六大建国公と孤児姉弟
あらすじ 仕事してたらお偉いさんが来た。しかも暇つぶしらしい。
作者は酒が切れたので新しい酒を開けたぞ!!
守護辺境伯が六大建国公を連れてくるなんて・・・・・・・
ただでさえ狭い部屋が狭くなる・・・・・・・・・・とはいえ、しがない下っ端法務官である私が逆らえないよなぁ・・・・・・
「どこがだ!! 宰相にしたくない官僚、三期連続ナンバーワンが!!」
「だんな、酷い言われようだなぁ・・・・・・・・・・」
「まぁ、清濁併せ呑んでいる割には切れる部分がわかりませんからね彼は・・・・・・・・」
「なに、彼ほどわかり易い者はないだろう、私は貴族で偉いんだといわなければいいのだからな!がはっはっ!!」
「で、何時宰相になるのかな?」
「宰相になったら負けだと思ってますが何か?」
「では、国王位でも狙うかね?協力するぞ!!」「面倒だからヤダ!!
で、何で来たのだろう・・・・・・・・・・・・・
「そりゃ、可愛い弟が姉弟どんぶりをしたからそのお相手を・・・・・・・・・・・・・」
「兄上!!」
「このお方がご主人様の兄上様ですか?」
姉弟には紹介したほうがよいな、いやでも王宮にいれば顔を合わせる機会があるだろうし人脈としては最高級だから・・・・・・・・・・・・ 人格的にも王家の人たちほどではないし・・・・・・・・・・・・
鳶色の癖毛で同色の目をした小太りの青年は我が兄にして守護辺境伯。王位を面倒くさがって現王家に押し付けた変人の子孫だ!
「可愛い弟よ、お前もその一員だぞ!!さっさと宰相位を取って我々を楽にさせてくれ。」
一思いにくびり殺して楽にしてやろうか糞兄貴!!
「ご主人様駄々漏れです。」
つい、本音が・・・・・・・・・・・
白髪交じりの砂色の髪、団子鼻を赤らめているのが西方農園建国公。初代は農家の出身でその農業技術と小作や農奴たちに対する慈悲深さで祖王に三顧の礼で迎えられた家柄だ。ほとんどの領地を小作人や農奴達に爵位を連発して分け与えていまや田舎男爵よりも狭い領地になっているが、その当時の男爵士爵連中の子孫が一派を作って守り立てているからいまだ公爵位から逃げ出せないで居る人物だ。
「よろしく、法務官の小さな家来達よ。わしも元を辿れば農家の親父だから、畏まる事はないよ。」
「こちらこそよろしくお願いします。公爵様。」
「娘さんやわしの後添えにならんか?」
「孫みたいな娘に手を出そうとしないでください公爵!!」
鶸色の頭巾をかぶった朽ち葉色の髪、でっぷりとした腹をした鷲鼻のが商会建国公。人国連合に代金を踏み倒された腹いせに祖王についた商人の出身でいくつかの商会の設立に関わる貴族の皮をかぶった大商人だ。黄金の盾で王国を守る影の支配者でもある!!
「人聞きの悪い事をいわないでくれ!儲ける事は悪い事ではないのだよ、貧乏人がそれを妬んでいるだけの事だ。」
生成りのフードをかぶって目隠しをした女性が庭園建国公。目隠しをしているのは初代が数多の人々を癒し続けた結果、自らの視力を損なった故事に倣っているからだ。常に鉄杖の従者を連れているから鉄杖公とも呼ばれる。彼女らの一族には収入領地を持たないが、王宮の西庭園を住まいにしている。お人好しなので収入があると直ぐに困っているものたちに分け与えてしまう仁徳ゆえに恩義に感じた者達から有形無形の援助が絶えない善意の循環者である。
「そう買いかぶられても困りますわ。目に見える範囲で助ける事ができるのを助けているだけですから。小さい従者達よ、貴方達はよき主にめぐり合いましたね。彼はひねくれ者で娼婦大好きな道楽者だけど、眷族は大事にするから安心して庇護に頼りなさい。」
「公、私に対する評価が酷いです。」
「でも、一昨昨日は3人買ってお楽しみだったのでしょう?」
「・・・・・・・・ご主人様・・・・・・・・・・・」
剃りあげた頭に一房髪を残している皮服の男が騎馬建国公。荒野の遊牧民達の長が帰順したのが初代となっている。もっとも今は遊牧民の諸族の長が持ち回りで公爵位についているのだが・・・・・・・・・・要は遊牧民のまとめ役にして王国との調整役だな。独特の騎馬戦士文化を持っている彼らの働きなくして王国の物流と牧畜は成り立たないから一つの国家をまとめる公王ともいえる。
