表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
154/248

孤児院と魔術師団探訪

あらすじ 行政部門は教育上悪い。それは人というものが持つ業によるものなのだろうか?欲望がぶつかり合う場所に子供を送る事自体が問題である。

政府機能部分は教育上悪い事が判った。

「賢者様、其処で働いている子供達の声って聞かないの?」

「次の犠牲者を送り込む必要があるのか?」

「うわぁ、犠牲者言った!」「やっぱり私達は賢者様の身代わりだったのね!」「酷い・・・・・・・・・・」

「では、今から別の場所に行くか?商会公か農園公あたりだったら諸手を挙げて歓迎してくれるぞ。」


そこで考え込む孤児娘達・・・・・・・・

「絶対、ぎっちぎちに働かせるよね。商会公様だと。」「農園公様だと若い衆の嫁候補だよねぇ・・・・」

「でも、給金はよさそうかも・・・・・・・・・・」


確かに商会公だと給金や待遇は良いだろうな。

今でも孤児娘達を引き抜きに掛かって工作しているくらいだから・・・・・・・・・


「まて!王室顧問!孤児娘達を引き上げるな!そして孤児娘達も抜けないでくれ!」

「おや、宰相閣下如何しましたか?」

「廊下で不穏当な会話をしているから咎めに来たのだ。」

「暇なの?」「私達程度を引止めに来るなんて・・・・・・・・」「次の契約のときに話しましょう。」

「まぁ、私はこの娘達の後見なので娘達のためになる場所を第一に考えてますよ。」

「御主人様、建前は兎も角本音は?」

「嫌がらせ。」

「孤児娘達、あなた方も悪乗りしないように。」

「えー!」「私達もこんなダメな大人達とじゃなくて賢者様といたーい。」「孤児姉ずるーい!」


口々に愚痴を言う孤児娘達。一時的なものだと思っていたがほぼ永続勤務と化しているから私も予想外だった。

しかし、どれだけ人手不足なんだこの国は・・・・・・・・・


そのうちに近衛を率いて孤児院に略奪に行きかねないぞ。

「その手があったか!」


財務官、わざとらしく顔を出して発言しない。

そして、民部官孤児院に行く振りして逃げ出さない!

ところで近衛文官。その書類と近衛伝令兵は何だね?


「いやだなぁ、王室顧問。軍は優秀な人材を常に求めているんだよ。鍛え甲斐があって優秀な子供となれば早急に確保しないと・・・・・・・・・・・・・軍部の後方事務を一人でこなすのが辛くなってきた。」

「将軍府の連中は如何した!」

「あの脳筋どもは3桁以上の計算が出来ないんだ。俺だって現場業務に付きたいのに・・・・・・・・・・・腰痛持ちの自分が辛い。」


そう言えば近衛文官は腰痛で退官となるところを計算が出来るからと配置転換されたんだっけな。

「軍も人手不足なんですか?」

「事務方が不足しているのは否定しない。近衛となれば読み書きできるのが任官条件となるのだが性格的に事務仕事に向いていないし、一般兵から下手すれば下士官連中は文字が読めないのが殆どだ。元々、農家とかの食い詰めた若者達が多いからな。」

「そっちを教育したら如何でしょうか?」

「読み書き覚えたとたんに脱走して商売とか始める奴等に?」

「教育して士官待遇にするといったら退官する者が多かったんだよ。民草の識字率向上には役立ったけど軍の事務官が育たない育たない・・・・・・・・・傷病で現場に立てない士官連中を主に使うしかないのだ。まぁ、近衛文官の場合は腰痛が治っても便利だからと転属願いを握りつぶされてるのだけどな。主に近衛軍団長に。」

「本当、現場に行きたいのだが・・・・・・・・・」

「近衛文官、護衛官がいるだろう。彼は王妃付から逃れたそうにしているし、近衛将官を目指しているから文官の経験を積ませるのもよいのでは?」

「そうか!良い事を聞いた。王室顧問礼を言うぞ。」

「なに、私も友の苦境を知っているからな。手助けをしてやりたかっただけだ。」

「王室顧問。で、君の友である護衛官は性格的に事務方に向かないと記憶しているのだが・・・・・・・・」

「いえ、上を目指しているのならば事務方にも慣れて貰わないと・・・・・・・・・私としては友の不遇に力になりたいと思っているだけですが・・・・・・・・って、いうか!近衛文官孤児院向けの命令書撤回しろ!」

「それとこれとは別だよ王室顧問。奴隷商人を手玉にとっている孤児達は良い兵士になれると思うよ。」

「多分、命令を聞く立場には向かないと思うけど・・・・・・・」

「士官候補生として使いたいね。今でも歴戦のツワモノだし。山賊退治とかには重宝しそうだ。」


孤児達の能力をお思い浮かべてみる。

建国公私兵団の軍事教育を受けて、暗黒神の神術を使えて、商会公仕込の会計術に諸々の講師陣からの教育を受けている・・・・・・・・・

集団行動としては使い辛いが小数での撹乱行動とか遊撃には最適だな。子供の形をしているから相手も油断しているし・・・・・・・事務方としても・・・・・・・・・・




「近衛文官、子供を戦場に出そうというのはよろしくないな。」

「そういう宰相閣下だって年端も行かない子供を国政の暗部に触れさせようとしているじゃないですか!」


喧喧轟々・・・・・・・・・

軍部と政府の醜い争いだ。お前等自前で人材育てろ。


本気で孤児娘達も引き上げていいですか?


