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暗黒神と宰相府

王城傍の貴人牢、其処では拷問吏が日夜頑張っている。

もっとも、頑張る事がないのが正しいのだが王国の不備が彼の仕事を用意しているのだった。


むきむきマッチョでぴっちりした皮の服、そして黒い三角の覆面。

これは彼の趣味ではなくて拷問吏とはこうあるべきだという数代前の国王が異世界文学を読んであつらえた由緒正しい装束なのだが、拷問吏本人としては白衣に眼鏡が好みなのだが・・・・・・・・・・


それはさて置き、今日も今日とて拷問三昧なのである。

拷問吏にとって被疑者の死亡とかは自らの失態となるのだから肉体的な拷問は控えておきたいものである。ついで言えば綺麗好きな彼が血やら何やらで汚れている部屋を掃除するのは嫌だからというのもあるのだが・・・・・・・・・


「さぁ、神職様貴方様はどんな声で啼いてくれるのかねぇ・・・・・・」


七支鞭をびしりと床に打ち付けて、静かに問いかける。

拷問吏の役割は痛めつける事ではなくて証言を引き出す事にあるのだから別に暴言とか吐く必要はない。寧ろ怯えさせて支離滅裂にするのは百害あって一理無しである。様式美とか言っていた数代前の国王は焼き鏝とか水車とか色々用意していたのだが・・・・・・・・・・・・・・


「さて、神職様の罪を数えてみようか?どれだけあるのかな?王妃様の年の数ほどかな?」

「さ、流石に其処までないと思いますが・・・・・・・・せいぜい、王室顧問避け護符で【侮辱罪】と【詐欺罪】位で・・・・・・・・・・・・」

「いやいや、他にもあるだろう。詐欺行為とは言え王室顧問様の職務を邪魔して悪事を隠蔽するとか、十分に汚職とか横領の幇助犯とか従犯だであるねぇ・・・・・」


あくまで紳士的な拷問吏である。

恐れを抱かせても怯えさせもせず。うそを見抜いてじわじわと辛め取る。

「さぁ、何で王室顧問を怒らせるようなことをしたわけだね?」

「えっと、冗談で作ったら名前を明かせませんが某子爵様が王室顧問除けなんてなんて良いものだ!等と持ってかれて・・・・・・・・・そのまま、その話を聞いた方々が次々と・・・・・・・冗談だといっても聞かないし、暫く寄り付いていないから効果があるんだと・・・・・・・・・勘違いするし・・・・・・・・・・・この護符の効果はせいぜい、目晦ましと人避け位の力しかないのに・・・・・・・・・・・」

「ふむ、それで本人の了承も得ないでやったから、逆上した王室顧問に怒鳴りこまれたと・・・・・・・・・」

「はい。ついかっとなってやってしまいました。でも、今は反省しています。なんて危険人物に手を出してしまったのかと・・・・・・・・・・・」

「そうして怒鳴り込まれて説明をしろとじっくりと嫌味を言われて・・・・・・・・さらには説明するか王妃様の年齢を言ってみろと・・・・・・・・・・・あんな恐ろしいことは・・・・・」

「別に王妃様の年齢くらい問題なかろう、せいぜい女性の年をなんて注意されて平手の一つを食らわされるくらいだろ?」

「いえいえ、拷問吏殿!そんな優しく可愛らしいものじゃないんですよ!とある貴族なんか王妃様の年齢より多くの花を用意して生誕祝いです年に合わせましたと言ったら・・・・・・・・・・なんで、気配だけで人が白髪になって精神崩壊するんだ!近づくたんびに脂汗たらたらでたどり着くまでに脱水症状になったりとか・・・・・・・・どす黒い気配だけで、建物にひびが入るなんて・・・・・・・・・いやだぁぁぁぁぁぁ!!私はまだしにたくないぃぃぃぃぃ!!」


錯乱した神職をどうどうと落ち着かせると

「別に(検閲削除)才というくらい問題なかろう?確かに俺の曾婆様(存命)よりも年上だけどよ。長寿系の血筋ならばよくあるとは言わないがありうることだろう?あの年でその若さを保っているのは不思議だが・・・・・・・・・・」

「いやいや、それ国家機密だから!」

「機密じゃないしほら一緒に言ってごらん(検閲削除)!」

「いやだぁぁぁぁ・・・・(検閲削除)なんて(王妃自らによる検閲削除)なんていったらころされるんだぁぁぁっぁぁ!」


言っているし・・・・・・・・・・・殺されるとか言うから余計に怒りを買うのだと思うのだが・・・・・・・・拷問吏派錯乱した神職を放置して茶をすする。

元は熱湯を口から注ぎ込むためにあつらえたのだが、彼の手にかかれば日常道具となっている。

「うーん、茶が旨い・・・・茶菓子も欲しいが贅沢かな?」


拷問吏は思う、王妃様の年が(三桁)だからって別に気にする事ではないと思うのだが・・・・・・・・・こう、婆と呼ぶのは問題だし年齢ネタでやらかすのは官僚達だけで十分だ。今でも若々しく美しいのに何で気にするのだろうかね?


