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孤児諸々と【わかち】

「【わかち】の日に温もりを分かち合おうだとか、人生を分かち合おうだとか・・・・・・・・・・同志よ、【わかち】とはそんな甘いものではないだろう。」

「悔しいです。そんな口から糖分が延々と補給されそうな【わかち】を送れる者達がとてもとても・・・・・・・・・・」


王宮の某一角、そこに居るのは悔し涙を流す男女。身分境遇に差はあれども、共通点が一つ。

人の温もりを欲していながら得られない境遇である事。


もてないともいうね。(by恋愛神)

そう露骨に言うものではないわ。得られないというのはそれだけで苦痛なのだから・・・・・・・・(by性愛神)


そんな彼らは思い思いに変装をして顔がばれないように仮面を被りここに集まっている。


「同志達よ!【わかち】とは持てる者が持てない者に彼等の苦痛を【わかち】あおうと自らの幸いを投げ出す事ではないのか?幸せなもの同士で【わかち】あっているのは【わかち】の本質を穢している事ではないのだろうか?だから、我等は【わかち】の夜に決起する。世界全てに我等と共にあることを【わかち】あおうと・・・・・・・・」

「同志、それは・・・・・・・・・・」

「ああ、彼氏彼女持ちの幸せを我等と【わかち】あってもらおうじゃないか!」

「なんていう残酷な・・・・・・・」

「同志腐れ女よ、その残酷な境遇に我等は・・・・・・・・・・・・置かれているんだ。われらが何をしたと言うのだ!他者に迷惑をかけたこともなく、地味にいるだけなのに『きもい』だの『腐っている』だの『のうさんきゅう(異世界語)』だの色々口汚くして罵り、」

「同志、それ以上は・・・・・・・・・同志の目から流している血と滲み出る口惜しさから・・・・・・・・・・・これ以上見ていられません。」

「同志、そこまで・・・・・・・・・・・・・・嗚呼、口惜しいさ。だけど口にするだけで流れる血涙を俺は見ていられない!だからそこで発言を・・・・・・・・・・」

「いや、言う!口惜しく血涙が止まらないが、だからと言って止める理由にはならない。そうだとも、我は『きもい』かもしれない!我は『寂しい独り身』かもしれない!我は『好みでない』かもしれない!だけど、だけど・・・・・・・・・・・・・・我だって温もりを分かち合う誰かが欲しかった。なのになのに・・・・・・・・・・・・・・」

「馬鹿野郎!俺だってそうだ!ここにいることが傷の舐めあいだと言われるけど幸せになりたいと願う事がなぜ悪いのだろうか?」

「そうよ!連れ合いの一人二人を見つけてささやかな【わかち】を楽しみたいと願う事が何故悪いのよ!どうせ私は【腐って】いるわよ!」


そこに集まった者たちは口々に・・・・・・・・・・嘆き叫んである。

俺だって好き好んでとか・・・・・・・

腐っていても彼氏が欲しいわよとか・・・・・・・

男に迫られても嬉しくないんだ如何して女達は俺と付き合わないで男に迫られている姿を楽しんでいるんだ・・・・・・・・とか

【わかち】を前に貴方じゃ見栄えがしないから・・・・・・・・・・・・


口々に嘆きを発する。

ここは満たされる者達のはけ口・・・・・・・・・・


主催らしき男が言う。

「嗚呼、同志達よ君達の嘆きはもっともだ。我等はただ幸いを得たいだけだ。それでも、それすら許されぬこの世界は正しいと思えるかね?」


否!!という声が響き渡る。

主催らしき男はそれを抑え、声高に叫びを挙げる。

「同志諸君。我は此処に諸君等の助力に期待する。」

静まり返る一同。

「同志諸君。我は此処に世界への問いかけを始める。」

そこに響き渡るのは男の声と風の歌だけ。

「同志諸君。君達の痛みを世界と【わかち】合おうではないか。」

静かに語りかける主催の言葉に場にいる者達は耳を傾ける、否、魂を傾けている。

「同志諸君、我等は優しくそして間違った道を歩んでいるかもしれないが、それを否定され温もりを拒絶される言われはない。どうして、少々の幸いを【わかち】あう事を拒絶されるのか?我は問いたい。如何して如何して・・・・・・・・・・・・・・・」

