宮仕えと灰髪少女
王室顧問様と孤児娘さん達の誘いで王宮に働くこととなった。
前に庭園公様の臨時侍女を勤めた事があるからその流れだろう。
えっ?経理部分の手伝い?
私は目が・・・・・・・・・そっか、目隠し布があるから見えるか。
兄さんは渋っていたが、多分貧乏くじを引く羽目になると嫌がっているのだろう。
兄さんは巡り会わせが悪いから・・・・・・・・
市場にいても酒国の姫大使様のお世話で面倒事に巻き込まれていたし・・・・・・・・
あの方も脱ぎ癖がなければ良いのだけれど・・・・・・・・・
少なくともここにいればそんな事を気にかけなくても大丈夫。
あら、姫大使様・・・・・・・・
兄さん、ごめん私には助けることが出来ない・・・・・・・・・
「判っていたさ妹よ。大使だから王宮に来ることもあるだろうし面倒事は私が受け持つことになるのだろうってことを・・・・・・・・・・ はぁ・・・・・」
兄さん・・・・・・・・・
本当に運が悪かったんだね・・・・・・・・・・・
「言わないでくれ、へこむから・・・・・・・」
下準備をして孤児院の子供達を寄越す日が来た。
お前等孤児娘達や孤児姉弟の言う事を聞くんだぞ!
本気で心身の危険があるんだからな。
はーい!
と口々に言っているが心配だ。国王も宰相も心身の保障はしているが何かあったときにどうするとはいっていないし・・・・・・・・信用出来ん。
「御主人様、何かありましたら潰して差し上げれば宜しいだけですわ。」
「そうそう、皆して引き上げればいいだけでしょう。」「最悪どこかに亡命すれば良いだけだし。」
「色々、官僚の皆さんが護身用の魔法具を・・・・・・・・・」
一番それが問題なのだが・・・・・・・
年端も行かない子供に体の内側から焼く火炎魔法とか指先から腐る魔法とかえげつない魔法具を用意する馬鹿は!
「財務官さんが四席と奇才さんに頼んだらしいよ。だんな。なんでも安上がりに効果的な魔具をと・・・・・・・」
確かに安上がりだろうさ、実用実験も兼ねた魔具だし・・・・・・・・
もう少しおとなしい物はなかったんだろうか?あれを使った日には子供達は夜魘される事間違いなしだぞ。
「流石にこれを喰らう気にならないと思うけど・・・・・・・・・」
「願わくば王妹殿下あたりが犠牲になってくれれば大歓迎だが。」
「賢者様えげつなーい!」
そんなこんなで初日となる。
孤児院に迎えの馬車が来て子供達を連れ去っていく。
勿論私も付き添いということで一緒に乗り込む。
「賢者様楽しいね。」「がんばるぞー」
「王宮って、どんなところ?」
子供達は口々に私に語りかけてくる。私はそれに答えながら、大丈夫かなと心配になる。
知識面では下手な文官くらいの力量を持っているが子どもである。
小さいうちから汚いものを見せて人格が歪んでしまわないか心配である。
「大丈夫だって、だんな。そういうものを見て生き残ってきたんだ。おいらの弟妹共はそんな柔じゃない!」
はははっ、私は心配しすぎか。
では、子供達よ存分に暴れまわれ!
王宮は狭いかもしれないが多少の事では壊れないから安心してよいぞ。
そうして我等一行は王宮に行くのであった。孤児達は10人程、後は灰髪の兄妹がいるのである。
わらわらわらわら・・・・・・・・・
子供達の群れに違和感を感じている者がいるが、私も同じ気持ちだ。
出来ればもう少し育ててからにしたかったが、仕方がない・・・・・・
って、言うか貴族の子弟はどうした?
