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酒盛男爵と貴族諸氏

王都療養神殿。

「我が怪我を癒すが良い。神職共よ・・・・・・・」


びゅん(匙投げる音)

「申し訳御座いませんが療養神様のお告げで貴族様の治療をお断りさせてもらいます。」

「何で断る!我は王国の重鎮である南方国境辺境伯であるぞ。」

「神々には人の地位なんて関係ないのだが・・・・・・・・・・」

「それでも治療を拒否する、理由にはなるまい・・・・・・・・・」


言葉に詰まる神職・・・・・・・・・・

神のお告げというだけで断れば引き下がると思ったが食い下がられれば答えに詰まる・・・・・・・・・・・・・・


そこに神託が・・・・・・・・・・

「貴族様がどれだけ偉大なる方であろうと、療養神が治療したくないというのですよ。貴族様が負傷した原因・・・・・・・・・・・・・・あまりに馬鹿馬鹿しくて私でさえ付き合いきれません。女性の年齢をネタにしてぶちのめされたなんて馬鹿馬鹿しくて付き合いきれません・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」



ちゃんと、治療する術用意するよ。

ほら(by療養神)


療養神が落とした薬を手に・・・・・・・・・・・・・・療養神殿の癒し手は貴族ににじり寄る・・・・・・・

その手に持っているのは下手な霊薬も敵わない薬・・・・・・・但し良く沁みる・・・・・・・・・・・・・・・・


その日、療養神殿からは悲鳴が響き渡ったという。

「御主人様、療養神殿から薬が届いてます。」

「それは捨て置け、如何考えても”あの傷薬”だろう・・・・・・・」

「でも、十分な効果を見込めるのでありましょう。」

「如何考えても痛みに悶えさせる事を求めているとしか思えぬ。この程度の傷ならば、自然治癒でも良かろう。」


目の周りに青痣を浮かべている私に孤児姉は心配そうに薬を塗ろうとしている・・・・・・

あの糞王妃め・・・・・・・・・齢(国家機密)の糞婆が・・・・・・・・・っぎゅはっ!


血を吐いて倒れる私、案じて駆け寄る孤児姉。

あの婆の呪いがここまで来るとは・・・・・・・・・・・





療養数日、因みに貴族諸氏とか官僚諸君も動けるようになるまで数日かかったらしい。

この間の国政の停滞は・・・・・・・孤児娘達や孤児達の働きによって凌いでいたと言う。

「この馬鹿者共が!ワシに仕事回すな!」


宰相閣下、貴方が率先して仕事していれば私達の出番要らないのですが。

「王室顧問、次期宰相がなにを言っている。」

「勝手にしないでください。そこにいる孤児弟や補佐見習を宰相に仕立ててよいですから。」

「おまえなぁ・・・・・一応王国の最高位だぞ其れなりの家柄が必要であろうが・・・・・・・・」

「それならば公爵家辺りが喜んで養子に迎えてくれますよ。」

「なに?孤児弟を養子に入れる先とな?」

「何しゃしゃり出てきているのですか王弟殿下。」

「あの前途ある若者が先に進む障害を取り除くのに家柄が必要なのだろう、ならば俺が家族に迎え入れて力添えしてやろう。ついでだから末王女を娶わせておけば更に力になるだろう・・・・・・・・・・末王女も奴を好いているしな。」

王弟殿下(くされはげ)力を授けるといって枷をはめるのは勘弁して下さい。我が弟子が国を得るにしても末王女を獲るにしても己の力で新しい国を造り、惚れた一人の女としての末王女を捕まえるのですから、そんな古びた残骸を欲しがるものかどうか考えてください。」

「この国が腐りきった世界の戦の旧弊を押し付けられている貧乏くじを引かされているのは否定しないが・・・・・・・・・俺のルビに【はげ】と振るのは止めろ!」


そっちかい!王弟殿下(はげ)つるつる頭(王弟殿下)だろう。

はげでない事を証明しろってんだ!


