孤児諸々と王妃様
黒下着の使徒:【透視布】の販売をするにしてもただ裸が見れれば良いと言う物でもあるまい。過程というものに浪漫があるのだ。
考案者:難しいですな。私の作成した【透視布】は基本的に布を透かす機能ですので中に金属製の短剣とか隠し持て散るなら兎も角下着は・・・・・・・・・・・・
幼女守護者:良いではないか、手っ取り早く販売してから資金を得るのが先ではないか?
半脱道楽者:否、同志よ!それは浪漫に欠ける。同志【黒下着の使徒】が言うように途中経過というものも楽しみたいではないか。考えてみるがよい。同志が好物の幼女が一枚づつ脱いで行く様を、うんしょうんしょとおぼつかない手つきでちまちま脱いでいく様を・・・・・・・・・・・
幼女守護者:同志!我が間違っていた。実際問題、開発にはどれくらいの時期が掛かるのかな?同志【考案者】よ。
腐界王女:それは私も聞きたいわね。現在の【透視布】でも楽しめるけど、一枚一枚脱げて行く所をじっくり楽しみたいと言うのは理解できるわ。
考案者:それが目処が立たない。幾つかの難点があってね。まずは布を一枚一枚透かすとなると魔術陣の構成を組むのに時間が掛かる。是は地道に進めればよいだけだ。最悪、下着の素材限定ならばそれを残して透かす事ができるが、上着から下着まで同一素材だった場合は【目隠し布】と変わらなくなる。次に資金の問題だ。【目隠し布】は【全裸賢者】【癒しの神】【温泉貴族】から出資があるのだが流用するにしても【全裸賢者】配下【経理孤児軍団】を欺くことは不可能に近い。彼等の不正経理を追い詰める能力と熱意は角度の猟犬と同等だろう。最後に【透視布】を世に出すとなると世間の良識と言うのが邪魔をするのだ。
春画収集家:良識か・・・・・・・・・・・
嘔吐哲学者:世間と言うものは見識が狭い。
腐界文学少女:浪漫を解さないとは、無粋なものが多いですわ。
毒蛙:仕方あるまい。浪漫の形は其々じゃ。想い人の裸を見られてしまうことに嫉妬する馬鹿もいるじゃろうって・・・・・・・・・・ 所で見たくない裸もあるのだが、それについては?
黒下着の使徒:それはいえるな。我輩は婆の裸は見たくないぞ、若作りでいても一肌脱いだらダルダルだったとか・・・・・・・ 目も当てられん。
半脱道楽者:同志の言うとおりだ。選別機能も欲しいな。
腐界文学少女:それはいえますわ。中年親父の太鼓腹を好んでみることはしたくないですわね。
ここで、喧々囂々・・・・・・・・・互いの体格に対する侮蔑表現からの諍いが起こる。
黒髪少年:所でおいらなんでここにいるんだろう?
大商人:普通に【目隠し布】の販売計画立てていたのだがなぁ・・・・
仕事なんかやってられるかぁぁぁぁぁ!!!
数日間子供達と共に缶詰になっていた私は子供達を連れて王城を脱出した。
ついでだから、官僚の馬鹿共に酒を補給している灰髪兄妹を一緒に連れ出す。
私達の前に立ちはだかる悪の王国政府。
それを尽く、神秘緋金属張扇の餌食にして。
「待て、王室顧問卿!しご・・・・・げふっ!」
「王室顧問金ならば増額するよう陛下に掛け合う・・・・・げひゃ!」
「王室顧問、せめて孤児達だけでも・・・・・・・・・・・・ごふっ!」
「申し訳ありませんが貴方方を外に出さないようにとの陛下の厳命です。ですからお戻りいただけま・・・・・・・・ぎゃふっ!」
どしげしばしどこっ!
加護付きの神器は良いものだ。それが演芸神の物だとしても。
ちょっと、その表現は我に対する敬意とか信仰心とかないだろう。(by演芸神)
勿論そんなものは持ち合わせた覚えはない。なんたって私は性愛神の敬遠なる信徒だ。
ごげしっちゅ!
私が一閃する度に星だの何だのを散らばせながら壁のシミになっていく、近衛兵やら文官達。
うむ、中々楽しいものだな。
「けんじゃさますごーい!」「ぼくもぼくも!」
「僕達はジユウダァァァァァ!!」
子供達もノリノリで私が討ち漏らした者を餌食にしていく。
所で影で吹き飛ばしたりしているけど怪我とかさせていないよな。
心配するな、子供達だって手加減している・・・・・・・・・・はずだ。(by暗黒神)
「御主人様、子供達が手をかけた方々の様子が・・・・・・・・」
ぴくっぴくっ・・・・・びくん!
