引退勧告と全裸賢者
引退勧告
某王国法ではある程度以上の地位にあるものを比較的安全に引き摺り下ろすための法案。主に年齢、健康上の理由などで続けることが困難な者に『よく頑張った、引退して長生きしてくれ。』と言う意味合いで適用されることが多い。
まれに、問題のあるが有能な人物に『すまん、これ以上は勘弁してくれ』と言う意味合いで適用されることがあるが、直ぐに撤回されることが多い。
適応してくれるのは良いけど、撤回するのは勘弁して欲しい。折角の隠遁生活が台無しじゃないか。
王室顧問の手記より
酒場で王妃に飯をおごったなどといったら、笑い話として否定されるだろうな。
酒場にいる連中も道楽貴族と子供の従者という認識しかしていなかったはずだ。
中々美味な店であったな。腕前もあるのだろうが暖かいものは暖かいうちに食えると言うのは当たり前のようで中々出来ない事だ。
異界には暖める道具があるというが、この世界には火を持って暖めるしかない。
火と言うものは危険なものだと言う認識で特定の場所でしか扱わないのが基本となっている。
異界でも火様みましと丁寧な扱いを行うものだよ。(by作者)
お陰で暖かい食事と言うのは王侯貴族の中ではあまり見られない。
保温のための工夫と言うのはあるけど、毒見やら配膳の時間とかで冷えてしまうのである。
彼等の会食だの宴席の料理は手がこんでいるが基本t期に冷えても美味な料理が基本となるのである。
私は下級貴族だし下賎と言われる所でも通って美味を求めるのだけどね。
「御主人様、暖かいものが所望でしたらいつでもお造りしますのに。」
愛い奴だな、孤児姉は。
お前が作るものは地味であるけど滋味である。だが、お前自身勤めがあるのだから無理を要求するわけには行かないだろう。時折齎されるのを楽しみにして居るぞ。
それはさて置き、この馬鹿親娘。人のおごりだと思い込んで色々高いものから注文しやがる。
美味だから、好物だからと注文する子供達に比べて軽蔑に値するものだな。
所詮は王族、目喰、耳喰でしか美味を測ることが出来ない哀れな存在だ。
「王室顧問、酷い評価ですわ。」
「ふむ、色々知らない味に触れる機会があって興味深い。王室顧問今度は孤児弟のひざの上で食べる機械を作れ。」
親娘してなんというか・・・・・・・・・・・・
今度は蝗でも食べる機会でも設けるか、油虫でもあれはアレで美味と言う話を聞くから試食会を・・・・・・・
それとも蜂の子とか・・・・・・・・・・・・蛆虫も乳酪に付いたものあれば美味として楽しめるから・・・・・・・・・
竜節蘭酒に漬け込んだ蛆虫は美味だったよ(by作者)
作者にしては良い事を提案する。文を綴るより美味を腹に収めることを人生の目的とする駄目人間だけの事はある。
うるさい(by作者)
王妃が王城に送り届けたときには・・・・・・・・・・・・・
王族に害をなすなどと・・・・・・・・面倒くさいではないか!
王族に仕事全部押し付けて私は隠遁暮らしを楽しみたいのに何で私の身代わりとなるべき王族を(以下略
それを説明したら変り者を見る目で見られたのは仕方ないね・・・・・・・・
「賢者様、如何して王国を奪取しないの?」
「王国の面倒なんて面倒くさいだろう。」
「けんじゃさまらしいや。」
孤児娘、酷い評価だな・・・・・・・・・・私がまじめに王国運営したらお前も・・・・・・・・・・・
「うん、私が間違ってました。適当に手伝いして面白おかしく暮らしたいです。」
それが正しい姿勢だ。
なんか陛下とか宰相閣下とかから文句が来そうだが気にしない。
さっさと退職して隠遁生活したいのに仕事ぶりが不真面目だと文句をつけるほうが間違っている。
さて、そんな無駄な騒動があった次の日。
ただ飯をたかりやがった王族に愛想を付かした私は未処理書類棚から色々書類を取り出す。
【王室顧問引退勧告】×10
私は誠実な仕事ぶりから諸方で恨みを買っている。
誠実?(by某王国担当地方神)
仕事自体はまじめだよな。熱意は兎も角(by光明神)
自分で言うのはいくらでもいえるわね。(by文芸神)
弱きの盾となっているのは評価する。(by性愛神)
匙代くらい良いじゃない(by療養神)
なんか無駄な発言があった気がするが、この【引退勧告】をもってすれば・・・・・・・・
私が隠遁生活をすることが出来る事間違いなし。
とりあえず内容を確認しよう。
ふむふむ、財産没収? 甘いな、それをしたら発案者の借金も王国に吸収されるから大変だぞ。
孤児達は王国に? 御せるかどうかは兎も角、孤児達は私の後見するものだから私の許可なく動かせないだろうに・・・・・・・・・
孤児娘は俺の嫁? 鏡を見て出直せ!
息子を官僚に? 是はよい・・・・・・・・・・・・・って、一度逃げ出したろう!
王妃様は永遠の18歳です。・・・・・・・・・・・実年齢は(検閲削除)才なのに言いきれるほど強くない。
どれを見ても突っ込みどころ満載で・・・・・・・・・・・・
そうか!こいつらが馬鹿で使えなければこいつらの連名で偽造すればよいのか!
「御主人様、それは流石に・・・・・・・・・・でしたら交渉して私達の条件とすり合わせていけば・・・・・」
ふむ、それが常識的で確実だな。
よし、頑張って引退するぞ!
酒が切れたので是まで