嗚咽の声が静かに低く流れる中・・・・・・・・・・・

男は血涙を流しながら、魂から・・・・・・・・否、存在の全てをかけて叫びを挙げる。


「今宵、全ての王都の民に不幸を【わかち】あおうではないか!幸せな連れ合いが居る所では不幸な事故があって・・・・・・・・・・・・」

主催の言葉はそこで途切れる。何故ならば、否定する声があったからだ。

否定の声の主は幼い声で叫びを挙げる。


「【わかち】の夜は不幸じゃだめ!!それはおにーちゃん、おねーちゃん達でも!!自分だけが不幸だと思っちゃ駄目!王都には・・・・・・・・いや、せかいには僕達でさえ救いきれない不幸があるんだから!」

「何をこの糞餓鬼が言っているんだ!」

「その明盲(あきめくら)!お前に言っているんだ!おまえは生きているだろう!おまえは自由だろう!おまえは飢えていないだろう!それなのに不幸を撒き散らすなんて・・・・・・・・・・・・・おまえは甘ったれているんだ!明盲(あきめくら)!どうせならば不幸のドン底だと思っているならば・・・・・・・・・それは上げ底なんだよ!世界には世界には・・・・・・・・・・・・・」


子供は涙を流し叫びを挙げる!!

「世界に対する怨嗟の叫びするらあげられない奴等がいるんだ!いい年して甘ったれた事をいうな!!僕は孤児で賢者様に拾われるまで・・・・・・・・・・・・・それはいいんだ!僕よりもむごい境涯の兄妹分がいたんだ・・・・・・・親に捨てられて・・・・・・・・・・拾われた先が貧乏孤児院。そこでも飢えに苛まれ・・・・・・・・・・・・・ある日、奴隷商人に攫われて・・・・・・・・・僕たちが声をあげても助けるものがなくて・・・・・・・・・・・・見つけたときは襤褸切れのようで・・・・・・・・・・・・死にたい死にたいと叫びながら・・・・・・・・・生きたいと思いを残して・・・・・・・・・・・・・・・」

子供はそこで言葉を途切れさせ・・・・・・・・・・・・・・・嗚咽している。


子供の告白に主催らしき男は・・・・・・・・・・・・血涙を流しながら。

「孤児院の孤児官僚よ。我は間違っていた。世界には世界には・・・・・・・・・・・・・・我よりも・・・・・・・・・・我よりも・・・・・・・・・理不尽に苛まれている者が居たのだな・・・・・・・・・・・・・・・・済まない・・・・・・・・・・・我個人は此処に世界に対して叫びを挙げよう!!」

主催は血涙を流し、仮面をはがして素顔のままで決意を述べる。

「不幸なる同志達よ!我はこの時を以って君達と道を違おう!この孤児官僚の嘆きに応じるために!理不尽に抗うために!なんだ、我は自身の幸いに気づかず。世界に災悪をばら撒く所であった。我よりも幸いなき境涯があることに気がつかず。自分だけが不幸だと・・・・・・・・・・・・・・・・」

主催は嗚咽の声で・・・・・・・・・・言葉を発せない。


子供は涙を流しながら事の運びを見守っている。

そこで言葉を継ぐのが一人の男


「同志主催よ、お前を責める者は俺が許さない!俺自身・・・・・・・・・子供の言葉で目が覚めた思いだ・・・・・・・・・・・・・・子供よ知る限りの不幸なものを言え。俺は力の及ぶ限りに助力しよう!」

「神々に誓って!私は幸いなき誰かの為に・・・・・・・・・・・・」

「子供よ。救いたいと思うものは何処だ!命令書を出そう・・・・・・・・・・・」

「その身を官僚と落としても尚、誰かの為にと言う心意気。無碍にすることはない。」


集いし者達は子供に対して、助力を申し出る。

子供は泣きながら。

「では、王都とその近郊で幸い無き身になっているものが居ます。その者達の為に僕は【わかち】を行おうと・・・・・・・・・・・・物資を自らの俸給を捧げました。配る手数が足りなくて・・・・・・・・・・・・・」

「言うな、子供。大人に頼れ!糞餓鬼が!!」

「子供の想いを汲み取れない大人である心算はないわ!」

「で、金銭的には足りているのか?」

「目が覚めたわ。助力しよう!お前が思う幸いの為に・・・・・・・・・・・・・・・」


参列の衆は助力を申し出る。

自らの不如意な境涯を棚に上げて・・・・・・・・・・・・・


「えっ!いいの貧乏くじだよ・・・・・・・・・・・・」

子供が挙げる声に


「見くびるな子供!貧乏籤位引けなくて大人といえるか!!」

「黙って助けを請え!」

等という・・・・・・・・・・・・持たざるものであるけど矜持は失っていないようだ。


主催は言う

「参列の諸兄等に問う。我はこの子供の願いをかなえるために一人立つのだが、どうする?」



集いし者達は叫びを挙げる!

