引退勧告と孤児姉
ふむ、是をそのまま晒しても発案者の正気を疑われるだけで私に何の益もない。役ならあるけど・・・・・・・・
働きたくないんだ!働きたくないんだ!
そのまま隠遁暮らしを楽しみたいんだ!
下手に簒奪なんかした日にはご先祖様の二の舞だ、王族は仕事しろ!私に仕事持ち込むな。
「王室顧問、反逆発言を国王とかその他諸々の前でするのは良くないぞ。」
「陛下、聞こえてました?」
「思い切り嫌味たらしく発言していたろう。」
「いえいえ、守護聖域辺境伯家の伝統に則って仕事しろ王家、私は怠けたいんだを表にしているだけですが。」
私の堂々とした発言に共に仕事している貴族諸氏が・・・・・・・・・・・
「黙って仕事しろ!」
「お前が進めないと書類が終わらないんだ!」
「孤児を寄越せ!俺だって怠けたいんだ!
「国王の執務能力の惰弱なのは否定しないが、お前は補佐する立場だろう。」
「王室顧問卿、貴殿の代わりに私の愚息達を推薦するのは止めてくれないか?私の従兄弟甥が精神衰弱で療養神殿送りにされてから回復していないのだが・・・・・・・・・・・」
口々に非難する。やはり貴族能力水準法を上奏するか・・・・・・・・最低値を私にして・・・・・・・・王族は更に基準を高くして・・・・・・・・・
「王室顧問、貴族能力水準法を上奏したら誰も人がいなくなってお前が仕事する羽目になるぞ・・・・・・・・」
「陛下・・・・・能力を上げるために私の教育を受けてみますか?大丈夫、酒盛市場男爵だって半月で見違えるように成長しましたから。」
「某王宮伯爵を潰したのを棚に上げて言うのか?」
「大丈夫、王族ですから。ねぇ、皆さん。」
私は辺りを見渡すと皆して目を背けやがった・・・・・・・
全部連行して仕込んでやるとするか?
「御主人様、そんな事をしたら仕込めなかったものを材料にしたシチューが沢山出来すぎて材料の無駄になりますけど・・・・・・・・・・」
うむ、孤児姉は良い事を言う。
彼女の言を受け入れて寛大な主である事を示すとするか。
「うむ、そうだな。一つ言うけどこんなの食べたら腹を壊すぞ。」
「確かに、私の浅慮でした。」
ヒソヒソ話をしている貴族達
「仕事のし過ぎで壊れたか?」
「いや、単純に怠け癖が・・・・・・・・・・発病したのだろう。」
「陛下、王室顧問を壊したら誰が仕事を・・・・・・・・・・」
「大丈夫だ、彼の弟子達が十分育っているから・・・・・・・・・」
「ああ、悪い。孤児達の大半はワシの売約済みだ。」
「商会公!イイトコ取りですか!」
「元々、期間限定の補助業務だ。孤児が色々世に出る前に社会勉強代わりに来ているだけという契約だったし・・・・・・・・・・・・・・口説き落とそうにも・・・・・・・・・」
「宰相閣下、王命に働きかけるとか・・・・・・・・・・」
「それをしようとするとの・・・・・・・・」
「別に構わないぞ、違約金を王室が負担してくれるならな。」
「いくらなんです?」
「安いと思うが金貨2000枚ぽっちだな。」
「げふっ!」
「何処が安いんだ!」「強欲商人!」「お前の血の色何色だ!」
「若い後添え見つけやがってこの王兄殿下の同類が!」「もげろ!」
喧喧轟々、最後なんか若い嫁さん見つけた商会公への僻みになっているけど甲斐性なしの負け犬発言だな。
「だまれ!王室顧問。孤児姉とか孤児娘を誑かせて自分好みに仕立てあげようとする魂胆はお見通しだぞ!」
「でも、手を出していないらしいぞ。」
「なに!王室顧問は男性機能不全なんか?」
「でも一昨日性愛神殿に行って楽しんできたらしいぞ。」
「ふーむ、こんないい子をほったらかしにするなんて・・・・・・・・・孤児姉、わしと一緒に来る・・・・・・・・ぐぼふぁ!」
孤児姉にたかる悪い虫は駆除しないとな。
「王室顧問、大人気ないじゃないか。いくら王都西方地帯伯とはいえ無体が過ぎるだろう。」
「王室顧問が大人気ないのは仕方ない。一昨日の性愛神殿で剃毛していたからな。大人毛ないからしかたない・・・・・・・・・・なぁ、兄弟!って、ちょとまて、その神秘緋金属張扇は・・・・・・・・・・・・まてまてまてまて・・・・・・・・げふわぁ!」
誰が兄弟だ!誰が!
