飲み友達になったんだよ。」
王室顧問だっけ?今夜は楽しもうねぇ(by酒精神)
「・・・・・・・・・・・・はい。こちらこそ宜しくお願い致します。」
「賢者様が押されているってはじめてみるかも。」
「神を飲み友達って・・・・・・」「旦那の友好関係って得体が知れない・・・・」
「ある意味神殿関係者がいたら泣きそうな光景ですよね・・・・・・・・」
「あそこの席の法衣って神殿の方じゃない?」「顔が青ざめているねぇ・・・・・・」
「確か降臨て過去数度しかないとか・・・・・・・・・・・」
そんなことはないよぉ、気が向いたらちょくちょく現れているしね。(by酒精神)
「そうそう、子供達お前等も飲むか?神様の加護で悪酔いはないはずだから。」
そうそう、気持ちよく飲む飲み友達にはその場限りだけど悪酔い知らずの祝福を授けるよぉ(by酒精神)
ぽんっ!という気の抜けた音と共に酒場中に酒精の匂いが立ち込める。
其処にいた者たちは貴賎の区別なく程よく酒が抜けている。
そして杯を構えると皆して乾杯の声が交わされる!!
君達この事態の異常さに気がつかないと・・・・・・・・・・
別に良いか?神々が遊びにくるのは日常だし・・・・・・・・
その状況はあまりよろしくないのだが・・・・・・(by某王国地方担当地域神)
だよねぇ・・・・・(by農業神)
最近王室顧問近辺に観察がてらに呟きを入れる神が多くてねぇ・・・・・・・・・(by街道神)
神々との境が曖昧になりすぎると良くないのだが・・・・・・・・連れて帰るか?(by境界神)
そうだねぇ・・・・・(by農業神)
はいはい酒精神帰るよ!あまり人の世に邪魔してばかりだと迷惑でしょ。(by厨房神)
いやだ! まだ呑むんだ!! いやぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・我が愛しの酒樽が・・・・・・・(by酒精神)
だまれ!勝手に抜け出して酒盛りなんて!俺達だって飲みたいんだ!!帰るぞ!!(by農業神)
あーーーーーれーーーーーーーーっ(by酒精神)
酒精神は連れ去られてしまった・・・・・・・・・・・
呆然としている法衣共・・・・・・・・・・・そりゃ、そうだろう。信仰している神々が降臨されて無意味に行動しているのだから・・・・・・
事務官長も唖然としている。
この位で驚いていたらこの世界では生きていけないぞ!
「かこに例を見ないほどの神々の複数降臨って!この程度で済ませないでください!!」
「非常識にも程があります!!」「何で神と杯を交わしているんですか!」
「そういえば貴方、前に神をとつきまわした要注意人物!!」
「って、何でこの娘達に風の神の加護があるのですか?」
「風の悪戯からの絶対防御って・・・・・・・・・・・無駄に微妙な加護が・・・・・・」
「その手にしている神秘緋金属張扇って・・・・・・・・・演芸神の加護が・・・・・・・・・」
「そっちの貴族からは酒精神の気配が色濃く漂っているし何者だ?この一団は?」
法衣共が煩い・・・・・・・静かに酒が飲めないじゃないか?
酒盛りの邪魔する奴は排除しても良いよね、いいよ(自己完結)
私は張扇を構えると法衣共に向けて一撃を放つ!!
「ごちゃごちゃうるさーーーい!!」
法衣共は夜空の星となった。
きらっ☆
「・・・・・・・・・・・貴族様?そちらの法衣様の飲食代をいただいていないのですが・・・・・・・・・・・」
あっ!
払いましたよ・・・・・・・・法衣共の飲食代も・・・・・・・・・・しくしく(泣
辺境の地から攫われた事務官長を救出するために麦秋辺境伯を初めとする辺境貴族連合が街道を進む。
道筋の貴族達が守備隊を差し向ける。その数1000!
率いるは王国の要石である守護辺境伯。
数で持って抑えて穏便に収めたいと言う彼の意思は通じるわけもなく対峙する。
「どいてもらえぬかな守護伯殿。我等は大事な家族を助けに行きたいのだ!!」
「そのために兵を用いていくのは愚策だよ麦秋老。」
「兵を用いるのが愚策であることは承知、されど王家の無体に泣く一家を見てだんまりを決めるほど腐りきってはおらん!」
「そもそも何がどうなったのですか?」
かくかくしかじか(事の経緯を説明中)
「なるほど、あの腐れ王妃が!折角王権を譲ったのに問題を起こして我々に仕事をさせるとは。ここは当家に任せてみませんかね?我が弟が王都にいるから、奴ならば王家に対して弓引いてでも守ってくれるはずですよ。」
「あの道楽者か!いまだに王都にてあるのか?一度野に下ったはずだが・・・・・・」
「なぁに、あの馬鹿は養い子達の面倒見るために王室顧問として在籍してますよ。王妃にも引くことはないですから十分頼りに出来るはずですよ。」
「でも、貴様の弟でも力及ばずということもあろう。早馬にて保護の依頼を願うが念のために我らも王都まで進軍いたす!」
「軍を進めるとなれば止めなくてはいけないのが私の役目なんだよねぇ・・・・・麦秋老悪く思わないでくれ・・・・・・・・でも、その前に早馬だけは送るよ。」
対峙する両軍に緊張が走る。
死を覚悟した辺境貴族連合軍300に傷つけたくない守護辺境伯私兵団他1000。
共に王家の暴虐に怒りを隠せないのだが其々の立場が引くことを許さない!