「みくびるな!」「われらを無礼るな!」「甘ったれていたのは否定できぬ。」

「幸いなき誰かに幸いへの道を・・・・・・・・・・・・・・」

「で、餓鬼!救いたいと思うのは誰だ!」

そこに集いし男女、本気で同意を示す。


主催は言う

「子供、大人に頼れ!子供は子供らしく我侭を言え!理不尽に泣くものは誰だ!」


そして主催は本気で叫びを挙げる。

「同志諸君よ我は助力を願い出る。この子供の叫びに助力して幸いの道を繋がん事を・・・・・・・・・・・・・子供、救いたい誰かのいる道を示せ!我一人でも進もうではないか!!」

「馬鹿言うな同志主催!我も見捨てることが出来ようか!」

「王都練兵場に連絡!非番も含めて実働すると!」


馬鹿がいる馬鹿がいる!

温もりなき、その身で幸いを願う馬鹿が・・・・・・・・・・・・



此処に集ったもてない者達は幸いを願う叫びに王都に巣食う、幸いなき連鎖を救わんと立ち上がるのだった。



本当に馬鹿だよな。(by某王国地方担当地方神)

温もりを分かち合おうか・・・・・・・・・・

寒い季節には悪くない、孤児姉だったら仕方ないと思えるが・・・・・・・・・・

しかし馬鹿だなとも思う。


私なんかを相手にせずにすればよいものを・・・・

少しからかうか

「そうか、温もりを【わかち】あうか悪くないな御出で・・・・・・・・孤児姉。」


私はひざを叩きながら孤児姉がこちらに来るように促す。

孤児姉は素直に私のひざの上に座る。

愛い奴よ・・・・・・・・・・


「孤児姉、私からは何を【わかち】あうかな?では今宵の寝床でも分かち合うかな。」

「えっ!えっ!それって・・・・・・・・」


ふふふっ!掛かったかな(邪笑)


「孤児姉、どうせ夜は寒いのだ。ぬくもりと寝床を分かち合うか」

項垂れる孤児姉、思ったような効果がなかったことに・・・・・・・・・・・・



ひでぇ・・・・・・・・・(by海洋神)

むごいね(by性愛神)

あんまりだ・・・・・・・(by演芸神)



周りの雑音は兎も角、この夜は暖かいことだけは確かだな。

天然の行火があるのだから。


さて寝床に戻るか・・・・・・・・・・


孤児姉の暖かさは枯野の季節には重宝だったということは記しておこう。

翌朝に項垂れている孤児姉を見かけた寮母に女性の敵扱いされたのは仕方のないことだろう。


手を出しても、出さなくても女性の敵というのは少々理不尽だ。





さて、王宮に向かうとするか・・・・・・・・・・・

とりあえず陛下に挨拶位するかな。

私は孤児姉を従えて王宮へと向かう。



執務室にて、陛下と宰相が其々の配下をこき使いながら唸っていた。

そこにそびえる双子山。普通双子山といえば胸の比喩なのだろうが、この場合は仕事の山だ!

如何すればこんなに溜めることが出来るのだろう?

自堕落な生活をしているからこうなるのだ。

是が王侯貴族とはこの国の先は暗いものだな・・・・・・・・


「陛下、ご機嫌麗しく・・・・・・」

「王室顧問か、子供達は何時になったら寄越してくれるのだ?」

「陛下、子供をあてにしないで自前で人材発掘してください。」

「お前が仕事をサボるからたまるんだ!」

「仕事?私の仕事は弱者の保護と孤児院の管理ですよ。その部分はしっかりと行っていますけど何か文句でも?」


「・・・・・・・・・・・・ちっ!」


舌打ちしやがったよ。しかも複数・・・・・・

部下の躾がなっていないとは程度が知れるねぇ・・・・・


「王室顧問卿の孤児達が見つけ出した不正部分に追われているんだ!!」

「少しは手伝え!」

「実家に飛び火したじゃないか!」「俺なんか彼女の実家から何とかしてくれと泣き付かれたぞ!」

「まだいいよ。俺なんか目の敵にされて振られたよ。孤児姉ちゃん慰めて・・・・ごふっ!」


口々に私に文句をつけてくる宰相府付の連中、最後の発言は私直々に粛清した。

可愛い孤児姉をお前なんかに渡せるか!