下品な事をいう輩には粛清しないと・・・・・・・・・・・・
しかし、性愛神殿の情報統制の甘さは何とかしないと・・・・・・・・・・
「御主人様・・・・・・・・・」
孤児姉が白い目で見ている。
「孤児姉、王室顧問はこういう奴なんだ。お前さえ良ければわしが後見するけどどうする?」
「陛下、私は御主人様に身も心も捧げていますので例え椎の実だろうと王族の皆様が束になっても敵わないほどの変態でありましてもついていくつもりであります。確かに私の事を女としてみてくれないのは不満でありますがそれ以外はよき主であると思います。」
「はっはははっ!なんとも幸いなものであるよのぅ。王室顧問は・・・・・・・・・こんな可愛い子に慕われて・・・・・・・・・・それを無碍にするとは勿体無いにも程がある。」
「陛下、いっその事孤児姉の希望があるならば二人を娶わせるよう命令するとか・・・・・・・」
「それは良い、守護辺境伯殿も末弟が孤児姉と共にあることを喜ばれるに違いない。」
「先代夫婦が王室に働きかけていましたしな。」
あれ?如何してそっちに持っていくのか?
傍らの孤児姉を見ると・・・・・・・・・顔を赤くして固まっているし・・・・・・・
陛下も暫し、周りの戯言を聞き入れているかに見えるのだが・・・・・・・・・・・・・・・・おもむろに納得したように
「王室顧問、孤児姉がお前のことを慕っているのは判っているはず。如何して答えを出そうとしないのだ?」
そっちに来るか!
「孤児姉はまだ子供ですよ。手を出したら王兄殿下と同類になるじゃないですか!」
とりあえず、建前上の理由を述べてみる。
「でも、この年ならば結婚するのも少ないけどいるな。」
「酒盛男爵を見てみれば・・・・・・・・・・・」「黒髪孤児男爵なんて・・・・・・・・・色街の顔役といって良いほど・・・・・・」
「孤児娘も囲っている王室顧問らしくないですな・・・・・・・・・・・」
あの、馬鹿弟子共・・・・・・・・・・・・
色ボケしやがって・・・・・・・・・・・・・・
「御主人様・・・・・・・・・・・」
孤児姉が困った顔をして見つめてくる。
私も困った。如何したものか・・・・・・・・・・・
「婚約だけでもしておけば良いのではないか?どうせ、孤児姉は王室顧問の手つきという認識をされているから他の者が娶ろうとすることがないだろう。その辺は責任を取ってやるんだな。」
げふっ!
そこでそれを持ち出すか!
その噂は知っているけど・・・・・・・・・・・・・手は出していないぞ。
そもそも、私は仕事をやめて隠遁したいという話を持ちかけたのに・・・・・・・・・・
「しっかり稼いで孤児姉とか子供達に美味しいものを食わせてやるんだな!」
宰相閣下、自身の隠遁生活のために私を犠牲にしようとするのですか?
「勿論だ、王室顧問は若いのだから仕事するのが当然だ。」
そういう固定概念は良くないと思います。
ああ、仕事したくない。
どうしてこうなったのだろう?