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啓蟄の都と騎馬戦士

人馬一体となった騎手達とその愛馬達が道を進んでいく。

その後に続くのは女子供衆を乗せた馬車、最も女子供とは言え荒野の民にとって馬に乗れないのは傷病者か赤子位なものである。


彼等が進むのは農奴解放に比較的協力してくれる領主達が納める地域、交易路に沿っているせいか逃亡農奴の流入等にも手を焼いている。

農奴を解放して治安面の安定も図りたいという狙いもあるようだ。

解放された事で自由だと交易路沿いの比較的裕福な地域で一旗上げようとする者が流れ込んでくるのだがそれは別の話。


話を戻そう、荒野の民の騎馬戦士達十二の氏族旗と二つの広げられぬ旗を巻きつけた旗竿を立てて道を進む。

この近辺の領主の元で再び働く事を決めた者達も荒野の民の馬車に便乗して送り届けられる手筈となっている。

その数数百、各自で移動すると安全面とか効率面で不都合があるし某王国からの資金も無限に出るわけではない、今頃法務官補佐見習酒盛男爵が遣り繰りに苦労していることだろう。実際の話、六大建国公(庭園公(びんぼう)除く)と聖域守護辺境伯家から十分以上の資金が集まっているのだが・・・・・・・・・・・・

それでも解放農奴達がある程度去った後で集計してみると効率的に運用されていたので彼の株が上がって色々な所から勧誘が来たそうな。


もう一度本筋に戻そう、騎馬戦士達は先触れの十三旗手が率いる本隊の他に交易路の支道を進む分隊が幾つかある。

解放農奴を届けるために分かれているものもあれば、少々頭数が多くなりすぎた荒野の民が一つの宿場町に負担をかけすぎないようにという配慮である。


そんな荒野の民の騎馬戦士達の分隊の一つ、彼等が交易路の支路を歩み解放農奴達を送り届けたり農奴制維持を謳う啓蟄神の祭司と対話したり地主連中に対して礼儀を守ることの大切さを説明したり・・・・・・・・・・・

主に武具を交えての交渉なのだが・・・・・・・・・・

そんな日常的な行動をしながら都城目指して進むのである。啓蟄地方の国境?何それ美味しいのだろうか?

彼等荒野の民の祖たちを攫い虐げるものたちの区別なぞつける必要があるのだろうか?

つけるにしても敵対行動に対する対策程度の区分けしかする必要はなし!


そんな彼等が旅路を行き、とある村落で聞いた子守唄を聞いたとき群れごと立ち止まり詩を聞きほれる。



それは形が崩れているが荒野の民の子守唄である。



古い古い言葉を使っているが、愛し子を思う母の祈りを聞いて育った荒野の民はそれを聞き違えることはない。




その詩を聞いた騎馬戦士は子守唄を歌う娘とその愛し子に詰め寄り詩をどこから聞いたか尋ねる。

その剣幕に娘は怯え赤子は泣き出すのだが、そのやり取りを聞いた馬車の中の女衆は騎馬戦士を殴り飛ばす。


荒野の民は女子供に対しては敵対せぬ限り保護するものだという意識が強いのだ。


豪腕にて無礼な戦士を黙らせた荒野の女は自らの氏族の非礼を詫び、自らの名乗りをする。そして、騎馬戦士が目の色を変えた子守唄について尋ねるのである。

娘の方も子供をあやして落ち着かせると子守唄の来歴を語る、それは娘も母親から聞かされたもので母親も祖母に当たる者から聞かされたものだという。

その村落に住まうものはこの子守唄を聴いて育っているという。


そこで荒野の女は騎馬戦士達を従えて村落の古老に話を聞くことにする。


古老曰く、この地に来る前に祖先達は広い平原を駆け回っていて、魔王勇者戦役の時代に囚われてこの地に連れてこられたのだという・・・・・・・・・・


その一言で騎馬戦士達は氏族の呪い師を連れてきて荒野の神々にお伺いを立てる。

呪い師は丁重に神々に問いかけをして答えを得る。



その娘の一族は遥か昔に囚われ別たれた荒野の子供達の末裔である。今この時を以って畳まれた旗を広げるが良い!

