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酒盛男爵と振る舞い酒

酒盛市場

元は王都に作られた自由市であったのだがそこに通う者達の飲食区分として卓と椅子、軽食屋をまとめたのが始まりなのであるが何時しか朝から呑める場所として定着したのだった。


市場には各種食材、加工品、酒精を含む飲料があり王都の酔いどれ達が朝から集う名所でもある。勿論、他地域、外国からの利用者も多く王都が【酒の都】等と称される所以でもある。(勿論、この【酒の都】と言う呼称は酒国の首都につけられる正式名称であり、酒国において王都の事を【酒の都】と呼ぶことは法令上禁止されている。)


この市場の飲食部分を制定する様上奏した、補佐見習準爵(後に傷跡卿、酒盛卿などと呼ばれる。)は市場に溢れかえる酔っ払いを見て頭を抱えたと言われる。


酒盛市場縁起より

振る舞い酒が決まったら、官僚や王妃の動きは早く酒やら人員やらの手配を済ましてしまう。

お前等仕事しろよ・・・・・・・・・・・・・


「御主人様、仕事するより段取りが良いのですが・・・・・・・・・」

「孤児姉、これが官僚と言う生き物だ。ただでさえ性質が悪いのに、自分の趣味が見つかれば迅速且つ有能に行動する。世界にとって幸いなのは彼等の行動が洒落で済む範囲に収まっていることだ。」

「そこの王妃様も同類なのでは?」


「ちょ、ちょっと孤児姉!それは酷いのでは?不敬罪発言ですわよ!」

「王妃様、孤児姉の言う事はもっともです。御自覚がないようですが今までの行動を省みられたら否定できないと思いますが・・・・・・・・・・・」


揺らめく灯火、王宮で使われる油は調理油の残りでないから不快な臭いがしない。少し花の香りがするのは花の香油か香木を加えているからだろう。これを費やしてまで私事に走るのはあまり宜しくない。

最近では【灯火】の術式をかけて回る者がいるのだが、揺らめく光と言うものは需要があるものである。

書類仕事をしているときは揺らぎのない【灯火】が良いが、酒を飲むときなんかは揺らいでいる火に杯をかざして歪んだ光景を眺めるのも悪くない。


それはさておき、王妃は自覚なかったのか・・・・・・・・・後日【王妃官僚同一存在法】でも上奏してみるか・・・・・・・・陛下が官僚を嫁なんてと泣く姿が見えそうだ・・・・・・・・

これはこれで楽しそうだから・・・・・・・原案を綴るか・・・・・・・・


「待て、王室顧問!酔っ払いだの馬鹿だのは仕方ないと思っているが王妃と同質的存在だとかは断固否定するぞ!」

「それを言うなら私だってこんな酔っ払いで見境のない危険人物と同じだなんて否定したいですわ・・・・・・・」


私が綴っている原案を見て、口々に言う馬鹿共。この国の上層部には馬鹿しかいないのだろうか?

変人ばかりのこの国から本気で何とか逃げたいなと思ったのは秘密にする心算はない。

「王室顧問、この国一番の変人である貴様に言われたくない。」

「危険人物が国を出れると思うのか?」

「ひどいですわ。」


ふむ、こいつ等の視点は歪んでいる。私のようなものを捕まえて変人だの危険人物だの・・・・・・・・・・

自分の事を棚にあげるなどとは戦神の信奉者なのだろうか?


だから、そのネタやめてぇ・・・・・・(by戦神)



因みにこの法案は、貴族諸氏が顔を背けて審議に応じてくれなかったため廃案となった。


ちっ!



なんだかんだで当日。補佐見習本人の了承を得ていないと言う笑い話はあるのだが、酒盛市場に酒樽が積みあがる。

「賢者の旦那、どうして俺が市場で酒を酌しないといけないんだ?」

「説明なかったか?お前の成人祝いとして民草に振舞を行うのだ。」

「成人祝いって・・・・・・・・・」

「わしが説明しよう。」

「宰相閣下!」

「守護辺境伯家式教育課程を修了させたものは問答無用で成人扱いになるんだ。なんたって、あの地獄を潜り抜けた猛者・・・・・・・・・・・・ゲフンゲフン、優秀な人材を腐らせるには勿体無いと言う政治的判断からだ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・それは理解したがせめて俺に一言説明が欲しかった。」

