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期間終了と謁見室

あらすじ 立つ鳥跡を濁しまくり。タタミイワシは正義。

法務官改め王室顧問が去った後、宰相府と官僚達とのタタミイワシ争奪戦が怒るのだが別の話。

国王陛下の御呼びとはなんであろうかな?

どうせろくでもないことなんだろうけど、これで最後と思えば多少の茶番に付き合うのも悪くない。


「王室顧問様、謁見の間にどうぞ。」

「執務室ではないのか?」

「はい、謁見の間に皆様方をお連れせよと命令を受けました。」


案内の近衛兵の答えに回れ右したくなるのだが此処まで来たのだから腹を括って入るしかないのか?

多分、契約の金貨を下賜すると言う形を持って面子を保とうとしているだけなんだろうが・・・・・・・・・


「王室顧問と一統様が参られました!」


文武百官が左右に立ち並びその背後を貴族達がひしめき合う中、私達一行は陛下の眼前に臣下の礼をとる。

孤児達は私の真似をして畏まる。別にこの服飾センスの欠片もないおっさんに畏まる必要はないのだが様式美と言う奴である。


「王室顧問にその養い子達よ楽にするが良い。」

王冠の下にロバの耳を飾りつけた国王陛下・・・・・・・・・・・・誰か突っ込んでやれよ!!

異世界の逸話(モトネタ)を知っているのは私だけではないのだが・・・・・・・・・・・・井戸に向かって叫べばいいのだろうか?

「賢者様?陛下のあれはワザとなんでしょうか?」

孤児娘の一人が小声で聞いてくる、そうだとしか答えられない私はなんて無力なんだ・・・・・・・・・

「服のセンスは兎も角、実害は王室の中ではないほうだから流していこう。」

小声で孤児達+1(補佐見習【予定】)に指示を出し、陛下に礼意を示す。

「陛下におかれましては益々ご健勝のご様子、臣としてまことに喜ばしい事でございます。これで私の出番が終わり国事も難なく行える事でございましょう。」

「王室顧問大儀であった。約定の通り金貨をと言いたいのだが・・・・・・・・・・・・少し負けてくれんかね?」

「いいえ、鐚一文負ける積りは御座いません。払えないのであればこの場にて失礼致します。」


立ち去ろうとする私に慌てる周りの臣下共、これをネタに反乱でも起こされそうな慌てように子供達のほうが怯えている。

「まぁ、待て。王室顧問、代わりと言っては何だが爵位を・・・・・・・・・・・・」

「お断り申し上げます。」

「・・・・・・・・・・即答か。」

「はい、我等の一族の悲願は馬鹿な俗事に関わらず引きこもり生活を満喫する事ですので。それに金貨の100枚で国事の尻拭いができたのは安いと思うのですが如何に?」


周りから、ボッタクリだの非道だの血も涙もないのかとか、あの孤児娘可愛いハァハァ・・・・・・・黒髪の男の子が良いねぇ・・・・・・とか100枚あれば内の領地にも灌漑が出来るのにとか言う声が聞こえるが無視無視!!


「あのっぅ・・・・・・・・・・身の危険を感じるのですが・・・・・・・・」

怯える孤児娘達に危険人物リストにあの貴族を心中で追加して王に向かい合う。


「で、約定の金貨が支払われない理由をお聞かせ願いますでしょうか?」

「うむ、単純に神秘緋金属張扇(オリハリセン)を注文した馬鹿がいて・・・・・・・・注文を取り消そうとしたら無理と言われて買う羽目になったのじゃ・・・・・・・・・・・」


神秘緋金属(オリハルコン)製の張扇なんてどこの馬鹿が注文するのだ!!

いたなぁ・・・・・・ 絨毯の染みがと言う苦情を受けて近衛経費でそれを買おうとする馬鹿が数名・・・・・・・・・・

思い当たる人物の顔を見ると顔を背けやがった・・・・・・・・・・・近衛護衛官共め!!

王妃様も顔を背けている所を見ると主犯格か!!


「成程事情を理解いたしました。では、金貨の代わりに私にはその神秘緋金属張扇(オリハリセン)と支払えるだけの金貨で手を打ちましょう。」

「金貨は10枚くらいしか用意できないが受け入れてくれるか?」

「判りました、神秘緋金属張扇(オリハリセン)を今すぐ用意して頂けますでしょうか?」

「うむ、近習。王室顧問が望むものを用意しろ!!」

「はっ!」


程無くして金貨と神秘緋金属張扇(オリハリセン)が私の手元に用意される。3本もあるなんてなんて贅沢な!!

