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傷跡娘と孤児院

月日流れて 黒髪の兄弟弟子が叫び上げ

一つ朽ちたる子が為に 世界全てに喧嘩売る

大馬鹿野郎の黒髪よ 全てを捨てる黒髪よ

盾の男は弟子が為 戦支度を整える


一つ種火を燈したる 黒髪孤児のその叫び

六の剣は従いて 一つの盾は壁となる

世界に見捨てられた子に 聖域なるは君が為

例えば共に滅びるも 馬鹿あることを示すため


娼婦の子供逆らいて お国が為に立ち上がる

君が思いは受け取るが 君が行い受け入れず

こぼれた網の誰かが為に 我は救いの糸となる

見事に散れと嘯きて 支援のために一人ある


黒髪本懐遂げて尚 救えぬ民の多き哉

零れ落ちたる民草を 拾いて流す涙あり

拾えず朽ちた命見て 王の胸倉捕まえて

何故に救えぬ命ある 何故に見捨てる命ある


遠くは北の最果ての 荒ぶる戦士の涙得る

黒髪血を吐く叫びにて 地を埋め尽くす軍を統べ

人喰らうこの(子の?)悲しみを 何故放置する放置する

その身削って施して 命削って道開く


王都の隅で朽ちる子を 抱いて泣くのは娼婦の子

朽ちた子見捨てる馬鹿殴り それを認める王なじり

行き着く先は死刑台 それでも恥じることないと

娘に送る笑み一つ 男子の本懐ここにあり


娘は共に付き添うと 食断ち祈りの日々過ごす

乙女の祈りは心ある 誰かの眼に涙雨

千の責め苦の中で尚 過ち無きは娼婦の子

毅然と(まつり)のしくじりを 声高くして問い続け


王の心を動かすは 千の言葉で足りなくば

臣の心を動かすに 万の言葉で足りなくば

一つ叫ぶは娼婦の子 その身朽ちても悔いなしと

一人死ぬ気で叫び上げ 毀れる血にて綴る文


傷跡娘は崩れおつ その身は傷の塊で

食を断ったら直ぐ死ねる それでも大事な男の為に

死ねるようにと祈りあげ 叶うようにと祈りあげ

祈りの乙女に涙雨 王の心も慙愧の念


至誠の罪で牢にある 叫びあげたる娼婦の子

至誠の男に殉じるは 傷跡癒えぬ優しき子

恥じ入れ王よ声上げる 国の要の長老は

娘の願い聞き入れて 娼婦の子供を取り立てる


民は知らない市井の子 民は知らない至誠の子

朽ちたる誰かのために立つ 朽ち逝く誰かを見捨てぬと

祈り捧げる傷ある子 祈り捧げる瑕なき子

誰かのために立つ男 支えるために今あると



反王国連盟が綴りし詩物語 【傷跡娘】より

因みに史実と違う部分もあるらしいが、それを判断するすべがない。

狼夫妻の甘味で満足した我等は市場を後にして孤児院に挨拶に向かう。

本当にこの傷跡娘と補佐見習は幸せ者だ。案じてくれるものが沢山居るのだから。

市場に居たときも、私も名前を知らない愚民共から案じる声と再会を喜ぶ声がしたのは驚きである。


街娼の子で私が教えるまで読み書きすら出来なかった馬鹿弟子が、多くの声に包まれるまでに成長した事を私は嬉しくもあり悲しくもある。

そして、針に従う糸のように馬鹿弟子を慕う傷跡娘という存在も奇跡の様な存在である。

彼女もまた不幸を得ていながら、それに恥じ入る事はあっても前に進むことを忘れていない。

幸運あって得た財を全て誰かのために使おうとするのは誰でも出来ることはないだろう。


この事を知る者は少ないが彼らは気にすることはなく、自分のあり方はそこだとでもいうように淡々と過ごしている。

本当にこの愛するべき馬鹿者達は私にもつける薬が見当たらない。




孤児院へと着く。


・・・・・・・・・・・・・・・えっと、この混沌とした状況はなんだろうか?

寮住まいであった料理人夫妻が孤児院で腕を振るっているし、末王女付の教師が中心とした良識派講師陣が子供達を教えている・・・・・・・・


おや?所在なさげな騎馬戦士と奴隷戦士が・・・・・・・・・・

どうしたのだろう?