それに対して文句をつけてくる宰相閣下。


「王室顧問、部下をつぶすのは止めてくれ。」

「私の可愛い孤児姉に手を出そうとする糞野郎に引導渡しただけです。」

「・・・・・・・・・・・・・・///」

「だったら、しっかりとモノにすればよかろうに。まだ手を出していないのだろう。お前らしくもない・・・・・・・・・・・・性愛神殿100人切りが如何した。」

「そこまでしてませんよ、86人しか。」


「それはそれで羨ましいというか、凄いというか・・・・・・・・・ワシもやってみたいが・・・・・・」

「陛下ならば側室とか持てばよいでしょうに、それよりも後ろを見たほうが・・・・・・・・・」


陛下の後ろからどす黒い気配が・・・・・・・・

後ろを見た陛下が仕事をしていた王妃の存在に気がついた。


その場にいる男たちは静かに陛下の冥福を祈って黙祷した。

「陛下、暫し二人だけでお話を・・・・・・・・・・・・」

「誰か、た、助けてくれ・・・・・・・・・・・・・俸給増額とか・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・」


ずりりりり・・・・・・・

陛下は何処とも知れない場所に引き込まれてしまった。

恐ろしきは女の嫉妬、陛下も愛されているなぁ・・・・・


「陛下も愛されてますね。」

「王室顧問卿、アレを愛と言い切るか。恐ろしい女の執念にしか見えないぞ。」

「陛下付の事務官。如何でも良ければ、笑い飛ばされるか無視されるだけだぞ。」

「それはそうだが・・・・・・・・・」

「如何考えても陛下と立場になりたくないよなぁ・・・・・・・」


うんうんと頷く男達。

「それより御主人様、この仕事を如何しましょうか?」


どでーん!

見事にそびえる双子山。

「王室顧問、考えたくもないのだが二人してこれを機会(ネタ)に逃げ出したのでは?」


どでーん!

崩すことも不可能に思える双子山。

「宰相閣下、もしや夫婦揃って・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・考えたくもないが、可能性は高い・・・・・・・・」


我等のやりとりで理解したらしい、国王付事務官の一人が

「近衛兵!近衛兵は居らんか?」


そこに現れたのが我が友護衛官とその一隊。両手に書類を抱えている。

そう言えばわたしが近衛事務官に推薦していたなぁ・・・・・

主に嫌がらせ的な意味合いで。


「どうした?」

狼系獣人やらなにやらぞろぞろと引き連れて書類の運び込みをしている。

更に仕事を追加する心算らしい、別に陛下の仕事だから気にもしないけど。


「それが・・・・・・・」

事実を発言しそうな事務官を遮って私が説明する。

「我が友護衛官よ。陛下が嫉妬に狂った王妃様に連行された。陛下の身が危ないから直ぐに一隊率いて陛下の保護に向かってくれないか?」

「うむ、判った。友王室顧問。だけど事務職に推薦した恨みは忘れないぞ!」

「馬鹿を言うな。お前が護衛官如きで納まる器ではないのだ。先に進み、国の大将軍となるべきだろう。そのための布石だ。私からの好意だから礼はいらない。」

「・・・・・・・・・・・後で覚えておれよ。」


「無駄口は良いから陛下の確保を頼む。出来れば王妃も連れてきてくれ。」

「はっ、宰相閣下!」


護衛官はいったいを率いて陛下を保護しに行った。

狼系獣人君は犬も食わないネタで頭を抱えるのだろうが気にしない。

そのための要員として推薦文を書いたのだし。

さて、陛下もいないことだし私は帰りますか・・・・・・・・・・


「いやぁ、王室顧問。敵前逃亡は重罪だよ。」

「手伝ってくれるよねぇ・・・・・・」

「元はといえば孤児達が色々引っ掻き回してくれたからなんよ。保護者として・・・・・・・」

「一日遅れだけど【わかち】あおうじゃないか。仕事を!」

「我等と【わかち】合ってくれるよな、労働力を。」


両肩をがっしりと掴まれ、出口までふさがれた私に脱出する術はあるのだろうか?いや、ない。(反語表現)

私は仕事を手伝わされる羽目となったのだ。

命令拒否権?目が血走った文官(危険人物)共にそれが通じるわけがない。

って、言うか宰相閣下。文官を育成してください!後、官僚も!