にらみ合いが続く事半日。
「守護伯殿、如何しても通さぬと言うならば圧して通る!!」
「悪いな麦秋老。ならば私も及ばずながら盾となるべく行動させてもらおう。まずは大将同士の一騎討ちと洒落込むか?」
「貴様らしくもないことだな。受けて立とう!」
両軍の間に立つ 二人。
風が吹きぬけ草が転がり通る・・・・・・・・・
老傑麦秋辺境伯は鎚矛を構える。乱戦で長期戦となることを覚悟して切れ味が鈍る剣よりも装備に関係なくある程度の効果が期待できる鈍器を選んだのだろう。
対する守護辺境伯は刃を潰した剣、峰の部分が櫛状になって相手の武器を書きおるためにできている。所謂ソードブレーカー。鎚矛のような重量のある打撃武器には意味はないが出来るだけ傷つけたくないと言う意思を構えからも見せている。
「いざ参る!」
「胸を貸してやろう小童!」
両者の武具が打ち合い力比べが始まる。
「そんな、軟弱な武器ではすぐに折れてしまうぞ!」
「なぁに、麦秋老の腰の方が参ってしまうのが先でしょう。」
「いいおるわ!ふんっ!」
麦秋老の力任せに押し付けた鎚矛に守護伯は体勢を崩し一歩下がる。其処に襲い掛かる鎚矛、守護伯は身体を半身にして避ける。大地に響く衝撃・・・・・・・・・・
そこで抜き打ちで打ち込まれるソードブレーカー・・・・・・・・・
非力な武器である悲しさか麦秋老の肩当に阻まれて決定打とならない!
両軍だけでなく、街道を歩む商人達も何事かと二人の戦いを眺める。
その中には王都からの早馬もある・・・・・・・・・
早馬の者は辺境貴族軍の中に田舎貴族の姿を認め、駆け寄り事務官長の無事を伝える。
「おおぉい!!御屋形様、守護伯様!!事務官長は無事に王室顧問様に保護されているそうです!!」
その声を聞いて互いに武具の切っ先を下げ左足を引く。
これは決闘時の一時休戦の合図である。
どちらともなく武具を下げ安堵の笑みを交わす・・・・・・・・・
「久々にいい汗かいた。」「こっちは冷や汗でしたよ。」
「運動不足じゃな、その腹を引っ込めるためにもう一度ワシとやらんか?」
「勘弁してくださいよ。」
両軍にゆるい空気が流れる・・・・・・・・
「それよりも田舎貴族、早く詳細を説明せんか!」
かくかくしかじか(早馬の報告を聞く・・・・・・・・)
「うむ、今のところは大丈夫か。まずは一安心といったところか。」
「まぁ、私の愚弟ならば養い子達を引き下げると言えば王国政府にとって嫌がらせになりますから暫くは大丈夫でしょう。」
「では、無理やり押し通るわけではないが迎えにいくぞ。兵達は護衛程度ならば問題なかろう。」
「それならば問題ありません、此処まで来た皆さんも王都までは無理でしょうが我が領地でゆるりとされたらいかがでしょうか?ついでに家にお土産なども買われていくのも悪くないですよ。」
「守護伯、貴様には商会公の血が流れてないか?」
「そんな心外な、あそこまで悪辣ではないですよ。」
「まぁ、よい。早く事務官長を保護して安心させてやりたい。」
「では、私も付き合いましょう・・・・・・・・・我が儀仗兵を連れて(にやり」
麦秋老は自らの軍団に向かって声を張り上げる。
「皆の者聞くがよい!!事務官長は辺境伯の末弟である王室顧問が保護していることがわかった。我等の役割は半分終わったわけだ!まずはこの事を喜ぼうぞ!!そして帰る者は家路について故郷に吉報を伝えるが宜しかろう!!ワシは一度王都に赴いて彼を迎えにいくぞ!そして一発ぶん殴る!我々を心配させた馬鹿弟子にけじめをつけさせるために!」
おおおっ!
と歓声ががる。勿論守護辺境伯私兵団側からもだ!
そうして辺境貴族連合は帰途に着き、麦秋老と数名の貴族、その護衛が王都に向かうのであった。それに付き添うように守護辺境伯私兵団が旅路に加わるのであった。
辺境貴族連合 麦秋老以下29名。守護辺境伯私兵団59名。
ところでさあとがきの方が文字数の多い小説ってどうなのよ(by文芸神)
うーん、そんなこともあるさ前衛文学ということで(by作者)