「賢者様、伝令兵の命令書撤回させなくて良いの?」

「あの孤児院は私の保護下にあるんだ、下手な手出しは出来ないさ。力づくとなれば駐在している私兵団と戦闘になるし・・・・・・・・・・・それでも手を出す馬鹿はいないだろう。手を出したら、青田刈りしている商会公や農園公が補給物資を止めてしまうだろうし・・・・・・・徴兵するにも今は戦時下ではないし陛下の許可が下りないさ。陛下自身が自分のところに欲しがっているから。」

「そういう意味では手付かずの人材の宝庫なのね孤児院って。」

「お前達も含めて優秀な人材だしな。」


「近衛文官、将軍閣下から孤児院襲撃作戦は却下されました。」

「近衛伝令兵!本当か! なになに、『戦いは我々の楽しみであり子供に取られるわけにいかない。』・・・・・・・・・あの脳筋どもが!事務処理をやってから言いやがれ!」


ぶつくさ言う近衛文官に

「近衛文官よ、宰相府には軍事面での専門家がいないのだが来ないかね?」


宰相閣下が勧誘している。官僚部屋に入り浸って仕事しているから違和感がないのだろうが・・・・・・・・・・

それは軍部が黙ってないぞ。


近衛文官が乗り気ではないが心動かされている・・・・・・・・・・


馬鹿共は置いといて巡ってみるかね・・・・・・・・・

「御主人様、次はどちらに?」

「魔術師団のところでも寄ってみるかね?」

「そう言えば行った事がないなぁ・・・・・・・」「私等の魔具も一部あそこで作られたんだよねぇ・・・・」

「魔術師って変人の集団らしいけど大丈夫なのかなぁ?」

「まぁ、変人なのは否定しないけど官僚達よりはまともだから問題ない。」



てくてく・・・・・・・・


王城の外周部、庭園公がいる庭園傍に魔術師団の建物がある。

やや、焼け焦げていたり補修の跡が見受けられるが、彼等自身の魔術実験の結果なのである。

今現在は魔術実験は郊外にある演習場とか実権施設で行われることが多く、殆ど書庫と倉庫と詰め所代わりになっている。



きぃぃぃ・・・・・・・・

魔術師団棟を訪ねると扉がひとりでに開く、裏を見ると魔道人形(ゴーレム)が扉の開閉をしている。


「ちょっと可愛いかも。」「わざわざ扉の開閉のために魔道人形とは・・・・・・・・・・魔力の無駄遣い。」「でも、魔道人形(ゴーレム)の細部の作りこみといい、着せている服といい、術者の愛を感じられるわね。」


人に模して作りこんでいる扉開閉用魔道人形(ゴーレム)。少年型と少女型、この造形は中々芸術的素養がないと作れないかな・・・・・・・・・・


奥から聞こえてくる魔術師達の声

「ふふふっ、ぼくの造形は王国一さ。見てみな、この鎖骨のライン。これに満足するのに10日は掛かった。」

「ふむ、鎖骨は見事だな。でも甘いぞ!この頚骨の曲線、君に出せるかな?」

「くっ!悔しいが認めざるを得ない・・・・・・・・・・・でも、鎖骨だけは鎖骨だけは譲れない!」

「お二方、我が指先のしなやかさを忘れてもらっては困りますぞ。」

「さすが指先の魔術師。君の作る指の美しさには感服するよ。」

「本人は無骨な指なのにどうしてこんな美しいものを作れるのかが疑問だ。」

「我の外見は関係ないだろう!」

「でも、我等が揃えば世界一美しい魔道人形(ゴーレム)の完成は近い!」


また、別の部屋からは・・・・・・・・・

「また官僚部屋から精力剤の依頼だ!」「ドンだけ飲用しているんだ?飲みすぎは毒なのに・・・・・・・・・」

「また、小間物屋か?」「新婚の手伝いなんて・・・・・・・・」「俺達独身なのに・・・・・・・・」

「次の納品時に新作を混ぜておこうか?」「あれを出すのか?人としてどうかと思うぞ・・・・・・・・・・・」

「一つ一つ違う味わいの精力剤というのは斬新だろう?」

「だからって、激辛とか激甘とか・・・・・・・・・・あまつさえ、特性傷薬味(痛覚倍増風味)って・・・・・・・・・」

「仕事はまじめに作品に遊び心を・・・・・・・・・・・」

「そう言えばお前守護聖域辺境伯からの移籍組か・・・・・・・・・・・・納得した。」


ちょっとまて!それで納得するな!

我が故郷をそういう認識でされると・・・・・・・・

「御主人様、どう考えても無駄だと思いますが・・・・・・・」

孤児姉のツッコミを受けながら部屋からは・・・・・・・・


「まぁ、特性傷薬味(痛覚倍増風味)は人道的に非道だから封印ね。」

「な、なんだと・・・・・・・・・・・・あの味わいを作るのに一月かけたのに・・・・・・・・・・・効果も他の精力剤の1.003倍の効力なのに・・・・・・・・」


効果の実感はなさそうだが、それ・・・・・・・・・・・

「官僚の皆に伝える?」「黙っとこうよ。面白そうだし。」

「賢者様、十分濃いんですけど・・・・・・・・・・・」

「私もここまでとは思わなかった・・・・・・・・」

「回れ右しません?」「賛成!」


見なかったことにしよう・・・・・・・・・・ 主に私の精神衛生上のために



今宵も酒が切れたからここまで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