孤児諸々と蓑虫官僚
ぶらーん ぶらーん
王城の壁にぶら下がる蓑虫がいくつか・・・・・・・・・
ぶらーん ぶらーん
当初は王家が暴虐をやらかしたかと話題になったのだが、蓑虫の中身が官僚達だと知るといつもの馬鹿かと日常に戻るのであった。
って、いうか・・・・・・・
人がぶら下げられているのにその反応かよ!
仕事が滞るし、こっちに仕事のとばっちりが・・・・・・・
なのにあの蓑虫と来たら・・・・・
ぶら下りながら酒盛りしているし、どこから酒を持ち込んでいるんだ!
ふと気になって観察してみると、
「官僚さん達、お酒とつまみお待たせしました。」
「悪いねぇ・・・・・灰髪少年。本当は市場で呑めればいいんだけどねぇ……」
「まぁ、いつも私等を贔屓にしてもらってますから、この位は……」
「あと、これは代金だ。また頼むよ。」
「はい、毎度ありがとうございます。」
いやぁ、ぶら下りながらの酒盛りも一種奇景でおもしろいねぇー(by酒精神)
なるほど、酒の運び手がいたのか・・・・・
しかもあの少年は王室顧問が後見している灰髪少年ではないか。
市場で妹と酒の売り子していたはずだが孤児達に巻き込まれて官僚の手伝いする羽目になったのか、不憫な。
・・・・じゃない!
酒を与えたら無意味だろう。
って、言うかこれ幸いに酒盛りする官僚達の肝の太さとか、蓑虫状態の酒精神を何とかしないととか・・・・・・・
陛下は何を考えているんだ!
「はい、官僚さん。追加の果実酒です。」
「目隠しちゃん悪いねぇ・・・・・配達までしてくれて・・・・・助かるよ。ぶら下がってみる景色も中々乙なものだが酒がないのは堪えるからねぇ・・・・・・」
「ああ、こっちにも分けてくれ。」
「しかたないなぁ、ほら」
どくどくどくどく・・・・・・・
ごきゅごきゅ・・・・・
「いやぁ、仕事しないで酒盛りというのは最高だ。」
「ああ、見てみろよ!人がゴミのようだ!」
「暫くぶら下がっているのも悪くないな。」
「そのまま、忘れ去られそうだが。」
「そのときは縄抜けして場外に出て酒盛りとしゃれこもうではないか友よ。」
「うむ、それが良い。」
「では、私はこれで・・・・・・・・」
「目隠しちゃん、また頼むねぇ・・・」
王城の窓から酒とつまみを差し入れた、目隠娘はホクホク顔で官僚部屋に向かっている。
王室顧問・・・・・・・・あんた、何をやっているんですか!
奴もぶら下げるか?
いや、奴をぶら下げるのは簡単だがぶら下げたら仕事が滞るどころの話じゃない!
王国政府が大混乱して、さらには世界的に問題が・・・・・・・・
ああ、神よ。どうして王国政府を支える連中は馬鹿ばかりなんですか?
とある、王室府文官の嘆き
「けんじゃさまぁ、いつになったら仕事終わるの?」
「おなかすいたー」「ねむたーい!」「つかれたー」
官僚部屋にこもって数日。子供達もウンザリしているようだ。
って、言うか私達は補助業務だぞ!
官僚共は如何した!
「王室顧問卿、追加の書類です。処理お願いします。」
どさっ!
「宰相府事務官、仕事は良いけどどうして私に回してくる!それに、官僚共は如何した官僚共は!さすがに子供達も限界だぞ!」
「え、えっと・・・・・・・・官僚達は粗方王城の壁の飾りとなっていますが・・・・・・・・なんていうか、酒盛りを続けてまして・・・・・・・窓の外を見てもらえると・・・・・・・」
事務官の言う通りに窓の外を見てみると・・・・・・・・・
うん、私の目の錯覚ではないのだろうか?
王城にぶら下がっている官僚共が酒盛りをしている。しかも酒精神とか豊穣神だとか詩人神だのが屯してばか騒ぎしている。
その様子を見ていた子供達も唖然としているようだ。
「子供達、よく見て御覧。あれがダメな大人の見本だよ。ダメな神々の見本とも言えるか・・・・・・お前たちはあんな大人になったらダメだからな。」
「はーい!」「わかった!」「あたしたちに仕事押し付けるなんてひどいよね。」
「【酔い覚まし】の魔法でもかまそうか?」「酔っぱらいの神様がいるから駄目だよ。」
「いいじゃない!神様の一人くらい沢山いるんだから。」「それもそうか。」
「とりあえず上から水をぶっかけない?」「それよりも引き上げて仕事手伝わせようよ。」
「元々、かんりょうさんたちのしごとだしね。」
うんうん、かわいらしいやり取りだねぇ・・・・・
今夜はあのいけ好かない給仕女のいる店に行って食べまくるか。
「王室顧問卿・・・・・・・」
子供達の他愛もないやり取りを怯えた目で見る宰相府事務官。
まだいたのか………
「ちょっと、子供達に自重とか教えませんか?」
そうだ!王室顧問自重しろ!神殺しとか世界を壊すつもりか!(by節制神)
「子供の他愛もないやり取りだろ。怯える方がどうかしている。」
「・・・・・・・・本気でやりかねないからなぁ・・・・・お前の養い子達は・・・・・・・官僚達に酒を差し入れているのは灰髪兄妹だし・・・・・・・・・」
あいつら、見かけないと思ったらそんなことしていたのか。以外と逞しいというか大丈夫なのか?
