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酒盛男爵と成人儀礼

成人儀礼 成人として認められるための。儀式、試練。


其々の社会階層によって求められるのが違うため地方色豊かな儀礼が多種多様にある。


荒野の民では乗馬の腕が第一とされるため、旅をしたり乗馬の腕で一定の技量があると認めさせるといったことが主だった成人儀礼となる。

西方平原王国では宴を開いて、宴を開く財と執り行う能力があると知らしめるのが成人儀礼だったりする。

酒国では酒の飲み方が認められれば成人とされるし、岩妖精族の一支族では自分の作品を満足してもらえて一人前とするところもある。


因みに一番過酷とされるのは某王国の守護聖域辺境伯家である。

神代の時代から続くとされる名門で今や聖徒王国や諸人族国家では失われた【聖王】の血脈とされている。彼等の求める水準までの教育を受けその実力を発揮してやっと彼等の家では成人として認められるのである。単純に個々の試練に比べれば程度は低いのかもしれないが、範囲が広くどれもある程度の事が出来ないと認められないので合格するよりも試練の連続が面倒だと言っていた者もいる。

因みに他家の者が合格したと言う例は寡聞として聞かない。もし、これを成し遂げた他家の者がいたらそれは何処の家中であっても重宝されるのであろう。



上級文官学園での成人儀礼に関する慣習法講座より


補佐見習が一家を立てて独立する。でもそれまでは私が後見で私が是と言わなければ認められないのである。

さて、今までの仕事ぶりとか十分に成人したと言えるのだが形だけでも何かするか・・・・・・・・・


「単純に本家である守護聖域辺境伯領に巡礼してもらうかな?」

「御主人様仕事に穴が開きそうですが。」

「別にそれくらい問題なかろう、孤児姉。そこそこ後釜達も育っているし、一月くらいいなくても十分にこなせる筈だ。ついでだから孤児弟や孤児娘、お前も連れて皆で行くか。一つの家を建てるとしてもお前らは私の分家扱いになるだろうから総本家に挨拶に行くのも悪くない。」

「皆で行って、ご迷惑ではないでしょうか?」

前辺境伯(ちちうえ)現辺境伯(あにうえ)も歓迎するだろうよ。それにお前等は皆伝した私の弟子という事で辺境伯領でも認められているよ。そうでなければ、孤児弟が叫んだときに駆けつけてこないだろう。」

「そういうのって、なんか恥ずかしいのですが・・・・・・・・・」

「慣れるしかないだろう。私なんかも王室顧問として権門に至っていると郷土の誇り扱いだぞ・・・・・・・・隠遁したいのに・・・・・・・・・・」


周りからの評価のままならない現実に悲しさを覚える。

孤児姉も気を使うかのように新しい茶を入れてくれるのだが・・・・・・・・・茶がうまい・・・・・・・・





所変わって官僚部屋(たこべや),私は孤児娘達と共に執務の手伝いをしている。

って、言うかまだ孤児達のまとめた書類を処理しきれていなかったのか!


「王室顧問、孤児達に自重という言葉を・・・・・・・・」

「街道管理官、君が禁酒したら教えるとしよう。」

「むりだ!」

「酷いぞ、王室顧問。それは彼に死ねという様なものだ。」「殺す気か?」

「官僚の皆さんって酒が主食だからねぇ・・・・・・・・」「酒精神と如何違うの?」

「酒宴にふらりと現れるのが酒精神、酒宴に堂々と乱入するのが官僚。」

「納得!」

「「「「ちょ!!」」」」

「違うのか?」

「違わないが・・・・・・・・・・・」


一応酒精神特例で酒宴に参加しても問題ないと神々のおすみつきだよー(by酒精神)


あてにはならぬが知恵を借りるのも・・・・・・・・

仕事中の雑談として赫々云々・・・・・・・・コレコレこういうわけで、補佐見習を成人したと看做すには何をしたら良いのだろうか?