・・・・・・・・・・・・・・・・・しーん。
「・・・・・・・・・・・・・大丈夫だろう。存在の消滅はしていないから。」
「御主人様!」
「しっかりしてください・・・・・・・・・・・・・って、この指輪は・・・・・・・・・・」
商売柄、魔具について知識の付いてきたらしい灰髪少年は【特殊効果の指輪】(販売価格銀貨2枚)を確認した。
なるほど、是で派手にやられた振りをしているんだな。器用な真似を・・・・・・・・
「やられた振りして不意打ちしようとしているんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
どこっ!
「ふべらばっ!!」
死んだ振りをしていた馬鹿に止めの一撃を食らわしてやった。
今度こそくたばったろう。
「酷い・・・・・・・」「完全に沈黙しているわね。」「怪我ないはずだから良いけど。」
「なるほど不意打ちを気をつけないとなんか。」「窓から捨てたら?」
「それは本当に怪我してしまうから止めなさい。」
「「「はーい。」」」
今の私達を止めるものはいない。立ちふさがる近衛隊を壁のシミに変えながら進んでいく。
流石に近衛達も仕事が続いて帰ろうとしているだけなのを止めようとするのに気が引けるらしく素手で捕まえようとしているから出来る事なのだが・・・・・・・・・・
剣を持って生死を問わずだったら無理だろう。
「普通に襲ってきたほうが楽だよ。」
ぼこっ!
暗黒神術で派手に近衛達を吹き飛ばしながら子供達は軽く答える。
そういえば場数だけは踏んでいるからなぁ・・・・・
奴隷狩られとかして遊んでいたからなぁ・・・・
「怪我させるんじゃないぞ。」
「はーい!」
うんうん、可愛い子だ。
「王室顧問!そこまでよ!普通に断って帰ればいいじゃない!片っ端から王宮の者を壁のシミに変えるんじゃないわよ!」
「王妃様、断って帰ろうとしたらしつこく止めるものですから身を守らせてもらいました。」
「って、言うか業務が滞ってるじゃない!」
「早く官僚達を復帰させるか代わりを寄越せ!王命だとかで逃がさないようにしておいて言う事じゃないだろう!」
「だって、貴方達がいないと仕事にならないじゃない。それに官僚達は反省の色がないし。」
最後の難関は王妃様か・・・・・・・ 両手に神秘緋金属張扇を構えた臨戦態勢で逃がさんとしている。
って、言っている事と態度が違うじゃないか。
「では、王妃様我々は帰りますんで後宜しく。」
「あっ、王室顧問。今日は良いから明日は戻ってきてくださいね。まだ仕事たまっているんだから。」
「はい、畏まりました。お前等挨拶していけよ。」
「おーひさままたあしたー!」「さよならー」「ばいばーい!」
「はい、また明日もたのむね。」
すたすたすたすた・・・・・・・・・・・・
「あっ!」
王妃の横を歩き通り過ぎていく。
ちょろい(邪笑)
「御主人様良いのですか?」
「なにが?」
「どう見ても職場放棄ですよ。追っ手とか懲罰とか色々あるでしょう。」
「大丈夫だ、私達の分は終わらせているのだからな。」
「でも、山が大分ありましたが・・・・・・・・・・」
「アレは宰相府の仕事だし・・・・・・・」「王室府のもあったよ。」
「一番多かったのは王太子府だよね。あの王子様何処ほっつき歩いているんだろうね。」
「そういうことだ。何時もならば私も手伝うことはあるが官僚達のいないときに他人の仕事まで手伝う余裕はない。自分達の仕事は上の決済を求める程度までにしてあるから問題ない。」
「それならば良いのですが・・・・・・・・・」
心配性の孤児姉の頭を撫でて安心させてやると孤児達は口々におなか空いたとか言ってくる。
さて、いけ好かない女給のいる店にでも行って、食事としゃれ込もうか。
それとも他に旨い店は幾つかあるし、市場を巡りながらゆくとしますか。
そしてとある酒場。いつも行くいけ好かない女給がいる店は満席で仕方なく近くにあった店に行く。
がちゃがちゃもぐもぐ・・・・・・・・・・
子供達の食欲は旺盛だな。
豚肉の揚げ物が瞬く間に消えていく。干魚の煮物が骨すら残らないし・・・・・・・・・
野菜と鶏肉の乳酪焼きはおかわりを要求される。
「ほら、野菜も食べなさい!」
「うへぇ・・・・・・・」
孤児娘の言いつけを守って、野菜をしぶしぶ食べる子がいたり・・・・・・・・・
なんだかんだと皿数だけが増えていく。
私は穀物酒で喉を湿らせながら、子供達の旺盛な食欲を見て楽しんでいる。
「こっちに挽肉入りの卵焼きをお願いね。卵は半熟で。」
「わたしは乳酪乗せの焼き麺麭。目箒は少なめで・・・・・・・・・あとは、そこの赤い汁物を」
えっと、どうしているのですか王妃様に末王女様?しかも、一緒になって食べているし。
あまりにも自然に紛れ込んで食べているから、今まで気がつきませんでしたよ。
多分たかる気満々だな。この親娘。
「えっと、王妃様?何故此処に・・・・・・・・・」
「あら王室顧問。勿論、貴方が末王女と共に王城を出て行ったから付いてきただけよ。親として娘が勝手に表に出たら心配じゃない。」
「王室顧問、私は孤児達と一緒に仕事していたではないか。私にも一緒に飯を奢って貰う権利があるはずだ。」
「末王女様、飯という言い方は下品ですよ。」
「孤児娘!そっちかい!って、言うか末王女様は兎も角、王妃様!貴女まで何で来るんですか!普通に呼び止めて回収すればよいじゃないですか!まさか・・・・・・・・・・・・・・私を出汁にして・・・・・・・」
「え、えっと、王室顧問。逃げた貴方を捕まえる振りしてサボろうなんて・・・・・・・・・・そんでついでだから奢って貰おうとか・・・・・・・・思っていないですわよ。」
顔を背けていっても説得力ないな。ついでに口の傍についた金蓮華の茹野菜は拭いた方がよいと思うが・・・・・・・・・
それに孤児達は気がついたら、教えないか!