「王室顧問様、行き成り奴等が来て『お前等のような者に子供達を任せてられん!』と子供達を奪い取って世話し始めたんで・・・・・・・・」

「御主人様、王宮での色々問題点があった部分で教師様が・・・・・・・・・」

「そんなこともあったな。」


孤児院に入ると山盛りの料理を次々に作り上げている料理人夫妻に子供達に教えることに喜びを感じている教師達・・・・・・・・・・・・・・

「王室顧問様、この子達の食べっぷりは見ていて嬉しくなりますよ。山ほど作っても美味しい美味しいと食べてくれるし・・・・・・・・・・・・確かに外の私兵達が焼いた肉しか与えないわけもわかりましたけど、役立たずですね。」

それは酷いぞ、彼らは助けるために手弁当で頑張ったんだから・・・・・・・・・・・


そして、子供達に教鞭を振るっている教師達

「嗚呼、王室顧問。この子達は貴族の馬鹿息子や能無し娘と違って覚えたいと言う意欲があっておしえる甲斐がありますよ。ぜひ私に講師をやらせてもらえませんか?」

「・・・・・・・・・・か、かんがえとく・・・・・・・・・」

「絶対ですよ、本当ですね。いやぁ、教えて楽しい生徒というのはこちらも張り合いありますねぇ・・・・・・・・・・末王女様もまじめな部類なんでしょうが、(以下王室批判となるため王室顧問による削除)」

「き、教師殿・・・・・・・・・危険な発言は・・・・・・・子供達の前では控えて・・・・・」

「そうか?王室顧問様のことだから洒落にならない部分で不敬発言とか危険思想の教育を・・・・・・・・・・」

「それは普通にしているけど、民主主義とか市民選挙制とか・・・・・・・・・・・でも、王族付教師が人前で危険発言はしては問題でしょう。ただでさえ、有能な部類の人材が危険思想もちが多いのに・・・・・・・・・・・」

「王室顧問様に言われたくないですよ。」

「こんな良識派で権勢欲の無い者を捕まえて何を言うのやら・・・・・・・・・・」



「「「「「嘘だ!」」」」」

「御主人様。権勢欲が無いのはただの怠け癖ですし、良識派を自称しても手段自体選ばないではないですか・・・・・・・・・・・」

「孤児姉嬢の言うとおりですな。」「寧ろ孤児姉弟が付いているから辛うじて良識派を名乗れているだけなのに・・・・・・・・」「図々しいですね。」


酷い言われようだ・・・・・・・・・・・




私等が王宮からの馬鹿の相手をしている間に

「馬鹿言うな!」「ちゃんと子供達の世話をしてから言え!」「如何して王国の機密事項を普通に教えているんだ!」「知識が偏りすぎているぞ!」

なんか酷い言われようだが無視無視・・・・・・・・・


補佐見習に傷跡娘は院長に金子を渡しているようだ。

この夫婦(予定)は孤児院との接点はあまり無いのに・・・・・・・・・お人よしにも程がある。

寧ろ教師陣はこのお人好しに人並みの欲深さを教えてもらいたいものだ。


「そんな事をしたら勿体無いだろう。」「悪事の手口とか教えて備えさせるならば兎も角、堕落させることを教えるつもりは無い。」「王室顧問様の分野でしょうに。」

五月蝿い。



そして孤児院の夕餉に誘われる。

食べ歩いていたからそれほどお腹が空いているわけでもないのだが・・・・・


その席でチビ共は五月蝿かった。補佐見習と傷跡娘の傍にまとわり付いて

キスしたのだの、子供は何時?だとか色々質問しているし・・・・・・・・

前の傷跡を知っている子供達もいたから傷跡娘の顔を見て驚いていたりしている。


私のほうにも女の子がひざに座り込んでしまって

「お嫁さんにしてくれる?」

等と言うものだから、後ろで孤児姉が・・・・・・・・・にらんでいる。

熱愛しているから子供等もあてられたのだろう。

今宵は酒が切れたので今宵はこの辺で。明日も飲めるとよいなぁ・・・・

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