「何やっているんだか・・・・・・・」
「ご主人さま、二人には言い含めてやめさせましょうか??」
「そうだな・・・・・・ なんかあほくさくなってきた。今日はこれくらいにして帰るとするか。」
「ちょ!王室顧問卿!帰らないで下さいよ!仕事が・・・・仕事が・・・・・・・・」
子供達も飽きてきているし、少し回復させないと暴発するぞ。
おもに私とか孤児達が・・・・・・・・・
まぁ、からかうのはこれくらいにして、一踏ん張りしますか。
「子供達、この山を片付けたら今日は終わりにしよう。」
「えっー、仕方ないなぁ・・・・・」「早く終わらせて帰ろう!」
「明日は絶対休むぞ!」「はーい」
「そういうことで事務官、仕事持ち込んだら怒るからね。その辺よろしく。」
かりかりかりかり・・・・・
ぺらぺらぺらぺら・・・・・・
「何で私まで仕事しているのだ?」
あっ!末王女様いたの?
私が驚いた顔をしていると
「いたのって・・・・・・・・顔しやがって、しらじらしい。 孤児弟がいないか見に来ただけなのにひきこまれて・・・・・・書類漬。王室に対する敬意とか全然ないだろう。」
「勿論、ないですよ。忠誠もないですからさっさと解き放ちしてくださいよ。」
「絶対それを狙っている癖に・・・・・・」
「ちなみに孤児弟は商会公の処にいるはずだな。目隠し布の件で【透視布】が開発できたんだがそれを男の浪漫といういことで売りに出すかどうするか激論しているぞ。」
ちなみにその風景を見たんだが良い年した大人が、裸を見るのは浪漫であるとか、それは浪漫じゃないとか無粋なアイテムではなくて自力で風呂場を覗くのが良いとか、いや、泉での水浴びに出くわしてきゃーが捨てがたいだの・・・・・・・・・
浪漫はわかるが関わりたくないぞ。商会公の処の女衆に白い目で見られていたのは関係のない話だ。
って、言うか王兄殿下とか王妹殿下だの奇才魔術師が混じっていたのは良くある事だ。
仕事しやがれ、腐れ王族!
「よしっ!孤児弟のところに行くぞ!」
「待ってください王女様!【透視布】の開発会議に向かうのはよろしくないかと・・・・・・・・ごにゅごにゅ」
顔を赤くして説明する孤児姉に末王女も………あきれ顔している。
「行ってみたら面白かったのに・・・・・・・・孤児弟の一面が見れるぞ。」
「賢者様、それはさすがに趣味が悪いというか・・・・・・」
孤児娘にたしなめられてしまった。
末王女が言ったところで幼児体型を見て喜ぶのはいないと・・・・・・いたか、王兄殿下。
それを察した末王女は自分の身をかばうかのように腕を固く巻きつける。心なしか震えているが・・・・・・実の伯父だろうに・・・・・・・・・そんなに信用ないのかね。信用できないか。
「いとしい孤児弟がどっち側にいるか見に行きませんか末王女様?」
少々意地の悪い質問をしてみる。
末王女は孤児姉やら孤児娘に抱きついてふるえながら答える。
「そんな変態の巣に行くなんて自殺行為ができるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
そりゃ、もっともだ。
「でも、孤児弟が変態だったら嫌いになるのですか?」
「うっ!ううっ!」
悩んでいる悩んでいる・・・・・・・・
「御主人様・・・・・・・・」
孤児姉が白い目で見ている。
「ついでだから公爵令嬢も誘うか?」
「御主人様、弟を不幸にしたいのですか?」
「いや、真の姿を見てもらっても尚、受け入れてくれるような娘さんじゃないと奴と付き合いきれないだろう。助平だし・・・・・・・女に弱いし。」
「女性に弱いのは否定しませんけど、変態でないと・・・・・・・・変態はご主人さまだけで手一杯なのに・・・・・・・」
おやおや、孤児姉まで悩んでいるようだ。何気に失礼なことを考えているようだね。
その変態に撫でられて喜んでいるのはお前だろうに・・・・・・
孤児姉の頭を撫でてやると、へっ!という顔をして複雑そうな表情をしている。
「誰が変態だ。」
孤児姉の頭をくしゃくしゃに乱してやる。孤児姉は体をこわばらせているようだ。
愛い奴よ。
「王室顧問は変態というよりも性質の悪い腹黒なんだろうな。孤児姉準爵が騙されているようで見てられん。」
「大丈夫ですよ末王女様。孤児姉は望んでいるんですし・・・・・・・」「賢者様はやさしいですから。」
「私たちもかわいがってほしいのに・・・・・」
「お前らの趣味が悪いのはわかった・・・・・・」
「「「ちょ!ちょっと待ってください!」」」
「誰が趣味が悪いって!」
「賢者様位の男なんて王宮にいないじゃないですか!」
「いるのは子供に馬鹿に官僚ですよ・・・・・・・・あと変態。消去法でも賢者様位しかいないじゃないですか・・・・・・・」
「なんか、自分のいる所が嫌になってきた。」
「「「・・・・・・・・・・・」」」
現実を知ってへこたれる末王女。強く生きろよ。孤児娘達も追い打ちをかけなければよいのに。
自分で言って、現実に気がつくとは・・・・・・
頭を抱える女の子達を尻目に私は片付かない山を見てため息をつく。
早く官僚を寄越せ!
私が過労死してしまうだろう。
「けんじゃさまー、現実放棄してないで手伝ってよ。」
孤児に怒られてしまった。
「王室顧問の旦那、助っ人に来ました。」
小間物屋、助かる・・・・・・ ただし今夜は帰れると思うな。
強壮剤よし!補給の準備よし!
話が進まない。けど気にしない。
酒が飲みたいのでこれまで。