「王室顧問、お前が潰しまわっているだろうが!」
「宰相閣下、人聞きの悪い事言わないでください。国の要たる貴族に相応しい能力を要求しただけで悪いことしてませんよ。せいぜい、ここにいる孤児達程度の能力なのに・・・・・・・・・・・・・」
「その無駄に専門的且つ高度な教育を施しておいてこの子達をどうする積もりかね?」
「普通に市井の生活で幸せになってもらいたいだけですけど?」
「目的はわからんでもないが・・・・・・・・・本当にワシの傍に欲しいぞ。」
「引退するのにいらないでしょう。」
「・・・・・・・・・・・・でも、何時引退できるかわからんからな。王室顧問のせいで。」
「人のせいにしないでください!」
「って、言うかこんな小さい子で大丈夫なのか?」
「王宮子爵卿、貴方だって自らの配下に欲しがっていたでしょう。」
「そうなんだが思ったより幼かったからな・・・・・・・・それに小さい子は遊んで学ばないと。」
「だからこの王宮全部を遊び場にしろと(ニヤリ」
「王室顧問、危険発言をしないように。」
「陛下、この子達が私の自慢の教え子達ですよ。本気で暴れまわりますんで覚悟願います。」
「・・・・・・・・・加減という言葉は・・・・そうか、お前にはなかったな。宰相、ある程度は抑えるよう気をつけておけ。」
「はっ!」
なんか、孤児達を災害か何かのように・・・・・・・
「いや、王室顧問お前が人災なんだ。」
酷い言われようだ・・・・・・・・・・
「御主人様ですから仕方ないですわ。」
「賢者様という嵐の後で風通しが良くなって若いのが育ったりしているから、災害も悪い事ばかりじゃないでしょう。」
「そうね、変化がないとダメだし」「対応できないのが悪い。」
「そもそもだんなの実家程度御せない王族というのは・・・・・・・・」
「孤児弟、末王女と王位与えるけどやってみるか?」
「陛下、おいら如きではあの一族は御せませんので・・・・・・・・・陛下に一任いたします。後、末王女様は要りませんので・・・・・・・・・」
「だろう、だろう・・・・・・」
「陛下、流石に大人気ないかと・・・・・・・・・」
「判っておる。判っておるがそれだけは言われたくなかった・・・・・・・」
「陛下すいません・・・・・・・・・おいらもあのだんなの外付け良心回路などと言われて・・・・・・・」
「苦労しているな孤児弟。」「わかってくれますか陛下・・・・・」
えっと、この二人一度〆た方が良いかな?
「王室顧問、後で国をちゃんと管理出来るならば陛下を〆て良いぞ。」
「うわぁ、宰相閣下ぶっちゃけてる。」「ふむ、普通に〆る事が出来るか・・・・・・・・・ついでだから・・・・・・・・」
「賢者様目がマジだよ。」「御主人様仕事が増えますよ。」
はっ!あぶないあぶない!
こんな(削除)でも私が仕事しないための盾だったんだ。自らの手で壊すところだった。
「王室顧問、王家に対する忠誠とか言うのは諦めたつもりだがワシの扱いが酷くないかね?」
「酷くないでしょう。ねぇ、王宮子爵卿に魔王領近接辺境伯卿」
「ワシ等に振るな。」「どっちに答えても問題発言にしかならない質問するな。」
「おやおや、お二方。問題発言って何ですか?」
うおっほん!
宰相の咳払いに一同雑談を止める。
「陛下の能力がどうとか下らない話はさて置いて子供達を仕事場に連れて行くぞ。」
陛下の能力というのは国にとって重要な話だと思うんですけど・・・・・・・・
「わし、飾りでいいならそれでも良いんだけど。」
「陛下は私以上の能力を持って国政に相対してもらわないと。」
「それは無茶振りが過ぎると思うけど。」「かといって王室顧問に国を任せたら世界が混乱する。」
酷い言われようだ。
子供達、本気で暴れて良いよ。
はーい!
私は事務仕事の合間に魔術師団で目隠し布の試作品の使い勝手を報告している。
今日渡されたのは一部色つきの試作品。
赤と緑だけ見えるって・・・・・・・・・・なんか気持ち悪い。
悪いけど白黒の世界のほうが馴染みあるかな。
他にもいろんな試作品を持ってくるんだけど一度なんか裸しか見えない物を着けてしまったときは・・・・・・・・・・・・・
この話は置いときましょう。
色付きなんだけど肌色が多くて・・・・・・・・・・・
黒髪孤児男爵様が一番立派だったという事だけ・・・・・・・・
乙女の口からなにを言わせるのです。
ほかにも、奇才魔術師さんの作品は・・・・・・・・・・
異世界のメガネという道具を模した視力付与魔具をつけたら。
メガネから光が放たれたりとか・・・・・・・・・ろくでもないものが・・・・・・・・・・
これってメクラたちに必要なんですか?
「いや、私個人の浪漫だ。」
でも、この惨状は・・・・・・・・・・・
(焼け焦げた芝生、折れた大木、ひび入った城壁を見て、呆然とする灰髪少女であった。)