これ一つで孤児院が一年は維持できる・・・・・・・・・・

周りを見るとこれが伝説の・・・・・・・・・とか、金貨100枚より是を取るとはやるな王室顧問とか・・・・・・・・色々声がするが無視無視・・・・・・・・・ これの費用捻出に苦労した財務長と宰相の米神に青筋が・・・・・・・・・・・・ 少々切れている私も


「陛下、下賜されました伝説を皆様方に披露したいと思いますので試し打ちの許可を願います。」

「うむ、許可しよう・・・・・・・・・・・・」

私達の剣幕に引きつった笑みを浮かべつつ国王陛下は許可の言を発する。

私は宰相閣下と財務長に神秘緋金属張扇(オリハリセン)を渡すと二人は心得たかのように米神に青筋を盛大に立てて護衛官の元に近づく!!


「「「この、どたわけがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」


謁見室に三つの叫びが重なった瞬間である。

さすが伝説の魔法具神秘緋金属張扇(オリハリセン)!!

場内と言う事で全身鎧とかは着ていないのだが鍛え上げられた男達は為す術もなく打ち上げられる。

しかも神秘の力で身体強化された我々は落ちてくる護衛官達を三方向から滅多打ちにする!!


「この脳筋どもが!お前らのおかげで絨毯の洗濯費やら買い替えでどれだけ苦労していると思っているんだ!!」

財務長が心からの叫びと共に往復ビンタよろしく護衛官の一人を叩きこんでいると思えば


「高々無礼打ちで神秘緋金属(オリハリセン)使う馬鹿がどこに居るんだ!!無礼打ちならば拳骨とか鞘付の剣で十分じゃないか!!」

と特殊効果【威圧の眼光】と共に打ち落とす。床にへたばって潰れたかえるのようになる護衛官。


「ま、まて、はなせb・・・・・・・・・・・ごげぐばぁぁっぁぁぁ!!」

言い訳をする護衛官の胴を思い切り振りぬく私。護衛官は水平に飛び壁画となる。

「たった一つの単純な理由。お前は私を怒らせた。」


護衛官達を沈黙させた後、私達三人は並み居る貴族達を眺め、どれを餌食にしようか目配せをする・・・・・・・・・

「待て、御三方!試し打ちは是で十分ではないか!!」

「少々乱暴でありますわよ!幾ら神秘緋金属張扇(オリハリセン)だからって其処までは無体が過ぎますわよ!!」

しゃしゃり出てきた王族兄妹(へんたい)を特殊効果【星流れ】で流星の如く打ち上げながら私は王妃の元に駆け寄る!

「ま、待って・・・・・・・・・・・・話せば判りますわね・・・・・・・・・もしや私に対して神秘緋金属張扇(それ)を向けるなんて事しませんよね・・・・・・・・・・・きゃーーーーーー!!」

「お覚悟!!これは働き手を奪われた官僚達の分!」

ギャーギャーわめく王妃を私は高く打ち上げ!

「これは今回の予定外の出費に抜けていった私の髪の毛の怒り!」

財務官が特殊効果【業火の怒り】を背負って王妃の頭を叩き、

「是はそもそも王室顧問が逃げ出す羽目になった元凶へのワシからのささやかな贈り物だ!」

最初閣下が【威圧の眼光】に加えて【神剣の抜き打ち】と特殊効果の二重掛けと言う大盤振る舞いで王妃を水平打ちに玉座へと叩き込む。


「ううっ・・・・・・・・」

虫の息の王妃を無視して、宰相閣下と財務長は目配せをして国王陛下の下に特殊効果【瞬歩】で詰め寄り左右両方から無駄に息の合った一撃を繰り出す!!


「「王様の耳はロバのみみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


高く飛ばされるロバの耳(装飾品)、剣圧だけで玉座に沈みこむ国王陛下。

これって、ある意味反逆罪?


雄たけびを挙げる宰相閣下と財務長・・・・・・・・・・・どれだけ王室相手に鬱憤たまっているんだとヒソヒソ声で語り合う貴族共、沈み込んだ国王陛下と護衛官を尻目に二人に襲い掛かる一筋の銀光!!