「きっと、あの若々しい顔を作るために娘の生き血風呂に使って、化粧品を厚塗りしているんだぁぁぁっぁぁぁ!」


まだほざいているよ。そういうことを言うから・・・・・・・・

「ほら、おちつけ!茶でも飲んで・・・・・・・・」

「か、かたじけない。」


茶を貰って一息ついて落ち着いたのか神職は黙った。

「まぁ、王妃様の年齢を言わなくて良いから。神殿で売り出した護符の購入者の名簿を出してもらおうか?口頭で思い出すだけでも良いぞ。」

「そ、それは・・・・・・・・さすがに・・・・・・・言えないです。口にしたら貴族達から粛清されます。」

「大丈夫だ。先ほど王妃の年齢を大声で言ったから大丈夫だ!吐いて楽になったほうが良いぞ。」

「えっ!えっ!王妃の年齢を大声で?」

「さらには厚塗りだの生き血風呂だの色々言っていたからなぁ・・・・・あの年だと美貌を保つのも大変なのは理解できるがそれを大声で言うものではない。」

「うわぁぁぁぁ!私は死ぬんだ!ころさっれるんだ!神殿が血の海になるんだ!」

「それは大丈夫だと思うのだが、せいぜい壁のシミが幾つか増える程度で・・・・・・・」

「いやだぁぁぁぁ!しにたくないぃぃぃぃ!!」


かつかつかつかつ・・・・・・・・・・・


おや?誰か来る。

歩幅は小さく規則的な音だな・・・・・・・・・・


そして空気が重苦しくなってきた。


かつかつかつかつ・・・・・・・・・・・


悲鳴を背後に足音だけが響いている・・・・・・・・・・・・

おや?貴人牢の方から悲鳴が・・・・・・・・・・・

拷問吏殿ががんばっているのだな。


「あそこは防音がしっかりしているはずなのだが?」

「牢の方向に黒い気配が・・・・・・・・・・」

「捕らえた神職達の悲鳴ではなくて拷問吏殿の悲鳴が・・・・・・・・・・・」



ひぃぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!



あそこで王妃ネタでもしたのだろう。それを聞きつけた王妃が・・・・・・・・・・・・・・・・

哀れな・・・・・・・・


「王室顧問、貴様はどうして王妃ネタを使うのかね?」

「勿論王妃様を冗句のネタにするくらい敬愛しているからですよ。閣下。」


「本当に、捕らえた神職達が精神衰弱が酷くて使い物にならないぞ。」

「って、言うか王妃の年齢くらいで精神崩壊するなんて鍛錬が足りない証拠ですよ。」

「お前達官僚の基準で考えるな!兎も角王妃年齢ネタは禁止だ!」

「わかりました。」

「で、お前に下される処分だが・・・・・・・・」

「私は被害者ですよ!」

「神殿を滅茶苦茶にして言う科白ではないだろう!罰金金貨5枚だ!因みにこれは近衛の出動費用は別に金貨3枚請求される。」

「何で近衛の出動費用がそんなに掛かるのですか?小隊規模だから金貨一枚も掛からないでしょうに!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・その後、仕事の後の酒がうまいと街に繰り出してな・・・・・・・・・・酒場で飲み食いしまくって代金が足りなくなって王城に請求書が・・・・・・・・・」

「それは近衛に払わせれば良いでしょうが!って、金貨3枚なんてドンだけ飲み食いしたんだ!」

「・・・・・・・・・・・・・近衛が王妃様の年ほど祝福を与えると道行くものに一杯づつ奢ったらしく・・・・・・・・・・・・・」

「そりゃ納得。って、近衛が王妃ネタをして如何するのですか!!」


みしっ みしっ!


遠く建物が軋む音を耳で捕らえながら。


「まぁ、その近衛小隊は護衛官ごと・・・・・・・・・・・・・城についた途端・・・・・・・・・・・・・・」

「なんか言わなくてもわかるオチなんですが・・・・・・・・・・王妃の銀扇の餌食になったんですか?」

「近衛宿舎にて謹慎処分を受けている。あと、減給処分だ。」

「まともな処分で・・・・・・・・・」

「正確には奢った後に返杯と称して呑み続けたから二日酔いと下痢で使い物にならないというのが・・・・・・・・・・・真相だ。兎も角罰金と出動費用は王命で判決が下ったんだ!速やかに払えよ!」

