酒盛男爵と道楽貴族
「王室顧問、貴殿の弟子である補佐見習準爵。そろそろ見習いをはずしたいのだが如何思う?」
「陛下、軽々しく爵位を連発することはよろしくありません。補佐見習は傷跡娘の笑顔を取り戻すためだけに一人立ち向かい成し遂げた。それだけで十分じゃないですか。それともなんですか?陛下は奴に胸倉を掴まれて怒鳴られた事に恨みを持って爵位をあげるのですか?」
「こら、王室顧問。陛下の事を悪く言ってはいかん。所詮は陛下なんだから・・・・・・・」
「宰相閣下、それが一番問題発言かと・・・・・・・・・・叫びの子の一族の治世能力にはいつも疑問符を抱かずにいられないが、宰相自ら言われたら立つ瀬がないでしょう・・・・・・・・・・・・・」
「わしだって、さっさと楽隠居したいので王族ときたら問題ばかりだし後継は育たないで下野するし・・・・・・・・・・勿論お前も含めただがな王室顧問。」
「私に当てこする事はしないでください。私達の一族もこの王家に丸投げしたいのですから・・・・・・・・・・それを願って幾星霜・・・・・・・・・・・宰相閣下の一族より長くそれを願っているのですから・・・・・・・・・」
「お前等、わしを何だと思っているのか?」
「役に立たない王族。」
「王族の皮をかぶった疫病神。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はいはい、陛下。うなだれるのは勝手ですが仕事してください。」
「出来ればさっさと我が一族を解放してください。」
「おまえら、王族に対する敬意がないだろう。」
補佐見習と傷跡娘を娶わせるのには幾つかの慣習上の解決すべき点がある。
王国法とか人族連合貴族規範等という堅苦しいものではないのだが・・・・・・・・・・
彼らが士分でなければ。後見である私と一族の党首である兄上もしくは父上の許し一つで十分なのだが・・・・・・・・・・爵位持ちだと同族同士・・・・・・・・・二人とも私の後見で養子扱いだから、兄妹婚になってしまう。血縁関係がないから問題ないとする意見も多いが、一部の古臭い連中からすると近親婚もしくは実力ある二人を囲い込んでいると危惧されるのだよな。
囲い込んでいるのは否定しないが、大事なときに助けに来ないくせに結果だけ欲しがる貴族というのは許しがたい・・・・・・・・
我等貴族というのは民の牧人として、民を慈しみ育てて収穫するものでなければならない。
けっして、地べたに落ちている幸運だけで成り立つものではない。
兄弟姉妹婚は推奨されないし(種族の純潔を守るとか血筋を保つためにしている家柄はあるが、それでも分家とか作って血の濃くなりすぎるのを避けている。)権門を保つためだけに有力な子弟同士を娶わせるというのは他の氏族から敵対視される原因にもなりかねない。
今のところ二人は夫婦と言う括りで認識されているが、それでも不要な問題は少ないに越したことはない。二人は私の可愛い弟子で子供達だ・・・・・・・・・・・
「そういう時は二人とも王家に・・・・・・・・・・」
「はいはい、解決になっていませんし・・・・・・・・・・王妃様。」
「それならば我が荒野の一族に・・・・・・・・・・・」「わしが直接雇い入れたいくらいだ。」
「異形の者だから我が一族が良かろう・・・・・・・・・」「これだけ馬鹿な一族だ。我が家で後見しないと駄目だろう。」「末弟よ、従兄弟同士なら問題ないから兄に任せるが良い。」
「従兄弟同士とは言え、たちの悪い兄弟だから離れたほうが宜しいのでは?」「少なくとも庭園公に任せたくはないですな。」「法務副長が面倒見るので?」
「勿論だとも部下が難儀するかもしれないとなれば骨折るのが上司の役割だろう?」
「補佐見習はそっちでも良いとして、傷跡娘は王家で引き受けますわ。」
「待って下さい王妃様。王室顧問家の面子というものが・・・・・・・・」
「それはどっちでも良いですわ。」
「「「「ちょっとまったぁぁぁ!!」」」」
そこで乱入するのは、補佐見習に仕事を依頼した緒家の連中だ!
「六大公と王家だと!面倒事の連続じゃないか!」
「寧ろ政敵たる我等が認めることによって・・・・・・・・・」「寧ろ本気で養子に欲しい。」
「部下に欲しいと思ったのは否定しないぞ。」
「妻が傷跡娘を養女に欲しいと・・・・・・・・・」「奥方の意見じゃなくて貴殿の意見は?」
「勿論、私は補佐見習の方だ!惚れた女の為に意地を張り通すことのできる馬鹿は我が後見しないと駄目だろう。間違っても王室顧問家や守護辺境伯家なんかに任したら、仕込むとか言って無茶をやりかねない。士分だから貴人聖域法を発動させることが出来ないのが口惜しいぞ。」
「東南香料地帯卿、お主そこまで・・・・・・・・」
「当たり前だろう。王室顧問は気に食わないが補佐見習は愛するべき馬鹿者だ。」
「勝手に私を悪役扱いしないでください。」
「はいはい、王室顧問は黙ってようね。」「弟よ、流石に他家の子息に対して行った守護辺境伯式教育は全うできるのは一割もいないぞ。」
「兄上が私に対して行ったのではないですか。」「すまん私は反対したかったのだが当家の者として認められるために会えて心を王妃に・・・・・・・・・・・ぐはっ!」
「あにうえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「ちょ、ちょっと私を悪の代名詞みたいに・・・・・・・・・・・・」
「でもなぁ・・・・・・・・」「確かに」
「うちの息子も駄目にされたからなぁ・・・・・・・・・・・」
どかばこびきぼこ!!
私達全員は王妃の神秘緋金属張扇の餌食となった。
その後、傷跡娘は解放公の養女として受け入れられ、補佐見習は一家を建てる事を陛下に許可される事となった。この喧々囂々はめんどうである。
因みにこの会話に参加した貴族達は平均全治半月だったといっておく。
神秘緋金属張扇でどついたあとに足蹴にしたのが効いているのだろう。
実に問題点の多い王族だ。
酒が切れたのでこれにて。
携帯新調するのは面倒だな