「俺は生えているんだ!はえているんだ・・・・・・・・・・・・」


後日、密度の問題に頭を抱えていた孤児の一人が王弟殿下を捕まえて(暗黒神の術式で)髪の毛の密度を調べた結果生えていることが判明した・・・・・・・・・・・密度薄いけど・・・・

砂漠にある水場の割合程度しかないけど・・・・・・・・・・・・・・

そうなると禿とはいえないなぁ・・・・・・・・・・・薄毛?脱毛過程?



数日が過ぎると、貴族達も痛む体を庇いながら執務を行うために王宮に向かっている。

勿論私は自主休業(さぼり)、私は王宮執務をしなくても私には問題ないからな・・・・・・・・・

「御主人様流石に酷いと思うのですが・・・・・・・・」

「酷い目にあったのは私だよ。幸いにして国政に関わらないと生計が成り立たないわけでもないから自主休業した(さぼった)所で問題はないのだよ。さぁ、孤児姉。今日はどこに遊び行こうか?」

「王国に愛想付かされて捨てられますよ?」

「構わないさ、それともそうして捨てられた私を厭うかね?」

「・・・・・・・・・・・・・御主人様ずるいです。」



ここで厭って、自ら飛び立とうとすれば良いものを、不憫な娘だ。


「王室顧問、仕事もせずに腐っているのは鬱陶しいから王宮に行って遊んで御出で!」

寮母、療養中の私に無体ではないか。

「はいはい、仕事に別状ないのに重症ぶらない。」


ちっ、仕方ない・・・・・・・・・・孤児院に向かうか。

途中市場で孤児院への土産を用意すればよかろう・・・・・・・・・・・・・

「そこの店主、焼き菓子をありったけ包んでもらおうか。」

「はい、王室顧問の旦那。」

「御主人様、弟妹共をそんなに甘やかさなくても・・・・・・・・・・」

「良いではないか、私が甘やかさないで誰が甘やかすというのだ?」


焼き菓子の包みを手に孤児院へと進む。相も変わらず市場は色々な物がある。

枯野の季節だから青物は少ないが、漬けた野菜とか干した肉とか・・・・・・・・

我が食卓でも見かける実り薄き季節の命繋ぐ糧の数々、孤児姉が旨い事こしらえてくれるから気にもならないのだが。


そうしているうちに無粋な魔の手が

「王室顧問仕事だ!逃げようなんて思うなよ!」

民部官と近衛兵の群れに私はなす術もなく王宮に連行されるのであった。


焼き菓子の包みを手に王宮に連行される私達主従。

面倒な事だ・・・・・・・・・・・

「やぁ、王室顧問。子供達は本当に頼もしいねぇ・・・・・俺達がいない間に本気で国を変えるつもりで政策提案してきているよ。」

「いくつかは本当に危険な案件があって、陛下が泣きそうだったぞ。」

「子供達を抑えてくれ。仕事が加速度的に増えて・・・・・・・・・・・・」


何をしているのだろう?