「子供達、王妃様に気がついていたのか?」
「王妃様に黙っていてとお願いされた。」「当たり前のようにいたからそんなものかとおもってた。」
「姫様とも話していたしね。」
うんうん、子供達が逆らえるわけないものな。
って、言うか仕事サボっている王妃をなんとしようかね?
私が冷たい視線を送ると王妃は開き直っているのか。
「たまには良いじゃない。王宮の料理は冷えていて美味しくないし・・・・・・街に出て食べ歩きしたいわよ!」
「無用心にも程があります!って、言うか私が奢る前提ですか!」
「良いじゃない!主君の系譜に食事を振舞う機会なんてそんなないし安上がりじゃない。」
「母上、普通にご馳走になりますで良いんじゃない。あと、牛の臓物の腸詰、肥育鵞鳥の肝臓を追加で。」
末王女にまで白い目で見られている王妃様。しかし、この便乗サボりをどうしてくれようか・・・・・・・・・・
末王女は遠慮せずに注文するし・・・・・・・・・・
肥育鵞鳥とか値段が張るものを頼みやがって。野菜も食え!
「王妃様、この場は持ちますからさっさと官僚共を解放して私の仕事をなくしてください。」
「・・・・・・・・むぐむぐ、考えておくわ。」
王妃様、孤児の注文したのを横取りしないでください。何処の欠食児童ですか貴女は!
まぁ、食い物の生存競争に晒されていた孤児達は取られても更に注文しているのだが・・・・・・・・・・
良く食うなぁ。
その頃の官僚部屋。
「王室顧問が逃げたぞ!」
「孤児たちもか?」
「ああ、追加の仕事を頼もうと思ったのだが。仕事を残してやがるし・・・・・・・・・」
「伝言が残っているぞ『我々の分は済ましてあります。後紛れ込んでいた書類は此処においておきますので分類処理はお願いします。王室顧問』・・・・・・・・・・・あの野郎!しっかり自分の分だけを処理していきやがった!」
「ちっ!紛れ込ませれば処理してくれると思ったのに。」
「お前もか!俺も厄介そうなのを紛れ込ませていたんだが・・・・・・・・・」
「明日全部押し付けるか。」「そうだな。」
かつかつかつ・・・・・・・・・ばたっ!
「王室顧問いるかね?」
「財務長に法務副長に外務長。そろい踏みで如何したのですか?」
「いや、官僚共の後始末して貰っているから様子を見にな。」
「所でお前らは如何して?」
「いえ、王室顧問に仕事の追加を願おうかと思いまして・・・・・・・・・」
ぴらっ!
「なんじゃ、この伝言文は『我々の分は(以下略)』・・・・・・・・・そしてこっちの仕事の山は・・・・・・・・『宰相府予算案』『王室府研究所危険物処理費用の見積り』・・・・・・・・是は官僚の仕事ではないな。」
「そして持ってきた仕事は・・・・・・・・・・・ ほうほう、お前等の仕事だな。」
「・・・・・・・・・・・ぎくっ! あははっ、どうも間違って持ってきたみたいで・・・・・・・・・・直ぐに持ち帰ります。」
くるっ!
「ではしつれ・・・・・・・」
がしっ!
「まぁ、良いではないか。ゆっくりと事の経緯を聞かせてもらえるかな?」
「少々面白い事をしているじゃないか。確かに王室顧問は宰相なら勤まる器だが、君達の仕事をこなす余裕はないはずだぞ。」
「え、えっと・・・・・・・・・・」
「じっくりと話をしようではないか。いくらなんでも仕事が遅いなと思ったらこんなことがあったとはねぇ・・・・・」
仕事を紛れ込ませようとした馬鹿は謹慎処分・・・・・・・・・なんて事はなく、しっかりと仕事をする羽目になりましたとさ。