私は双子山を崩しに掛かるのであった。

普通双子山って胸のことじゃないのかね・・・・・・・・・そんな事を思ったらついつい美乳の女神官のことを思い出した。今宵は性愛神殿でお勤めしてくるか・・・・・・・・・敬遠なる信者としては寄付もお勤めもおろそかにするわけいかないしな。


「御主人様・・・・・・・」


孤児姉が白い目で見ている。私はそんな人間なんだよ、嫌ならばさっさと鞍替えしなさい。


「王室顧問卿も酷い男だねぇ・・・・」

「好いてくれている娘の前で悪所通いなんて。」

「そもそも悪の権化である王室顧問にこんな娘が好意を寄せるのが間違っている。」

「良い子なのに・・・・・・・・・ 男の趣味が悪い事だけ除けば。」

「お前等、そんな事をいってはいけない。孤児姉は恩人に報いたいと頑張っているんだから・・・・・・・王室顧問が酷いのは今更だろう。」


ほうほう、この場にいる者たちの言葉の酷い事酷い事。


「どうせ、王室顧問が孤児姉ちゃんに手を出さないのは機能不全(インポテンツ)だからだろう!」


ぷちっ!


私は自身の堪忍袋がぶち破れるのを感じた。

即座に神秘緋金属張扇(オリハリセン)を召喚するとその場にいる男達に襲い掛かる。

「私は世界樹だぁぁぁっぁぁぁぁっぁあ!!誰が極悪非道の権化だぁぁっぁぁぁっぁあぁ!!!」


ばしっ!どすっ!げしっ!どげしっ!


私は広いとはいえない部屋で思う存分怒りをぶちまけたのだった。


飛び散る書類、崩れる双子山!

泣き叫ぶ文官に宰相・・・・・・・・そして増える壁のしみ。

その張扇の音は王都中に響いたという。


その場にいる者達(私達主従除く)を壁のシミに変えた後。満足した私は踵を返して帰る事にする。

書類?何それ美味しいの?仕事?それは終わった後だし・・・・・・・


「孤児姉、美味しい物でも食べて帰ろうか。それとも宝飾品でも見繕おうか?」

「・・・・・・・・・・・はいっ!」


笑みを浮かべる孤児姉。やはり愛いな。


そんなときに陛下夫妻が戻ってきやがった。

近衛隊に連行される形で・・・・・・・・・

やはり仕事をサボっていやがったか、ならば【わかち】あうとするか。

臣下の苦労を・・・・・・・


「陛下に妃殿下、仕事から逃げないでください。私達は是にて失礼致しますから・・・・・・・・」


部屋の惨状を見て呆然とする一同を放置して帰途につく私達主従。

正気に戻るのは私が王城を後にしてからである。


「王室顧問を捕まえろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!生死は問わん・・・・・・・じゃない!仕事できる状態で!ついでに孤児達も確保するんだ!近衛隊!非番の者を含めて総員出陣だぁあぁぁぁぁぁ!!」

「王室顧問を仕事に付かせたものには私個人から褒賞を出しますわ!」


うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

気合が入りまくった近衛隊に追い掛け回されるのはそれから数刻後であった。


半日後、私達に孤児達は何故か仕事をさせられている。

「賢者様、何で僕たちまで?」

「・・・・・・なんでだろうね。」

「一晩中、【わかち】をやったあとで眠たいのに・・・・・・・」

「暫く休んでよかったはずだよねぇ・・・・・」

「皆、仕事をしない王国政府が悪いんだよ。私達はその犠牲だ・・・・・・・・・」


ぼやいていた私達に

「仕事しろ王室顧問!お前が諸悪の根源だ!」

「子供達後で美味しい御菓子あげるからがんばってね。」


「「「はーい!」」」


御菓子で買収されるな!



かりかりかりかり・・・・・・・


私は王国政府と仕事を【わかち】あうのだった。

うん、なんか酷いオチになった。

如何してこうなった?

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