子供達が巣食っている官僚部屋に向かうと・・・・・・・・・・

うん、孤児達が仕事している・・・・・・・・・・・でも、その染まり方は教育上宜しくない・・・・・・・・・・

目の下に隈を作って、目は充血しているし・・・・・・・・・・・その年で官僚の真似をするなんて・・・・・・・・・・・

「あっ!賢者様。王室の会計状況を洗ってみたら寝るの忘れちゃった・・・・・・・・・」

「色々あって面白すぎるよ・・・・・・・・・・・これが、王族だと思うと・・・・・・・」

「王妃の化粧費が・・・・・・・・・あつぬりしすg・・・・・・・・・・ぐはっ!」

嗚呼、官僚の真似をして無茶をしやがって・・・・・・・・

血を吐いて倒れるまで王妃ネタに走るなよ。


「王弟殿下の毛生え薬が・・・・・・・・・効果ないのに・・・・・・・・・・」


そこは察してやってやれ。同じ男として不憫だ・・・・・・・・・・・・・

「王妹殿下は自身の化粧費を使わないで書籍の原稿料だけで・・・・・・・・・・・・・国庫に入れようよ。」

「王兄殿下は常識的過ぎて面白くない・・・・・・・・・・・王太子様はどこにいるの?」


なんか色々ありすぎて・・・・・・・・・・・手綱を取ってください陛下に閣下方・・・・・・・・・

因みに王太子殿下は昨日霜降国にいると大使(強制禁酒中)から連絡があったのだが・・・・・・・・


「王室顧問、子供達の暴走をどうにかしてくれ!」

「陛下、寧ろどうして子供達が官僚化しているのかが疑問なのですが?」

「王妃が粗方潰したせいで、子供達の面倒を見るのが孤児娘と官僚しかいなくなってしまってな、そのまま彼等の環境に馴染みきってしまって・・・・・・・・・・・・・・」


この子達の適応力は強すぎだ。如何したものか・・・・・・・・・・

「賢者様疲れた!」

「当たり前だ馬鹿者!官僚並みに働く馬鹿がどこにいる。心身ともに壊れてしまうぞ。」

「ごめんなさーい。」「はーい。」

「ちょっと、王室顧問我々がむちゃくちゃみたいな事をいうのは止めてくれ。」

「実際、むちゃくちゃだし・・・・・・・・・・・・・誰も近寄ってこないし・・・・・・・・・」


事実を突きつけると官僚共が出張書類整理でも企画するかなんて馬鹿なことを言っているし・・・・・・・・


つける薬がないな・・・・・・・・


匙を投げる前にオチをつけないでくれ。(by療養神)


ふむ、沁みる薬しか融通しないのに神扱いしてたまるか!


「子供達、暫く休もうか?市場に遊び行くぞ。」

「はーい!」「いこういこう!!」「リボン買うんだ。」



私は子供達をつれて市場に向かうのであった。


「ふぅ、これ以上増えずにすんだ・・・・・・・・・・・」「どうするんで?これ・・・・・・・・・・」

「俺達がやるしかないんだろう・・・・・・・・」


そこに残されたのは書類の山。

過去数十年分の不正部分の抜き出しであった。

「これは、俺達がやるのか?」「だろうな。」


官僚達の休みの日は遠い。山を見て項垂れているのだった。


すまん官僚共、子供達は王宮に連れてくる予定はないからこんなことはないと思うぞ。

「王妃様、書類手伝ってください!貴族諸氏やら官僚群やら何やら王室顧問まで潰したじゃないですか責任とってください!」

「嫌よ!」

「それでは仕方ないですね。王妃様ご自身の化粧費の数字に間違いが・・・・・・・・・・ここと、そことあそこにも・・・・・・・・・来期の予算から訂正分削減しますね。」

「ちょ、ま、まって・・・・・・・・・それだと来期化粧費半分もないじゃないの!!」

「しりませんね。」

「財務官、貴方鬼ですか!」

「いえ、古妖精(アールブ)系人族ですが何か?」

「寧ろ俺が鬼だけど・・・・・・・」

「近衛文官には聞いてません。」

「陛下助けて・・・・・・・・・・」

「無理じゃ、国法上では過剰に支給された予算は見つけた時点で返還する事となっているのだから・・・・・・・故意だったら横領だけど、単純な計算間違いだろう。過剰分は返還するのが筋だろう。」

「・・・・・・・・・・・・・せめて分割で・・・・・・・・お願いします。」

「分割でも良いですけど、妃殿下が怪我させた貴族への見舞金は王妃の化粧費から払ってくださいね。」

「宰相・・・・・・・・・・」

「流石にワシでも面倒見切れない。神秘緋金属張扇(オリハリセン)だけで良いところを魔力の篭った一撃をかますのじゃからな。療養神殿がてんてこ舞いだったぞ。」



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