「はいはい、金貨が8枚ね。」


ちゃりちゃり・・・・・・・・・


「王室顧問、何故そんなに持っているのかね?」

「いやぁ、亡命するつもりでしたから旅費をちょいとね。」

「亡命って、国家機密の詰まった自身の身を持ってか?」

「勿論ですとも、ついでに言えば私の育てた孤児達も連れてね。どこの国でも諸手を挙げて歓迎してくれますよ。」

「どっちかというと王室顧問だけ送り返されて孤児たちが大歓迎というのが考えられる事だと思うのですかねぇ・・・・」

「そう思うか宰相付事務官よ。」

「いえてる。」「って、言うかこっちにも孤児達を寄越せ!」「書類仕事がたまって仕方ないんだ!」

「亡命すると聞いた他国が怯えてこっちにとばっちりが来ているんだ!」「酒おごれ!」

「タタミイワシモっていくな!」「孤児姉を嫁にください!」

「仕事の手伝いしろ!」「さっさと宰相になって俺たちを楽させろ!」


今まで黙っていた宰相府の面々が口々に孤児寄越せといってくる。

おまえら、孤児達は官僚候補ではないんだぞ。

しかもろくでもないことを言っているし・・・・・・・・・・・・


「お前等、孤児とか当てにしないで仕事しろ!」


本当に孤児と書いて文官とか会計とルビを振るんじゃないだろうな?

まだ遊びたい盛りの子供達だぞ。国の勝手な都合で使おうとするんじゃない!



その割には教育内容が官僚育成・・・・・・・・・(by光明神)

我が国にも欲しいところだが、王室顧問抜きで(by西部諸地域担当地方神)

講師が貴族と商人ばかりだから仕方ないといえば仕方ないが・・・・・(by某王国地方担当地方神)

お前等には我が可愛い信徒達をやるわけにはいかない!(by暗黒神)


「国の都合という割には貴様の教育は下手な文官や会計担当を超えるものだがな。だからさっさと育成したのをこっちに寄越せ!」

「宰相閣下、即戦力になる年齢の者は商会公や農園公の売約済だったりするのですが・・・・・・・・・流石に10くらいの子供をこき使おうなんて恥ずかしい事しませんよねぇ・・・・・」

「10でも使えるならば構わん!」


宰相閣下は胃薬(水薬)を飲み干しながら本気で答える。

貴族の子息ならば兎も角、孤児達は自分の進みたい道を進ませてやりたいから無視するけどね。


って、言うか貴族の子息達や学園は如何した?

「貴族の子息たちはやわだからねぇ・・・・」「たった、3日ほど徹夜させたら潰れた。」

「計算すらまともに出来ないし・・・・・・・・・」「計算間違い見ていると実家とかの利益になるようにしているのが小賢しい。」「見つけ次第仕事追加していったら・・・・・・・・・逃げられた。」

「そういうことで、王室顧問。孤児たちのおかわり宜しく!」

「こっちは孤児たち特盛でよろしく!」


「「「ちょっと、まったぁぁーーー!」」」

隣室(官僚部屋)で作業していた官僚たちが乱入してくる!

「宰相府で孤児達を持ってかれたら、こっちの仕事する人材が居ないだろうが!!」

「お前等が仕事増やしすぎなんだ!」

「王妃の面倒事をこっちに回すな!」「書類にタタミイワシのかけらを散らばせるな!」

「酒の染み付けた書類は突っ返すぞ!」


喧喧轟々・・・・・・・・・・・

なんか馬鹿なやり取りを見ていると疲れてきた・・・・・・・・・・・・

「閣下、流石に子供の教育上悪いので寄越したくないのですが・・・・・・・・・」

「うーむ。」

「その話は後ほどにしてわたしは帰りますね。」

「わかった、明日からは孤児娘達も連れて来い!」


突っ込みも入れたくないやり取りを背に私は孤児院へと向かう。



孤児や女衆達を引き連れて皆で市場で食べまくるのも悪くないな。



みしっ! みしっ! みしっ!


王城が軋んでいるけど大丈夫なんだろうか?


ひぃぎゃーあーあーあーあーあーあーあーあーーーーーー!

某王国地方神王都神殿始末より


神殿長、罰金10枚

関わった神職については神殿内部での地位降格及び地方神殿の下級神職として配置。


王室顧問避け護符の販売禁止及び購入者名簿の提出を命ずる。




「ううっ!神殿の清掃費用が・・・・・・・・」

「会計、泣くな!って、この穴の修繕費用は如何するよ?」

「そのまま漆喰を塗りこんでおいとくか?」

「それが一番費用が掛からないしな・・・・・」


王都神殿名物【王の穴】が誕生する一幕であった。

「おい!我が悲劇の跡をそんなふうに扱うな!」

「ああ、陛下あの衝撃で無事なのですか?」

「そりゃ、神秘緋金属張扇(オリハリセン)の効果で怪我はせぬしの。」

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