「黒髪の少年よ、汝が護衛官の隙を見事突いたのを聞いた。我らが家族にならんかね?」
「えっ!おいらなんかを家族にしていいの?」
「王国のものは見る目がない、孤児を見捨てて善き種を見逃す事に・・・・・・・・・・ 護衛官ほどの男の隙をつくのであれば優れた戦士の素質がある。無血で事を運ぶ泥棒として考えても敬意に値する。優れたものが家族ならば我も鼻が高い!!」
「彼らは氏族というゆるい血縁集団でまとまっているけど、外部の優れたものを一族に入れることを喜ぶし、孤児などを見たら自分の子として育てるのが義務と考えているんだよ。」
「義務ではない。善き子供こそ我らの宝だ! 金銀は綺麗だが増えたりはしない。家畜は善き子供を得ればよく増えるし、人の子は自らが増えるのみならず一族の名誉と富を増やしてくれる。黒髪の子供よ、法務官に愛想尽かしたら我が元に来るがよい!」
「ありがとうございます・・・・・・・・ 公爵様」
三本の角に毛の生えたとがった耳、金色の猫目に紋様の入った青黒い肌、一見して人外だと判るのだがどの人外かよくわからないのが人外公。実際に古妖精、獣人族、鬼族、竜人族、魔族の血が流れているが、伝説によれば魔王家の流れを汲むとも言われるが真偽のほどは判らない。建国当時は魔王国から追われた人外緒種族とか人外種族と人族の混血などを人族連合、魔王国双方から守るための安息所を作るために帰順したのが初代だ。ちなみに当時の魔王をぶん殴って勇者を叩きのめしたのが二代目でその故事から公式の場では小手を身につけていることから鉄拳公とも呼ばれるな。ちなみに当代のチャームポイントは肉球。桃色で可愛いから機会があったら触らせてもらうのも悪くない。
「どうも、肉球が可愛い人外公です。触るかね?」
「(ふにふに)・・・・・・・いい感触・・・・・・・・・癖になりますね。」
「公爵様、貴方の種族はなんになるのですか?」
「・・・・・・・・・・・・・その質問に答えられるものは誰も居ないのだよ、少年。あまりにも種族が入り乱れすぎて人外公家全ての外見的特長が一致しないのだよ。今言われた種族以外にも、雪女や小人、巨人に人狼、飛頭蛮、三目族等など下手すれば混ざってない血族がないくらいに混血が進んでいるのだからね。」
「補足説明すると彼ら人外公の領地では種族間の差別が驚くほど少ないのだよ。ある意味人族連合と魔王国との緩衝地帯でわし達商人の交易都市として重要な場所でもある。勿論外交上での交渉地としてもな。」
「へぇ・・・・・・」
そして最後になるのが藍色の蓬髪を鉢金で後ろに流し、服の上から粗末な腰布をまとい、両手足に鎖のついた腕輪をしているのが東方建国公。初代は戦争奴隷出身で開放公とも奴隷公とも言われている。彼の家の家臣達には戦争奴隷や従軍娼婦、各地の奴隷達の子孫が仕えている。戦争奴隷出身という家柄からか武門系の役職についているものが多く、公爵家自体も解放奴隷戦士団なる私兵集団をもって王国の軍事を担っている。弱きもの、虐げられし者を守る事を家訓とし王国の奴隷禁止令を認めさせるために裸で一騎駆けをした愛すべき馬鹿者の末裔である。
「法務官よ、そういえば我が娘との縁談話はどうなったかな?」
「すいませんがその話はなかったことに・・・・・・・・ 宰相閣下にお断り申し上げるようお願いいたしましたが・・・・・・・・・」
「ふむ、残念だ・・・・・・・・・ 君ならば我が東方建国公家を預けても悪くないと思ったのだが・・・・・・・・」
「買いかぶりすぎですよ。それよりもこの姉弟に何かありましたら力添えのほうよろしくお願いします。」
「うむ、弱いものであろうと誰かを思いやり幸せになろうと足掻き理不尽に抗う気概ある限り、我は君達の力となろう。」
「「はい、よろしくお願いします。」」
しかし、濃い面子だ!
そして仕事にならないし、本当に彼らの目的は珍獣見物だな(笑)
何か人物紹介だけで終わった気が・・・・・・・・・・
酒が切れた。