「淑女相手に何するのですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

王妃様が神秘緋金属張扇(オリハリセン)を玉座の後ろから取り出し【瞬歩】で駆け寄り【地摺り残月】で打ち上げたのだった!!二人の軌跡から零れ落ちる銀光の残滓・・・・・・・・・・・


どぐしゃという音と共に床に叩きつけられる二人を尻目に王妃は獲物を私に切り替えると【一陣の風】と化して振り下ろす!私も打たれてたまるかと【金剛打ち】で迎え撃つ!!

きりきりと張扇同士がこすれ合う音が響きお互いに力が篭る。


数瞬だったろうか鍔迫り合いは続きお互いににらみ合う。


「王妃様、何時の間に神秘緋金属張扇(それ)を?」

「注文は5本よ。3本あれば金貨100枚には足りるでしょ。」

「幾らで買ったんですか?」

「5本セットで金貨300枚、お買い得でしょ!!」

「馬鹿ぐわぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!」

私は思わず突込力を神秘緋金属張扇(オリハリセン)に注ぎ込み王妃に力任せに叩きつける。

王妃は数歩下がり抜き打ちの構えを取る。私も右八双の構えで迎え撃つ用意をする・・・・・・・・・・・・


両者の気合が充実してきてお互いに次の一撃で決めると駆け出す瞬間。

私は後頭部に衝撃を感じてうずくまる。王妃からの一撃が・・・・・・・と危惧するが何時までたっても来ない。

見ると王妃も後頭部を押さえてうずくまり背後には孤児姉が神秘緋金属張扇(オリハリセン)を手に立っている。

もしや後ろには・・・・・・・・


孤児弟が同じく神秘緋金属張扇(オリハリセン)を片手に立っているのだった。

「だんな、少々落ち着いてくださいよ!見てくださいこの惨状を・・・・・・・・・・」

床のしみやら壁の飾りと化した護衛官、玉座に沈む国王陛下、貴族達を巻き込んで目を回している宰相閣下と財務長、うずくまる王妃・・・・・・・ そして、場を支配するかのように張扇を構える姉弟。

宰相閣下と財務長の手に神秘緋金属張扇(オリハリセン)がないところを見ると目を回している二人から奪い取ったのだろう・・・・・・・・・・


しかしなんだ、この惨状は・・・・・・・・・・・・・

「だんながやったんだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!このくそぼけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」


孤児弟の渾身の叫びと一撃に私の意識は刈り取られるのであった。

















私が意識を刈り取られ床に叩きつけられた後、護衛官も王族も宰相達も立ち上がる。

あれだけ派手に叩きつけられた後にもかかわらず皆ぴんぴんしている。

私も首をコキコキと回しながら立ち上がる。


王室顧問を一撃で・・・・・・・だとかこの場の後始末どうする?・・・・・・・とか、是が伝説の・・・・・だの比較的無事な貴族共が囁きあっている最中・・・・・・・

あの孤児姉弟、王室顧問の最後の良心とか言われているがうわさは本当だったんだ・・・・・・・・・・・・・


「さすが神秘緋金属張扇(オリハリセン)伝説に違わぬ一撃よ!!」

と国王陛下が何事もなかったかのように発言すれば・・・・・・・・・・

場は何事もなかったかのように静まり返る・・・・・・・・・・・

宰相閣下と財務長のは無視か・・・・・・・・・・・・二人を反逆とかで捕まえても仕事が滞るだけだしなぁ・・・・・・・功臣だし。

「で、王室顧問。条件は話し合うからまだ働かぬか?」

「いえ、隠遁生活をしたいと思います。」

「そうか、では是ばかりは受け取ってもらうぞ!」


陛下が合図をすると、近習が準爵章を数個天鵞絨(びろうど)のクッションに乗せられたものを持ってきて陛下に捧げる。


陛下は玉座から降りると子供達に近寄ると一人一人に準爵章を渡す。

「つけるが良い。」

孤児娘達に補佐見習は準爵章を身につけると陛下に臣下の礼をとる。

「子供達よ君達の働きぶりは王室に貢献したと認めるに値する。故に我が名の下で君達を準爵と任ずる。是より国事に励むのもよく自由に生きるのも良いが王国の名を汚さぬよう進むよう命ずる。」