我が愛し子の末裔達よ、良く保ってくれた!(by荒野神)


荒野諸神群がぞろぞろと降臨して娘と赤子を祝福していく、娘の身を案じたのか親類筋の村人達が来てこの光景に驚いている。

村人達も自分等の祖先が荒野の民である事を知るものは少なく、古老の語りの断片がそれを裏付ける程度だから気にもしないのだろう。


騎馬戦士達は村人達に抱きつき同胞達よと抱きつきまくって感涙咽び泣いていた物だから引かれてしまったのは笑い話である。


朝目が覚めると一人でいることが少し寂しく感じる。

国境地帯に子供達を置いてきた、戦場に連れて行くことは良くない。

これは私の独りよがりではあるのだが・・・・・・・・・・・・・


朝起きたとき誰もいないのは慣れないものだな。

東花街の長耳娘とか西花街の白猫耳娘とか(数十人分の女性名は略)・・・・・・・・・性愛神殿の女神官とか・・・・・・・・・


王室顧問、何時か刺されるぞ。(by某王国地方担当地方神)

流石に孤児姉が不憫だ。(by荒野神)

一人寝は寂しいものだな。(by極北神)

だからって、極北娘達を・・・・・・・・・・・(by極光神)

愛しき夜の帳、君の代用に為るかと思っていたのだがならないようだな。そもそも、優しき白の包む手たる君と共にいたら眠りの時すら惜しく感じてしまうではないか。(by極北神)

上手い事を言って・・・・・・・・・・誤魔化されませんよ(by極光神)

誰かこの極北馬鹿夫婦を何とかしてくれ。(by厨房神)

気にしたら負けだと思う。(by決闘神)


特定の相手を見つけて同衾すら出来ない神はほっておいて一人寝の寂しさをしみじみと味わう。

相手をといってくる侍女だの自称令嬢だのがいるのだが気が向かなかった。


下心が見え見えすぎて共にしたくないだけなのだが・・・・・・・・・・・・

傍らに孤児姉のいない朝を迎えるなんてことは慣れなくてはならないのだろうが、慣れたくないと思う私自身に苦笑が漏れてくる。






朝食を取り、王達が謹慎されている都城に向かう。

そこにて、条約の遂行を見届けて助言を行うのである。


此処に下手なルビを振らないで貰いたいものだ。

啓蟄の民草共が幸いであるように、ついでに私のお小遣いが増えますようにと政策を提案して区。


そんなときに私宛に啓蟄神の神職共が来るのである。

「王室顧問卿、啓蟄神に帰依して今までの条約を廃棄するのだ!今ならばまだ間に合うぞ、さもなくば啓蟄神の敵として処罰せねばなるまい。」

「ふむ、中々に楽しいご高説をどうも。私自身は性愛神の僕であるからしたがう言われはないし破門されても痛くも痒くもない。それを行うのならば神殺しを動員して啓蟄神を打ち滅ぼして君達を神なき民にすることも辞さないぞ。」


私の逆襲に神職共はひるむ。神を失うというのはこの世界においては恥じ入るべきことであり、糧を失うことである。神を失った神職は無職の乞食になるしかない。否、神を守れない愚か者として子々孫々呪われるだろう。

我が国に神殺しがいるのは非公式ながら認識されているから脅すには十分だろう。


「くそっ!王室顧問を始末すれば!」

痺れを切らした神職の一人が私に対して神術で攻撃してくる。


しかし術は発動する事はなかった。


神は私を見捨てていないし大儀がないのは向こうだろうし・・・・・・・・・・




否、単純に追うと酒盛市場で飲み食いした分の請求書が・・・・・・・・(by岩石神)

出入り禁止にすると・・・・・・・・・(by綿羊国地方担当神)

そう言う事で啓蟄神、君は王室顧問に手を挙げることは許さない手を出したら・・・・・・・・・・・ワシ等の懐が。(by聖徒王国担当地方神)


神職に助力し力を振るおうとした神職は力の源である神を抑えられ、自力で来るのは一番怖いな。

啓蟄神は神々に脅されて・・・・・・・・・・神職から力を取り上げるというか一部封印をするのであった。


「どうも神々のやり取りを聞いていると神々自身の不甲斐無さとか王室顧問卿のえげつなさが際立つのだが気のせいであろうか?」

「しっ!聞かれたらどうする!あの王室顧問だぞ、破門回状を送られてしまうじゃないか!」


そこの貴族諸氏君達好き勝手言うよねぇ・・・・・

眠たき故是にて。

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