「そりゃ、初陣を・・・・・・・・・・」

「最低・・・・・・・」「下半身にチン格ありって?」「最初からこれとは・・・・・・・・・」

「御主人様、相談相手を間違えていませんか?」


相談相手を間違えたかな・・・・・・・・・・

「まぁ、まて。王室顧問。式部官の馬鹿発言を我等と一緒にされては困るぞ。」

「では聞こう。民部官。」

「それはな、酒を・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「酒盛のネタにするような民部官は置いといて、そもそも十分に成人並みに仕事をしているではないか。」

「そうなんだが王城管理官。少しひねりを入れたいかなとか、箔をつけてやりたいとか・・・・・・」

「王妃の年齢を・・・・・・・・・・・・ぐはっ!」


侍従事務官、無茶しやがって・・・・・・・・・・・って、特殊効果の指輪か・・・・・・・・・・

態々血糊とか色々用意できるとは最新型だな。

「ふっふっふっ!神殿で王妃対策護符も購入済みだ。これで私は王妃様の被害から・・・・・・・・」

「それは良いけど、侍従事務官後ろ後ろ!」

「財務官、そんな冗談は私には・・・・・・・・おや、王妃様ご機嫌麗しゅう・・・・・・・」

「侍従事務官、ゆっくりお話しましょうか?」

「いえ、私には仕事が残っておりまして・・・・・・・・・」

「大丈夫ですわよね、皆さん。」


皆して頷くしかなかった。だって、こんな馬鹿なことで危険な目にあいたくないから。

「賢者様、流石に馬鹿馬鹿しくて助ける気がしないですよね。」「女性の敵。」「侍従事務官に幸アレ。」


でも、釘を刺しておかないと。

「王妃様、一応彼がいないと進まない案件もあるので仕事できる程度にして置いてくださいね。潰したらまた化粧費から引きますよ。」

「わ、わかってますわよ!護衛官、そこの無礼者を地下牢に放り込んでおきなさい。」

「はっ!」


連行される侍従事務官。彼の姿を見たものはいない・・・・・わけでもなく、数日後やせ衰えた状態で解放されたのを見たのだった。何をされたのだろうか?


「それはそうと面白そうな話題だったけど何の話題かしら?」

「それはワシも興味あるな。」

おや法務副長まで・・・・・・・・・・・


再び赫々云々(説明中)


「ふむ、補佐見習への成人儀礼か・・・・・・・・・・・簡単な試練と言うかそういうものが欲しいのだな。単純に貴族の儀礼を学ばせたら良かろう。どうせ、そこの王妃は爵位を連発するに決まっているからそれにあわせた儀礼を学ばせて置けば宜しかろう。」

「ちょっと、法務副長。安易に爵位を連発なんかしませんわよ。実際に王宮子爵位くらいは与えても問題ないくらいの仕事はしていますわ。これは陛下も認めてくださっていることですわ。」

「でも、後数年は勘弁してくださいよ。年端もいかない少年が一足飛びに上に向かうと周りからのやっかみが大変だろうから・・・・・・・・・・・・」

「あら、勿体無いじゃない。」

「それならば爵位より役職手当で補填すればよいではないか。」

「そっちのほうが宜しいのかしら?」

「王妃様、ついでに我等のほうにも・・・・・・・・・・・・」

「貴方達に爵位だの手当てをつけても酒に消えてしまうから駄目。」


爵位を酒に変えるって・・・・・・・・・・・・・どれだけ飲んでいるんだこの馬鹿共は。

「御主人様も官僚の皆様の姿を見て自制なさらないと。」

「何故に?」


「諦めなよ孤児姉ちゃん。王室顧問は王室顧問だから。」

「どういう意味かね財務官?」

「まんまのいみだよ。」

「実際、可愛い孤児姉とか孤児娘達に心配をかけるものじゃないだろう。」

「副長・・・・・・・・」


誰も助ける気はないようだ。

貴族の儀礼を教えるのは当然として、他に何か欲しい所だな・・・・・・・・・・・

「宴でも開く?ついでだから市場で振る舞い酒をするとか・・・・・・・・・」

「それが無難かな。財務官。」

「じゃあ、そうと決まったら酒樽を手配しないと・・・・・・・・・・・」

「そういうことならば王室の酒蔵の許可を出しますわよ。」

「ありがとう御座います王妃様。」

「いいのよいいのよ、あの子達には世話になっているしこれからも世話になるから・・・・・・・・・」


そっちかよ!

「王妃様もぶっちゃけてるよね・・・・・・・・・・・・・」

孤児娘達が冷や汗を流しているのは笑い話か・・・・・・・・・・・




後日、慣習法の集められて資料を眺めていると

【聖域守護辺境伯式教育を成し終えた者、成人と認める。】

4代前の陛下の御言葉だな・・・・・・・・・・・・・・・・

これは見なかったことにして。(隠し隠し)

やつは普通に成人扱いだったのか・・・・・・・・・・・・・・・

眠たいのでこれまで。手も痛いし・・・・・・・・・・

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