繋いだものと選んだものと
陛下との歓談から数日後、少しづつ国境地帯に張り付いていた私兵団が戻ってくると報告を受ける。
何故仕事をしているのだろう?不思議である。
王都に来た兄上や両親達からは辺境伯屋敷に居ればよいのにと口うるさく言われたがそれはそれ。
一家を構えたものが居候宜しく根付いているのは宜しくなかろう。
決して仕事を押し付けられたくないからではないと声を大にして言いたい。
我が一族の悪癖に仕事したくないと堂々と宣言するのがあるが、其れを実行に移すために私や子供達に仕事を押し付けるなど不埒な行動をやりかねないのが我が一族である。私もだって?
人聞きの悪い事を言うべきではない。私は明らかに私の職分以外の仕事を押し付ける無能な王室政府に対して異議を唱えているだけである。
異議を唱えた所で無能だから聴いて理解できる頭を持たない、由々しいことである。
その事を王弟殿下に申し上げたら、陛下に上奏され王冠と玉座を渡されそうになったのは笑えない話である。
我が一族から王権を受け継いで代々権勢を誇ってきているのだから、酒場で酒を奢るが如くに渡すのはよろしくない。本当にこれが王族かと思うと悲しくなってくる。次王子と王姪殿下と末王女を孤児達と共に教育して然る後に聖域守護辺境伯式に訓練するのが良いのだろうか?
それとも、孤児弟辺りに玉座に据える工作をするとか・・・・・・・・・・・
「御主人様、お茶が入りました。」
孤児姉の入れた茶を喫しながら、灰髪兄のまとめてくれた諸貴族領に於ける公共事業の必要人員を記した資料を眺める。
彼は私達が戦場に向かった後も外務長の資料整理に勤しんでいた。其処にいれば酒国の姫大使様関連の騒動に巻き込まれることがないからと・・・・・・・・・・
数ヶ月もあれば大まかであるが書類の分類が出来てくる。色々な所からまぎれてきた資料とかもついでに分類していたら王宮の資料庫の番人みたいになっていたのは笑うしかない。
妹の方は強力兄弟と婆様と共に市場で売り子をしながら時折奇才魔術師と目隠し布の実験に付き合ったり庭園公とお茶したりと気ままに過ごしているらしい。お陰で孤児弟の目隠し布の宣伝になってメクラ共に福音を与えているのだから良いだろう。宰相閣下の方から酒類の持込を制限できないかと相談されたのは知ったことではないのだが・・・・・・・・
「王室顧問様、追加の資料と荒野の民に早馬で送られてきた、移民の詳細になります。」
「ご苦労、各事業の積算はどうなっているかな?」
「孤児院のチビ達が概算ではありますが計算しているところです。明日には結果が出ると思いますが。」
「判った、続きは明日にして灰髪少年、市場に付き合え。」
「仕事は宜しいので?」
「私の分は終わっているし王宮にへばりついている必要もないだろう。それに目隠し娘とか婆様に会うのも良かろう。お前もどうせ資料庫に篭りきりで外に出ていないだろう、不健康だぞ。」
口さがない連中からは埃の色の髪等と言われる頭をかきながら、灰髪少年はひょろりとした身体を折り曲げ
「仰せのままに。」
大業な礼をする。まだまだぎこちなさが見えるが場数をこなせば変わるだろう。
私に付き従う二人、隣室で手伝いをさせているチビ共にも声をかけて皆で向かうことにする。
近くの官僚部屋からは
「兄上達、是だけ済ませれば今日の所は勘弁してあげますからあと一息ですよ。」
「弟よ!園山は途中で遭難するぞ。」「雪崩れてきているじゃないか!」
「はははっ、三男坊はぎりぎりの所を攻めるのが上手いねぇ・・・・・」
「官僚の皆様にも宰相府から贈り物だそうで・・・・・・・・・・」
どさっ!
「ううっ!」「これは酷い・・・・・・・・」
「所で我々と関係ないところの仕事もまぎれているところが憎たらしい。」
「まずは仕分けだ仕分け!」
がさごそがさごそ・・・・・・・・・・・
「これが近衛でこっちが国軍の街道管理部隊宛、会計検査に関しては宰相府か王室府の意見を貰ってからでないとこっちは受け取れないし・・・・・・・・・・・前に突っ返した誤字脱字計算間違いの大量にある事業見積もりはもう一度突っ返して・・・・・・・・・・・如何して書類の扱いのできていないものが多いのだろう。」
「三男坊・・・・・・・・・・抜剣した近衛の一隊率いて書類を付き返しにいくのは止めなさい。」
「駄目ですか?王妹殿下の印刷費なんですが・・・・・・・・・・・・・」
「それは却下の印を押して、時効待ちのところに捨てなさい。」
「抜剣した状態で行ったなら『飲み込んで僕の長剣』等といってネタにされるぞ!」
がたがたぶるぶる・・・・・・・・・・・・・
人生経験の少ない少年にとっては酷だろう。実際近衛事務官予定三兄弟をネタにしたものが・・・・・・・・・南部国境伯令嬢が・・・・・・・・・北方針葉樹林帯伯の助けを借りて・・・・・・・・
駄目だこの貴族達、何とかしないと(by光明神)
聖女様とか聖徒王国の第一公爵令嬢とか・・・・・・・・・御し切れてないよな、光明神は。(by西域地方担当地方神)
ううっ・・・・・・・・・(by光明神)
神々は放置しておいたほうが良いな。
通りすがりの神職がこの光景を見て信仰の危機に陥ったのはよくある話。
三男坊も誘って市場に行くかな・・・・・・・・・・・
「御主人様、如何考えても官僚の皆様も付いてきそうですが。」
やはり、そう思う?
前書きがないとお気に入りが減ってきています。
所で総文字数って前書きとかも含むのだろうか?
今更ながらの疑問。
さて、飲もう。