「「「はいっ!!」」」


貴族や官僚達がおおっ!と感嘆の声をあげる中、孤児娘達に補佐見習はそろって返事をするが、孤児姉弟だけは臣下の礼を取ったまま準爵章を捧げ持つ。

「君達姉弟はどうしたのだ?」

「私達は王室補佐を主としている陪臣で御座います。故に主の許しもなく爵位を賜るわけにも参りませんし、今の状況で十分満足しております。陛下願わくば我等姉弟をそのまま捨て置かれるよう願います。」

「おい・・・・・・・私も姉と同じく爵位よりも主である王室顧問の従者である事に誇りを持ち満足しております。爵位は私に必要とするものでありませんからお返しいたします。」

「そうか、王室顧問は幸せ者だな。君達は是非に是を受け取るが良い。」

国王陛下は気分を悪くした風もなく声をあげ準爵章を受け取らせようとする。


「この孤児姉弟を持つ王室顧問は幸せ者だな。王室顧問よ、この二人を譲る積りはないかな?」

「申し訳ありませんがこの二人の忠心を得たならば兎も角、犬猫の子の様に簡単に譲る積りは御座いません。」

「どうしてもか?」

「はいっ!」

「ううむ・・・・・・・・・・・ 感謝の印として準爵位だけは受け取ってもらいたい。忠心を得られないのは残念だが君達の王宮での働きは十分是に値するものだ。これからも王室顧問に忠勤を励むが良い!」

「でも・・・・・」

「受け取りなさい、これ以上は陛下の面子に関わる。」

なおも受け取り固辞する孤児姉に私は注意し孤児姉弟は控えめに準爵章を受け取る。


「王室顧問よ、子供達はまだ世慣れず幼い者だから後見を願えるか?」

「はっ!我が微力を持ちましても。」


仕方ないよな、孤児達は成年ではないし女性もいる。もう少し力をつけるまで面倒を見るのは当然だな。


「では、今回の謁見を終わる。皆のものご苦労であった。」



こうして、私の仕事は終了した。





「けんじゃさまぁ?この準爵章受け取ったら何があるの?」

「基本的には功のあった平民とか、下級官吏や士官連中への身分証みたいなものだよ。一代限りだし年金も微々たる額しかつかない。一応は貴族と名乗るほどではないが一般市民よりは上、その上の士爵と合わせて【士族】とか【士分】と呼ばれる事が多いね。」

「受け取ったらまた仕事しないといけないの?」

「して欲しく手渡した節があるけど、別に気にすることはない。戦時中とかは従軍義務があるから注意は必要だが・・・・・・・・・・私が後見している間はそんなことがないように気を配るよ。」

「そっか、私達いきなり大抜擢だね!」

「私としてもお金を下賜されて終わると思っていたから意外だったな。多分官僚あたりからの上奏があったのだろう。」

「引き抜く気満々だったしね・・・・・・・・・・・官僚の皆さん。」

「でも、是からが大変そうなのは補佐見習だよなぁ・・・・・」

「おれがなんで?」

「そりゃ、私の仕込みで育った逸材だから便利重宝に使われると・・・・・・・」

「受けなきゃ良かったかな?」

「まぁ、親子三人暮らすには十分すぎるほど給金は支払われるよ。」

「なんで三人なんだよ!」

「あれ、傷跡娘を放置するの?」

「ば、馬鹿そんな積りはないって・・・・・・・・・・・・・まだくっついてもいないだろ・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「だから傷跡娘が嫌いとかそんなわけじゃないくて、おれ達子供だし・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「惚れてくれている娘を蔑ろにするのか?傷跡娘よ、こんな薄情者をほっといて私と共にいくか?」

「・・・・・・・・・・・・・補佐見習、だめ?」

「ダメじゃなくって、傷跡娘の気持ちも聞かずにくっつくとかいちゃラブとか言うな!!」

「・・・・・・・・・・・・・いいのに・・・・・・・・・・・・」

「えっ!!」

「「暑いねぇ・・・・・・・・・・」」

「誰か氷買って来い!」

神秘緋金属張扇(オリハリセン) オリハルコン製の張扇、各種特殊効果魔法が付与されているが実質的攻撃力はゼロ。演芸神の加護でどれだけ打撃を喰らっても暫くすれば元の通りに復活すると言う特性もある。市場価格金貨75枚。(まず出回らない)


しかし、どうしてこうなったんだろう?

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