「それは悪かった。王妃と官僚共がぐるになって暴走しているのを止められず言う暇が・・・・・・・・・・」


「最低だ・・・・・・・・・・・・」

酒樽を前に項垂れる補佐見習。


祝いの場にて項垂れると言うのは主役としてあるまじき事であるな。

皆の衆も心配そうに見て居るぞ。

そして宰相閣下何時の間にその法令を見つけたのかが疑問だが・・・・・・・・・・・



「うちの者が整理中みつけたのだ。」

「それは良いのですけど、何故陛下とか官僚共とか貴族達まで屯しているのですか?此処を攻められたら一気に王国が駄目じゃないですか!って、言うか市民達がひいてますよ!」

「祝いの席にワシを呼ばないと言うのは何事だ!王国の功臣の祝いの席にワシが出るとなれば箔がつくだろう!」

「付けなくて良いし、内輪だけで小さくする心算でしたのになんですかその酒樽の山は!!」

「ワシ等からの祝いの品だ。どうせ王都の民は酔っ払いだからいくらあっても問題なかろう!」

「問題大有りです!主に酔っ払いなのは官僚達と大使達で市民は・・・・・・・・・」


えっと、始めている馬鹿がいる・・・・・・・・・

「えっと、これはこれは陛下に貴族様方じゃねぇか!何時もうちの絨毯を御贔屓にしてくださって・・・・・・」

「某男爵様じゃないですか、うちの(略)」


集いし市民達は一杯引っ掛けてきたからなのか、赤い顔で馴染みの貴族達に挨拶している。

王家御用達とか貴族様御用達の職人とかが多いからなぁ・・・・・顔見知りなのは仕方ないけど、どうして私の発言を覆すかのように・・・・・・・・・・

酒カッ喰らっていやがるんだぁぁぁぁぁぁ!!


「で、王室顧問。何の話だっけ?」


満面の笑みで聞いてくる、北方街道伯がとても嫌らしい・・・・・・・・・・

そしてこいつも鼻を赤くして酒を飲んでますと自他共に表現している。

神様、心入れ替えますのでこの酔っ払い達を何とかしてください。


無理。(by王王国地方担当地方神)

すまん、うちの極北戦士達(恥さらし)は後で粛清しよう。(by極北神)

さぁ、皆!匙投擲準備!(by療養神)

おおっ!(byそこに集いし神々一同)


びゅんびゅんびゅんびゅんびゅんびゅんびゅんびゅんびゅんびゅんびゅん・・・・・・・・・(匙投げる音)


「賢者様、諦めたら?」「でも、これは酷い・・・・・・・・」「でも、酔い覚ましの呪法が」

「嗚呼、アレは酒盛市場限定で禁呪指定されてしまった。酒精神とは言え神殺ししてしまう所だったしな・・・・・・・・・」


「で、旦那。俺にこの酒全部酌しろと言うのか?」

「私も手伝うから・・・・・・・・」


でーん! ででーん!


本当に酒樽が山になっている。最近酒代が増えていると苦情があるけど官僚だけではなくて貴族達も・・・・・・・


「問題ないよ、王室顧問。酒を造れるのは農産物に余力がある証拠だし、酒の売り上げが上がれば酒税が入って国庫も潤うのだよ。我が国の酒は他国でも評価が高いし、旅人達も飲んで喰って盛んに金を落としてくれるから・・・・・・・・」

「財務官、数字の面はわかるのだが・・・・・・・・・わかるのだが・・・・・・・・・」

「こらこら、王室顧問卿。主の養い子の祝いの席だ、辛気臭い顔をするでない!この酒樽の山だって補佐見習を祝う貴族達の真心ではないか!」

「賢者様、貴族様のご好意だから・・・・・・・・・・」「どうせ飲む連中があそこに屯しているし。」うちからの持ち出しがないだけ・・・・・・・・・良いと思わないと。」


「御主人様、孤児娘達もそう言っているのですし・・・・・・・・・」


辺りを見てみると、酒に飢えた市民、官僚、大使達・・・・・・・・・・嗚呼、極北戦士団と聖騎士団、魔王領人馬儀仗兵部隊・・・・・・・・・・荒野の民に奴隷戦士団、人外兵団・・・・・・・はい、これはなんでしょうか?

「ただ酒と聞いてな。」「祝いの席だ、寿ぎに来た。」云々





えっと、この世界には馬鹿しか居ないのですか?

それ以前に・・・・・・・・・皆して酒盛する気満々では・・・・・・・・・・・・・

すまん補佐見習、これは最低な戦いをする羽目になりそうだ。


補佐見習の振る舞い酒をあてにして、つまみを売ろうと待ち構えている近隣の農家の衆。

酒場なんかも昼間からつまみを大量生産して持ち込んでいる・・・・・・・・・


何時終わるとも知れぬ酒盛の予感に私は冷や汗を流すのであった。

はい、酒が飲みたいです。

眠たいです。

そういうことでこの話はこれまで

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